賞与の支給がなかった場合、賞与支払届の提出は不要です。日本年金機構に登録している賞与支払予定月に、いずれの被保険者および70歳以上被用者にも支給しなかった場合は、賞与不支給報告書を提出します。支給した場合は支給日から5日以内に事務センターまたは管轄の年金事務所(健保組合加入は組合)へ届け出ます。総括表は令和3年4月1日から廃止されています。
手続きの概要
被保険者賞与支払届は、賞与にかかる社会保険料を適正に算定し、将来の年金額の基礎とするための届出です。対象となる賞与は、賃金・給料・手当など名称を問わず、労働の対償として年3回以下の支給のものです。年4回以上支給されるものは賞与ではなく標準報酬月額の対象となり、結婚祝金など労働の対償でないものは対象外です。70歳以上被用者も被保険者と同一の届書を使用します。届出内容により標準賞与額(税引き前の総支給額から1,000円未満を切り捨てた額)が決定し、健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1カ月あたり150万円が上限です。
支給なし・0円・一部不支給の判定はここで分かれる
迷いやすい「支給なし」「0円」「一部だけ不支給」のケースを、賞与支払届と賞与不支給報告書の要否で整理します。
| 状況 | 賞与支払届 | 賞与不支給報告書 |
|---|---|---|
| 全員に賞与を支給した | 必要(支給日から5日以内に支給者全員を届出) | 不要 |
| 登録した賞与支払予定月に全員が不支給 | 不要 | 必要(登録した予定月が対象) |
| 一部に支給あり・一部に不支給 | 支給者のみ必要(不支給者は該当欄に斜線) | 不要(一部でも支給があれば報告書は不要) |
| 支給はしたが保険料控除が0円のケース | 必要(標準賞与額は決定される。0円でも届出は必要) | 不要 |
| 完全に支給しなかった(全員0円) | 不要 | 登録予定月なら必要 |
「0円だから賞与支払届を出さなくてよい」と誤解しがちですが、賞与として支給した事実がある場合は、保険料が0円でも標準賞与額の決定のため賞与支払届が必要です。逆に、賞与自体を全く支給しなかった場合は、賞与支払届ではなく賞与不支給報告書が対象です。育児休業中の保険料免除期間に支払われた賞与など、保険料賦課対象でない賞与でも標準賞与額として決定・累計に含める扱いがあるため、記入漏れに注意が必要です。
提出期限と提出先
| 届出 | 期限 | 提出先 | 方法 |
|---|---|---|---|
| 被保険者賞与支払届 | 賞与支払日から5日以内 | 事務センターまたは管轄の年金事務所(協会けんぽ管掌)/健康保険組合(組合管掌は組合に確認) | 電子申請、電子媒体(CD/DVD)、郵送、窓口持参 |
| 賞与不支給報告書 | 不支給が確定後速やかに(登録予定月の翌月までに届出がないと翌々月に催告状) | 同上 | 電子申請、郵送、窓口持参(令和3年4月からe-Govでも可能) |
賞与支払届は、同じ月に2回以上賞与を支給した場合は最後の支給後に合算して届け出ます。すでに届出済の月に追加支給した場合は、同一月内の賞与をすべて合算して再届出が必要です。賞与不支給報告書は、事前に送付される届出用紙に全員不支給であることを記載して提出します。不支給の場合は標準賞与額決定通知書は送付されません。
令和3年4月からの大きな変更:総括表の廃止
令和3年3月31日をもって、被保険者賞与支払届総括表と被保険者報酬月額算定基礎届総括表は廃止されました。令和3年4月1日以降の提出分から添付は不要です。同時に、電子申請(e-Gov)で賞与不支給報告書が新設され、オンラインでの届出が可能になりました。紙の総括表は不要ですが、電子媒体(CD/DVD)で届け出る場合の「電子媒体届書総括票」は継続して提出が必要です。
70歳以上被用者と健康保険組合加入の場合
70歳以上被用者へ賞与を支給した場合も、被保険者と同一の「被保険者賞与支払届/70歳以上被用者賞与支払届」で届け出ます。70歳以上被用者の標準賞与額は厚生年金保険料の対象外ですが、届出自体は必要です。健康保険組合に加入している事業所は、届出の様式や提出先の詳細が組合ごとに異なる場合があるため、加入する組合の案内をご確認ください。全国健康保険協会(協会けんぽ)管掌の事業所は、年金機構経由の手続きが原則です。
