健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届は「事実発生から5日以内」が原則ですが、過ぎてしまっても提出は可能です。日本年金機構では遡って受理し、資格取得日は実際の入社日に遡って登録され、遡及分の保険料が徴収されます。老齢厚生年金を受給中の方が対象の場合は年金額の一部が遡って調整・返納になることがあります。すぐに正しく再提出することが最も重要です。
手続きの概要
従業員を適用事業所で常時使用することになったとき、事業主は健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を日本年金機構へ提出します。70歳未満は健康保険と厚生年金の両方が対象、70歳以上は健康保険のみまたは70歳以上被用者該当として扱われます。パート・アルバイトでも所定労働時間と日数が通常労働者の4分の3以上、または特定適用事業所等で20時間・8.8万円などの要件を満たせば対象です。2026年6月26日時点の公式情報で確認しています。
対象者
この記事の対象者
- 従業員を新たに採用し、資格取得届の提出が5日を過ぎてしまった事業主・人事労務担当者
- 提出期限や提出先がわからず遅延してしまった小規模事業所の事務担当者
- パート・短時間労働者の加入要否と短時間労働者の区分で迷っている担当者
- 老齢年金を受給しながら再雇用した従業員の手続きを遅延したケース
提出期限・提出先・提出方法
公式情報では、事務担当者(事業主)の提出時期は「事実発生から5日以内」とされています。ここでの事実発生日は、雇用契約上の入社日ではなく「事実上の使用関係が発生した日」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出期限 | 事実発生から5日以内(土日祝を含む暦日計算が原則)。年金事務所・事務センターは土日祝閉庁のため、窓口持参は翌営業日、郵送は消印有効、電子申請は24時間送信可能ですが審査は翌営業日以降です |
| 提出先 | 事務センター(都道府県別、大口事業所個別番号を記載)または管轄の年金事務所 |
| 提出方法 | 電子申請、電子媒体(CD/DVD)、郵送、窓口持参。事業所向けオンラインサービスからも可能です |
| 添付書類 | 原則不要。60歳以上の退職後1日以内の継続再雇用、短時間労働者の区分などで例外的に必要 |
5日過ぎた場合の正しい対処法
過ぎたからといって提出が不要になることはありません。日本年金機構の留意事項では「届出が提出されていないことが後で分かった場合、さかのぼって資格取得届を提出し、事実が発生したときにさかのぼって保険料をお支払いいただく」と明記されています。速やかに正しい資格取得日で提出してください。
事実確認と資格取得日の特定
従業員が実際に使用関係に入った日(初出勤日)を人事記録・雇用契約書・出勤簿で確認します。試用期間中でも使用関係があればその日が起算日です。70歳以上被用者に該当するかどうかもあわせて確認します。
届書を作成し、正しい方法で提出
資格取得届に資格取得年月日、マイナンバー(ない場合は基礎年金番号と住所)、報酬月額(通貨・現物・合計)、短時間労働者に該当する場合は備考欄の○印などを正確に記入し、事務センターまたは管轄年金事務所へ電子申請・郵送・窓口のいずれかで提出します。遅延理由書の添付は法令上必須ではありませんが、年金事務所から口頭で理由を確認されることがあります。
遡及保険料と年金額の調整を確認
受理後、資格取得日に遡って被保険者登録され、事業主と被保険者双方の保険料が遡及して決定・徴収されます。翌月の給与から遡及分の控除が必要になることがあります。対象者が老齢厚生年金受給者の場合、在職老齢年金の仕組みにより、総報酬月額相当額と年金額の合計に応じて年金額が遡って停止となり、既に支払われた年金の返納を求められることがあるため、本人へ丁寧に説明が必要です。
再提出にならないためのよくある不備6点
日本年金機構が公表する不備の多い事例では、資格取得届が返戻され再提出になると、さらに取得が遅れます。次の6点は特に注意が必要です。
不備例チェックリスト
- 資格取得(該当)年月日の記入漏れ:適用事業所に使用されるに至った日を必ず記入
- 個人番号(マイナンバー)の記入漏れ:原則マイナンバーを記入し、本人確認を実施
- 基礎年金番号で提出したのに住所の記入漏れ:マイナンバーがない場合の住所は必須
- 短時間労働者の備考欄「3.短時間労働者の取得」に○印のつけ忘れ:特定適用事業所等で該当者は必ず○
- 報酬月額欄の「現物」「合計」の記入漏れ:現物なしでも「0」と合計額を記入
- 60歳以上の退職後継続再雇用で添付書類不備:就業規則・退職辞令・雇用契約書または事業主証明のいずれかを添付し、資格喪失届と同時提出
電子申請・郵送・窓口と土日祝の扱い
提出チャネル別のポイント
- 電子申請:e-Govまたは事業所向けオンラインサービスから24時間送信可能。土日祝でも送信はできますが、受付・審査は翌営業日以降です。画像添付(PDF/JPEG)にも対応しています
- 郵送:全国の事務センター宛に郵送。封筒には事務センター名と大口事業所個別番号を記載すれば住所不要です。消印日が提出日となるため、期限間際は速達や特定記録の利用を検討します
- 窓口持参:管轄の年金事務所の開庁時間内に持参。土日祝は閉庁のため提出できません。期限が休日に重なる場合は直前の営業日までの提出が安全です
よくある質問
5日を過ぎてから提出すると、資格取得日は提出日になりますか?
いいえ、資格取得日は実際の入社日(使用関係が発生した日)に遡ります。提出が遅れても資格取得日を提出日にずらしてはいけません。遅れた分は遡って保険料が徴収されます。
遅れた場合、追加で必要になる書類はありますか?
原則として追加書類は不要です。ただし、60歳以上の退職後1日以内の継続再雇用のように、もともと添付が必要なケースでは遅延の有無にかかわらず添付が必要です。短時間労働者の区分や基礎年金番号での提出時の住所など、通常の不備要件は遅延時も同様に確認されます。
パートやアルバイトの届出が遅れた場合も同じ扱いですか?
はい、パートでも被保険者要件(4分の3基準または特定適用事業所等の20時間・8.8万円・2か月超・学生でない等)を満たして使用関係が発生していれば、5日以内の提出義務と遅延時の遡及処理は同様です。短時間労働者に該当する場合は備考欄の○印を忘れずにつけてください。
まとめと次の行動
資格取得届は5日以内が原則ですが、過ぎても速やかに正しい資格取得日で提出すれば受理されます。遡及保険料と年金調整を理解し、給与控除や本人説明まで含めて対応しましょう。提出前に6つの不備ポイントを再確認し、電子申請なら休日でも送信、郵送なら消印、窓口なら営業日を意識して、事務センターまたは管轄年金事務所へ確実に届けてください。不明点は管轄の年金事務所へ相談してください。