清算期間が1か月以内なら届出は不要です。1か月を超える場合は所轄労働基準監督署長への届出が必要です。フレックスでも時間外労働には36協定が別に必要です。

フレックスタイム制の導入に必要な二つの準備

フレックスタイム制を導入するには、就業規則等に始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を定めることと、労使協定で所定の事項を定めることが必要です。いずれか一方では足りず、両方を満たして初めて導入できます。労使協定の締結自体は清算期間の長さにかかわらず必要です。届出が不要な場合でも協定書の作成を省略できません。

労使協定では次の事項を定めます。

  • 対象となる労働者の範囲
  • 清算期間と起算日
  • 清算期間における総労働時間(所定労働時間)
  • 標準となる1日の労働時間
  • コアタイム(設ける場合の開始・終了時刻)
  • フレキシブルタイム(設ける場合の開始・終了時刻)
  • 協定の有効期間など効力に関する事項

清算期間で分かれる届出の要否

清算期間が1か月以内か、1か月を超えるかで届出の要否が分かれます。2019年4月施行の改正で清算期間の上限は3か月になりました。1か月を超える設定では所轄労働基準監督署長への届出が義務になり、違反には罰則があります。

清算期間と届出要否の対応を整理します。
清算期間労使協定届提出先と留意点
1か月以内不要届出は要りませんが労使協定の締結は必要です
1か月超〜3か月以内必要所轄労働基準監督署長へ様式第3号の3と協定写しを提出します

届出の際は労使協定届(様式第3号の3)に労使協定の写しを添付します。事業場ごとに協定し、有効期間を定めます。過半数労働組合がない場合は過半数代表者を投票・挙手などで選出し、選出方法を記載します。使用者の指名や意向による選出は認められません。管理監督者は代表になれません。

フレックスタイム制でも36協定が別に要る場合

フレックスタイム制では1日8時間・週40時間を超えても直ちに時間外労働になりません。清算期間における実労働時間のうち法定労働時間の総枠を超えた部分が時間外労働です。時間外労働をさせるには36協定の締結が必要です。フレックスの協定届とは別の届出です。

両協定の違いを整理します。

  • フレックスタイム制の労使協定:制度の枠組み(対象者・清算期間・総労働時間など)を定めます。1か月超で労基署への届出が必要です
  • 36協定(時間外・休日労働に関する協定届):法定時間を超える時間外・休日労働を可能にするための協定です。様式第9号等で所轄労基署へ届け出ます
  • フレックス導入済みでも時間外が見込まれる場合は36協定の締結・届出が別に要ります
  • 清算期間が1か月超でも特例措置対象事業場の週44時間特例は使えず週平均40時間超は36協定と割増賃金が必要です

手順の確認ポイント

就業規則等に始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨と適用者・清算期間・総労働時間・標準労働時間などを整備します。営業部など適用範囲を明確にします。

労使で協定事項と有効期間を協議し協定書を作成します。代表者の適正な選出と署名・記名押印を確認します。

清算期間が1か月を超えるか確認します。超える場合は様式第3号の3に必要事項を転記し協定写しを添えて所轄労働基準監督署長へ届け出ます。1か月以内なら届出は不要です。

清算期間の総枠と月ごとの労働時間を確認し時間外の有無を見極めます。時間外が見込まれる場合は36協定を別に締結し様式第9号等で届け出ます。実労働時間の把握と賃金清算・周知を続けます。

誤解しやすい点と相談先

清算期間が1か月以内なら協定書を作らなくてよいですか。

いいえ。届出が不要でも労使協定の締結は必要です。就業規則への規定と協定の両方がなければフレックスタイム制として扱えません。

フレックスタイム制を導入したので36協定は要りませんか。

いいえ。清算期間の総枠を超える時間外労働をさせるには36協定が別に必要です。フレックスの届出で36協定を兼ねることはできません。

手続きに迷う場合は所轄労働基準監督署や都道府県労働局へ相談します。36協定の様式や提出先は東京労働局の案内で確認できます。導入後は1か月ごとに実労働時間の通知に努めるなど適切な管理を続けます。