離職理由に納得できないときは、離職票-2の⑯欄「離職者本人の判断」で「異議有り」に○をし、理由を記載して住居地のハローワークで受給資格決定時に相談します。ハローワークが事業主と労働者双方の主張と持参資料を調査のうえ、最終的な離職理由を判定します。この手続きにより特定受給資格者や給付制限の有無が変わることがあります。
この記事でわかること
要点一覧
- 離職証明書⑦欄と離職票-2の⑯欄の役割の違い
- 離職前に必ず確認するポイントと署名のルール
- 異議ありで提出する手順とハローワークでの再判定の流れ
- 持参すべき証拠資料の例と給付への影響
- 既に提出後や連絡が取れないときの相談先
対象者と異議が必要になる典型例
次のような場合、事業主が記載した離職理由と労働者の認識にずれが生じ、異議の申立てが検討対象になります。
典型例
- 実際は事業主からの退職勧奨や人員整理なのに、書類上は自己都合とされている
- 解雇とされているが、労働者側は合意退職と認識している
- 期間満了による雇止めなのに、労働者の希望による退職とされている
- 賃金低下や長時間労働、ハラスメント等が原因でやむなく退職したのに、個人的な事情とされている
離職証明書と離職票の関係 — ⑦欄と⑯欄は何が違うのか
事業主は離職日の翌々日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届に離職証明書を添えて事業所管轄のハローワークへ提出します。この離職証明書は3枚複写で作成され、1枚が事業主控、2枚目が安定所提出用、3枚目が離職票-2として労働者に交付されます。
| 欄 | 誰の主張か | 記載内容 |
|---|---|---|
| ⑦欄 離職理由(事業主記入欄) | 事業主 | 1〜6の区分から該当する離職理由に○、具体的事情記載欄に経緯を詳細に記入 |
| ⑯欄 離職者本人の判断 | 離職者本人 | 事業主が○を付けた離職理由に「異議有り・無し」のどちらかに○をし、署名。異議ありの場合は理由を併記 |
厚生労働省の注意書きでは、⑦欄は事業主の主張を確認するため、⑯欄はその内容に対する離職者の異議の有無を確認するための欄であると明確にされています。最終的な離職理由の判定は、双方の主張と確認資料に基づいてハローワークが慎重に行います。
手順1:離職前に離職証明書の⑦欄を確認する
離職証明書は原則として退職日までに労働者本人に見せ、⑯欄への記入と署名を求めることが事業主に義務付けられています。在職中に次の点を確認します。離職前に確認できない場合でも、離職票受領後に⑯欄で異議を表明できます。
確認ポイント
- ⑦欄で選択された離職理由の区分(1 倒産、2 定年、3 期間満了、4 事業主都合、5 労働者の判断、6 その他)が事実と一致しているか
- 具体的事情記載欄の記述が実際の経緯と一致しているか、重要な事実が省略されていないか
- 労働契約書・就業規則・賃金台帳など、⑦欄の理由に応じた確認資料が何か事業主から説明があったか
手順2:離職票-2の⑯欄で「異議有り」に○と署名する
離職票-2を受け取ったら、⑯欄「離職者本人の判断」を見ます。事業主が記載した離職理由に納得できないときは「異議有り」を○で囲み、氏名を記入して署名します。異議の内容がわかるように、簡潔に理由も併記します。修正液や修正テープは使わず、黒ボールペンで明確に記入します。
記入例
- 事業主記載:5の(2) 労働者の個人的な事情による離職(自己都合)
- 労働者記入:異議有り — 令和○年○月○日に上司から退職勧奨があり、応じたもので自己都合ではないため
- 署名:離職者本人が自署
手順3:住居地のハローワークで受給資格決定時に申し出る
受給資格の決定は住居地を管轄するハローワークで行います。求職の申込み後、離職票-1・2を提出する際に「離職理由に異議があります」と窓口で申し出ます。ハローワークでは次の流れで事実調査が行われます。
判定の流れ
- 労働者の主張(⑯欄の異議有りと口頭説明)と持参資料を確認
- 事業主が提出した離職証明書⑦欄と事業主側の確認資料を照合
- 必要に応じて事業主・労働者双方へ追加の事情聴取や資料提出を求める
- 安定所(ハローワーク)が最終的な離職理由を判定し、受給資格・給付日数・給付制限を決定
ハローワークインターネットサービスの手続き案内にも「離職理由に異議がある場合(実際は事業主からの退職勧奨であるにもかかわらず自己都合とされている場合など)は、ハローワークにご相談ください。ハローワークにおいて、事実関係を調査のうえ、離職理由を判定します」と明記されています。
持参すると判断が早くなる資料の例
