算定基礎届の「短時間就労者」と「短時間労働者」は名前が似ていますが別区分です。結論として、一般のパート等で正社員の4分の3未満の方は「短時間就労者」として17日基準で判定し、特定適用事業所等で週20時間以上・月8.8万円以上・学生でない方は「短時間労働者」として11日基準で判定します。この違いを正しく理解すると、算定基礎届の対象判定と報酬月の選び方で迷いません。

短時間就労者と短時間労働者の定義を整理

日本年金機構の定時決定の案内では、2つの区分が明確に分かれています。混同しやすいため、まずは名称と対象を正確に押さえます。

2つの区分の定義と比較
区分対象となる方根拠となる事業所
短時間就労者パート・アルバイト・契約社員など、正社員より短時間の労働条件で勤務する被保険者(1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が正社員の4分の3未満)すべての適用事業所
特定適用事業所等に勤務する短時間労働者1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が4分の3未満で、かつ週20時間以上・所定内賃金月8.8万円以上・学生でない方のすべてに該当する方特定適用事業所、任意特定適用事業所、国・地方公共団体に属する事業所

4分の3基準とは何で判断するか

4分の3基準は、正社員と比較して判断します。名称を問わず、パート・アルバイト・契約社員・準社員・嘱託社員など、労働条件が正社員より短い方が対象です。具体的には次の両方を満たすかで見ます。

4分の3基準の判断ポイント

  • 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満であること
  • 1か月の所定労働日数が正社員の4分の3未満であること
  • いずれも就業規則や雇用契約書に定める所定の時間・日数で判断し、残業時間は含めないこと

支払基礎日数の判定(17日・15日・11日)の違い

定時決定では、4月・5月・6月の支払基礎日数によって平均の取り方が変わります。区分ごとに基準が異なります。

支払基礎日数による判定方法の違い
区分判定方法備考
短時間就労者(一般)17日以上の月が1か月以上あれば該当月の平均/いずれも17日未満で15日以上17日未満の月があればその月の平均/いずれも15日未満は従前等級で決定平成18年度から実施の取扱い
特定適用事業所等の短時間労働者いずれも11日以上で3か月平均/1~2か月が11日以上なら該当月の平均/3か月とも11日未満は従前等級で決定週20時間・月8.8万円・学生除外の3要件を満たす方が対象

特定適用事業所等の短時間労働者は、判定のハードルが11日と低く設定されています。月によって所定労働日数が少ないパートの方でも、11日以上あれば算定対象に入るため、除外と誤解しないことが重要です。

算定基礎届の提出で迷わない判定フロー

判定フロー(総務担当者の確認順)

  1. 手順1:従業員が適用事業所の被保険者かを確認する(6月1日以降資格取得・6月30日以前退職・7月改定の月額変更届提出予定者は提出不要)
  2. 手順2:正社員の所定労働時間・日数を確認し、対象者が4分の3未満か判断する
  3. 手順3:事業所が特定適用事業所・任意特定適用事業所・国/地方公共団体に該当するか確認する
  4. 手順4:該当する場合は週20時間以上・月8.8万円以上・学生でないかの3要件を確認する
  5. 手順5:3要件をすべて満たせば短時間労働者(11日基準)、それ以外で4分の3未満なら短時間就労者(17日基準)として支払基礎日数を判定する

対象外・提出不要になるケース

対象外・提出不要の具体例

  • 4月~6月の各月の支払基礎日数が、短時間就労者で15日未満、短時間労働者で11日未満のみの場合は従前の等級で決定し、平均計算の対象外になります
  • 6月1日以降に資格取得した方、6月30日以前に退職した方、7月改定の月額変更届を提出する方は算定基礎届の提出自体が不要です(報酬月額欄は空欄で備考「3.月額変更予定」に〇)
  • 8月・9月に随時改定が予定されている旨を申し出た方も同様に提出不要ですが、要件に該当しないことが判明した場合は速やかに提出が必要です

実務で確認すること(チェックリスト)

提出前のチェックリスト

よくある質問

短時間就労者と短時間労働者は同じ意味ですか?

違います。短時間就労者は正社員より短時間で働く方全般を指し、すべての事業所で17日基準で判定します。短時間労働者は特定適用事業所等で週20時間以上・月8.8万円以上・学生でない方に限られ、11日基準で判定します。名称が似ているため混同しやすいですが、対象と基準が異なります。

週の所定労働時間が20時間未満でも短時間労働者になりますか?

なりません。特定適用事業所等に勤務していても、週20時間・月8.8万円・学生でないの3要件をすべて満たさなければ短時間労働者には該当しません。その場合は一般の短時間就労者として17日基準で判定します。

4月~6月の支払基礎日数がすべて15日未満の場合、短時間就労者はどうなりますか?

従前の標準報酬月額で定時決定されます。平均計算の対象にはならず、届出は従前等級のままとなります。特定適用事業所等の短時間労働者の場合は、3か月とも11日未満のときに同様に従前等級で決定します。

2026年7月10日までに算定基礎届を出し忘れたらどうなりますか?

速やかに提出してください。10日が土日の場合は翌営業日が期限です。提出が遅れても受付はされますが、決定される標準報酬月額は9月からの適用に影響します。電子申請の場合は受付エラーの有無を、郵送の場合は返信用封筒の到達を確認してください。