結論からお伝えします。健康保険・厚生年金保険の被保険者賞与支払届は賞与の支給日から5日以内が期限ですが、過ぎても速やかに提出すれば受理されます。日本年金機構では登録された賞与支払予定月の翌月までに届出がない事業所へ翌々月に催告状を送付する運用が示されています。電子申請・電子媒体(CD/DVD)・郵送・窓口のいずれでも遅れた分の提出が可能であり、健康保険組合に加入している場合は年金機構分と組合分の提出先を分けて対応します。

賞与支払届とは・5日以内の起算点と対象者

被保険者賞与支払届は、事業主が被保険者および70歳以上被用者に賞与を支給したときに、その支給額等を日本年金機構へ届け出る手続きです。届出内容により標準賞与額が決定し、賞与にかかる保険料と将来の年金額の基礎になります。対象となる賞与は、賃金・給料・手当など名称を問わず、労働の対償として年3回以下の支給のものです。年4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象となり、結婚祝金など労働の対償とみなされないものは対象外です。

賞与支払届の基本

  • 提出時期:賞与支払日から5日以内(暦日で数えます)
  • 対象者:健康保険・厚生年金保険の被保険者および厚生年金保険の70歳以上被用者。資格取得月に支払われた賞与は対象、資格喪失月に支払われた賞与は原則対象外ですが、健康保険の標準賞与額としては決定・累計に含める例外があります
  • 標準賞与額:税引前の総支給額から1,000円未満を切り捨てた額。上限は健康保険が年度累計573万円(4月1日〜翌年3月31日)、厚生年金保険が1か月あたり150万円。同月内に2回以上支給したときは合算して上限を判定します
  • 届出用紙:賞与支払予定月の前月に、氏名・生年月日等を印字した用紙が送付されます。印字されていない方がいる場合は手書きで追記し、賞与の支払いがなかった方の欄は斜線で抹消します

5日を過ぎたらどうなる?催告状と罰則の考え方

期限を過ぎても届出自体は受け付けられます。日本年金機構の留意事項では、登録された賞与支払予定月に賞与の支払いがなかった場合に「賞与不支給報告書」を提出すること、登録月の翌月までに届出がない事業所には翌々月に催告状が送付されることが明記されています。期限内に手続きしないことには健康保険法や厚生年金保険法上の届出義務違反に該当する可能性があるため、気づいた時点で速やかに提出することが重要です。提出が遅れたことで直ちに保険料が加算される仕組みではありませんが、標準賞与額の決定や保険料の通知が遅れ、本人への通知や年度累計の管理に影響が出ます。

遅れたときの提出手順:4つのルートから選ぶ

いずれの方法でも、支給日・支給額・対象者の特定ができれば遅延分の提出として受理されます。電子申請が最も早く、郵送・窓口も可能です。

支給した賞与の内容を確定する

支給日、支給額(税引前総支給額)、対象者全員(70歳以上被用者を含む)を確定します。同月内に2回以上支給した場合は合算した額で1件として届け出ます。すでに当月分を届け出た後に追加で賞与を支給した場合は、合算額で再届出します。

提出先を確認する(健康保険組合加入かで分岐)

日本年金機構管掌(協会けんぽ)の事業所は事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出します。健康保険組合に加入している事業所は、健康保険分を加入する組合へ、厚生年金保険分を年金機構へそれぞれ提出します。組合の手続きページにも「被保険者賞与支払届は健康保険分のみ事業主経由で提出」「5日以内」「電子媒体・電子申請可」と明記されています。

提出先の分岐

  • 協会けんぽ(年金機構管掌):事務センターまたは年金事務所へ一括
  • 健康保険組合加入:健康保険分→各健康保険組合、厚生年金分→事務センター/年金事務所
  • 70歳以上被用者は「厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届」を併用します

提出方法を選んで速やかに送る

日本年金機構では電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参の4方法が案内されています。遅延時は電子申請が到達も早く、差し戻しの確認もオンラインでできます。

提出方法の比較
方法利用するもの遅延時のポイント
電子申請e-Gov/届書作成プログラム/市販労務管理ソフト到達が早い。e-Govは特別なソフト不要でほぼ全届書に対応。届書作成プログラムは無料で主要届書に対応。
電子媒体CDまたはDVD+電子媒体届書総括票「被保険者賞与支払届総括表」は令和3年3月に廃止だが、電子媒体用の総括票は提出が必要です。賞与不支給の方は設定しないでください。
郵送届出用紙またはダウンロード様式事務センター宛に郵送。消印ではなく到達が基準のため余裕を持って発送します。
窓口持参届出用紙管轄の年金事務所へ持参。記入漏れをその場で指摘してもらえる場合があります。