離職理由の区分ごとに、事実を確認できる資料の持参が求められます。原本または写しを持参します。
| 離職理由の主張 | 持参資料の例 |
|---|---|
| 解雇と主張 | 解雇予告通知書、解雇通知書、退職証明書、就業規則 |
| 退職勧奨・希望退職と主張 | 退職勧奨の文書、希望退職募集要綱、応募の事実がわかる資料 |
| 雇止め(期間満了)と主張 | 労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書、タイムカード |
| 賃金低下・遅配・長時間労働が原因と主張 | 労働契約書、賃金規定、賃金台帳、タイムカード |
| ハラスメント等が原因と主張 | 配置転換辞令、就業規則、賃金台帳、相談記録等 |
判定結果が給付に与える影響
離職理由の判定により、受給要件と給付内容が変わります。
| 判定区分 | 受給要件(被保険者期間) | 給付制限 | 所定給付日数の扱い |
|---|---|---|---|
| 特定受給資格者(倒産・解雇等) | 離職前1年間に通算6か月で可 | なし | 年齢・期間に応じ手厚くなる場合あり |
| 特定理由離職者(雇止め等・正当な理由のある自己都合) | 離職前1年間に通算6か月で可 | なし(一部を除く) | 特定受給資格者と同様になる場合あり |
| 正当な理由のない自己都合等 | 離職前2年間に通算12か月必要 | 待期7日後2か月(5年以内に2回以上自己都合なら3か月) | 一般の所定給付日数 |
例えば自己都合とされていたものが、調査の結果「事業主からの働きかけによる退職勧奨」と判定されれば、特定受給資格者として6か月で受給資格を満たし、給付制限が外れ、所定給付日数が増えることがあります。
既に提出した後・事業主と連絡が取れないときは
離職票を既にハローワークへ提出した後でも、受給資格決定前であれば窓口で異議を申し出ることができます。決定後に不服がある場合も、判定内容についてハローワークへ相談します。会社から離職票が交付されない場合や事業主が行方不明の場合も、住居地を管轄するハローワークに問い合わせます。離職証明書の交付を希望しないとして事業主が提出を省略していても、離職者から請求があれば事業主は離職証明書を作成・交付しなければなりません。
注意点・よくある失敗
注意点
- ⑯欄の「異議有り・無し」は必ず○で囲み、署名を忘れない。署名が得られないときは事業主が理由を記載しますが、労働者は後日ハローワークで主張できます。
- 離職理由の判定は事業主または労働者の一方の主張だけで決まりません。双方の資料とハローワークの調査で慎重に判定されます。
- 受給資格決定には離職票-1・2のほか、マイナンバー確認書類、本人確認書類、写真2枚(マイナンバーカード提示で省略可)、本人名義の通帳等が必要です。16時前の来所が推奨されています。
- 虚偽の申告で給付を受けようとすると不正受給として以後の支給が停止され、厳しい処分があります。事実に基づき正確に申告します。
よくある質問
離職票-2の⑯欄で異議有りに○をしたら、必ず離職理由は変わりますか?
変わるとは限りません。ハローワークが事業主側の離職証明書⑦欄と双方の確認資料、必要に応じた事情聴取を踏まえて最終判定します。主張のみでは判定されず、資料による事実確認が重視されます。
異議を申し出る期限はありますか?
受給資格決定時(求職申込み時に離職票を提出するとき)に申し出るのが原則です。離職票提出後や決定後に疑義が生じた場合も、速やかに住居地のハローワークへ相談します。手続きは平日8時30分から17時15分です。
会社が離職証明書を見せてくれませんでした。どうすればよいですか?
本来は退職日までに必ず労働者に見せて⑯欄の記入と署名を求めることとされています。見せてもらえなかった場合でも、離職票交付後に⑯欄で異議を表明し、ハローワークへ相談できます。交付自体がない場合は住居地のハローワークへ問い合わせます。
まとめと次の行動
離職理由にずれを感じたら、離職票-2の⑯欄で「異議有り」に○と署名をし、理由を簡潔に記載して、住居地のハローワークで受給資格決定時に資料とともに申し出ます。事業主の主張と労働者の主張、双方の確認資料をもとにハローワークが最終判定し、その結果で受給要件、給付制限、所定給付日数が決まります。いつまでに何を提出するかを離職前に確認し、証拠となる書類は退職時に確保しておくと手続きが円滑です。判断に迷うときは、住居地を管轄するハローワークへ早めに相談してください。当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄するハローワークの最新案内をご確認ください。