70歳以上と組合に関するポイント
- 70歳以上被用者は「70歳以上被用者」欄を使用し、被保険者と同一届書で提出します。
- 健保組合管掌では、組合が賞与支払届の用紙を送付する場合があります。送付された用紙での届出が必要です。
- 電子媒体で不支給の方がいる場合は、その方は設定せず、全員不支給なら賞与不支給報告書のみを提出します。
手順:支給あり/支給なしを迷わず届け出る4ステップ
賞与支払予定月の登録を確認します。新規適用届や事業所関係変更届で登録した月が対象です。予定月以外に支給した場合は、その支給月の分として賞与支払届を提出します。
支給の有無を確認します。1人でも支給した場合は賞与支払届、不支給が確定し登録予定月に全員不支給なら賞与不支給報告書を選びます。一部に支給がある場合は、支給者のみを賞与支払届に記載し、不支給者は斜線で処理します。
届書を作成します。支給ありは「被保険者賞与支払届」に支給額(税引き前総支給額)を記入し、1,000円未満を切り捨てた標準賞与額を決定します。70歳以上被用者も同様です。不支給は「賞与不支給報告書」に全員不支給であることを記載します。添付書類は原則不要です。
5日以内に提出し、決定通知を確認します。支給ありは支給日から5日以内に事務センターまたは年金事務所へ電子申請・郵送・窓口で提出し、後日届く標準賞与額決定通知書を被保険者本人へ必ず通知します。不支給の場合は決定通知は届きません。翌々月に催告状が届いた場合は、未提出の報告書がないか確認します。
よくある失敗と催告状
提出で起きやすいミス
- 登録した賞与支払予定月に全員不支給だったのに、賞与支払届を空欄で提出してしまう(正しくは賞与不支給報告書です)。
- 0円でも支給した事実があるのに、賞与支払届を省略してしまう。
- 年4回以上の手当を賞与として届け出る(年4回以上は標準報酬月額の対象です)。
- 登録予定月の翌月までに何も提出せず、翌々月に催告状が届いて慌てる。
- 健康保険組合加入なのに年金事務所だけへ提出し、組合への届出を忘れる。
FAQ
賞与を1円も支給しなかった場合、賞与支払届の空欄提出でよいですか?
いいえ。賞与自体を支給しなかった場合は、賞与支払届の提出は不要です。登録した賞与支払予定月に全員が不支給なら、賞与不支給報告書を提出してください。一部に支給があれば、支給者のみを賞与支払届で届け出ます。
保険料が0円の場合は、賞与支払届は不要ですか?
支給した事実がある場合は必要です。賞与として支給したが、健康保険の年度累計573万円超などで標準賞与額が0円と決定される場合でも、賞与支払届の提出は必要です。完全に支給しなかった場合のみが賞与不支給報告書の対象です。
賞与支払届総括表は今も必要ですか?
令和3年4月1日以降の提出分から不要です。令和3年3月31日で廃止されました。電子媒体(CD/DVD)での「電子媒体届書総括票」は別途継続が必要ですが、紙の総括表は添付しません。
5日以内に間に合いませんでした。遅れて提出できますか?
提出は可能です。速やかに事務センターまたは年金事務所へ提出してください。遅延により標準賞与額の決定や保険料の通知が遅れるため、翌月の納入告知書で合算して納付することになります。催告状が届いた場合は、未提出の届出がないか確認してください。
公式情報と相談先
手続きの詳細は、日本年金機構の「従業員に賞与を支給したときの手続き」および「賞与を支給したとき、賞与支払予定月に賞与が不支給のとき」のページ、e-Govの総括表廃止・不支給報告書新設のお知らせで確認できます。賞与支払予定月の登録内容や届出用紙が届かない場合は、管轄の年金事務所または事務センターへお問い合わせください。健康保険組合に加入している場合は、加入先の組合にもご確認ください。
当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄する行政機関、年金事務所、健康保険組合などの最新案内をご確認ください。