同月合算・賞与不支給報告書・70歳以上被用者の注意点

遅延しやすい派生手続き

  • 同月内に2回以上賞与を支給:最後の支給後に合算して届け出ます。健康保険は年度累計573万円、厚生年金は月150万円の上限を合算額で判定します
  • 登録された賞与支払予定月に支給がなかった:賞与支払届に代えて「賞与不支給報告書」を提出します。翌月までに届出がないと翌々月に催告状が送付されます
  • 70歳以上被用者:厚生年金保険分のみ「70歳以上被用者賞与支払届」で届け出ます。高齢任意加入被保険者は電子媒体不可で用紙提出が必要です
  • 標準賞与額累計が573万円超:同一年度・同一保険者内で累計が超えた場合、被保険者の申出に基づき「健康保険 標準賞与額累計申出書」を提出します(電子申請不可)

保険料・通知書・本人への周知

賞与にかかる保険料は標準賞与額に保険料率を掛けて算出し、事業主と被保険者が折半します。事業主は被保険者負担分を賞与から控除できます。保険料は毎月の保険料と合算して賞与支払月の翌月に納入告知書(口座振替の場合は納入告知額通知書)で通知され、月末までに納付します。届出後は「標準賞与額決定通知書」等が送付されるため、決定された標準賞与額は必ず被保険者本人へ通知します。不支給の場合は決定通知書は送付されません。

よくある失敗とリカバリー早見表

遅延パターン別リカバリー
状況とるべき行動備考
5日を1〜2日過ぎた速やかに同じ様式で提出(電子申請推奨)到達後は通常どおり標準賞与額が決定されます
登録月の翌月まで未提出で催告状が届いた催告状の指示に従い直ちに賞与支払届または不支給報告書を提出催告状は翌々月に送付されます
同月内に2回支給し1回目だけ届け出た合算額で再届出(差額ではない)上限判定は合算額で再計算されます
健康保険組合分を年金機構だけに送った健康保険分を加入組合へ別途提出厚生年金分は年金機構へ提出が必要です
印字用紙に氏名がない人がいる手書きで追記して提出。欄が足りなければ年金事務所へ連絡して用紙を追加前々月19日時点の情報で印字されるため直近入社者は印字されません

手続き後の確認と次のアクション

提出後は標準賞与額決定通知書の内容と、翌月の納入告知書の保険料額を確認します。賞与支払予定月の登録が実態と異なる場合は、事業所関係変更(訂正)届で予定月を修正しておくと、次回以降の印字用紙送付と催告の誤送付を防げます。手続きに不明点がある場合は、事務センターまたは管轄の年金事務所、加入する健康保険組合の適用窓口へ確認します。

5日を過ぎたら罰則や延滞金はかかりますか?

期限を過ぎても届出は受理されます。日本年金機構の手続き案内では、登録月の翌月までに届出がない場合に翌々月に催告状が送付される運用が示されています。健康保険法・厚生年金保険法上の届出義務違反に該当し得るため、速やかに提出することが必要です。賞与自体の保険料に延滞金が自動加算される仕組みではありませんが、決定・納付が遅れることで納入告知書の確認が遅れます。

電子申請はどのツールを使えばよいですか?

e-Gov、無料の届書作成プログラム、市販の労務管理ソフトのいずれかで電子申請できます。e-Govは特別なソフトがなくてもほぼ全ての届書に対応し、届書作成プログラムは主要な届書にコストをかけずに対応します。電子申請では添付書類なしで提出でき、標準賞与額決定通知書はオンラインで受け取れます。

健康保険組合に入っています。提出先はどこですか?

健康保険分は加入する健康保険組合へ、厚生年金保険分は事務センターまたは管轄の年金事務所へそれぞれ提出します。関東ITソフトウェア健康保険組合の手続き案内でも「被保険者賞与支払届は健康保険分のみ事業主経由で提出」「5日以内」「電子媒体・電子申請可」と案内されています。組合ごとに様式や電子申請の可否が異なる場合があるため、組合の案内も併せて確認します。

同じ月に賞与を2回払いました。どう届け出ますか?

同月内の支給は合算して1件として届け出ます。上限(健康保険は年度累計573万円、厚生年金は月150万円)も合算額で判定します。すでに1回目を届け出た後に2回目を支給した場合は、2回分の合計額で再届出します。

当サイトの内容は参考情報です。手続きの詳細や最新の様式は、管轄の年金事務所、事務センター、または加入する健康保険組合の最新案内をご確認ください。個別の保険料計算や年金記録への反映については、日本年金機構の案内に沿って事業主と被保険者で情報を共有します。