育児休業等終了時報酬月額変更届の提出時期は「速やかに」です。遅れても受理されますが、育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の報酬平均に基づく標準報酬月額の改定は4か月目からとなるため、提出が遅れるほど高い保険料が継続します。産前産後休業終了時報酬月額変更届とは対象となる休業と様式が異なりますので、書類を取り違えないよう確認が必要です。

育児休業等終了時報酬月額変更届とは

育児・介護休業法に基づく満3歳未満の子を養育するための育児休業等を終了した日に3歳未満の子を養育している被保険者について、通常の随時改定に該当しなくても、育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた報酬の平均額に基づき、4か月目の標準報酬月額から改定できる特例です。事業主が被保険者からの申出を受けて届け出ます。健康保険と厚生年金保険が同時に改定され、70歳以上被用者も同じ届書で手続きします。

対象者と2つの要件

次の条件をいずれも満たす場合に改定の対象となります。日本年金機構の公式情報で確認しています。

対象者の要件

  • 育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業および育児休業に準ずる休業)終了日に、3歳未満の子を養育している被保険者であること
  • 改定前と改定後の標準報酬月額の間に1等級以上の差が生じること(支払基礎日数が17日未満の月は平均の算定から除きます)
  • 育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月のうち、少なくとも1か月における支払基礎日数が17日以上あること(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上。3か月いずれも17日未満の場合は15日以上17日未満の月の平均で算定します)

提出期限「速やかに」と遅れたときの影響

日本年金機構は提出時期を「速やかに」としています。資格取得届などのような5日以内という法定の罰則付き期限はありませんが、遅延しても不受理や罰則にはなりません。ただし、決定された標準報酬月額が適用されるのは4か月目からであり、提出が遅れるほど改定が後ろ倒しになり、育休前の高い標準報酬に基づく保険料が継続します。速やかに提出することが従業員と事業所双方の負担軽減につながります。

提出先と提出方法の分岐

加入している健康保険の種類によって提出先が分かれます。提出方法は電子申請、郵送、窓口持参のいずれも可能です。

提出先の分岐
区分提出先
協会けんぽ加入事業所事務センターまたは管轄の年金事務所
健康保険組合加入事業所健康保険分は各健康保険組合、厚生年金分は事務センターまたは年金事務所
70歳以上被用者を含む場合同じ届書(70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届欄)で同時に提出します

提出方法

  • 電子申請:e-Govまたは年金機構の事業所向けオンラインサービスから申請します
  • 郵送:管轄の事務センターまたは年金事務所あてに郵送します
  • 窓口持参:管轄の年金事務所の窓口で提出します。健康保険組合加入の場合は組合の指定方法に従います

必要書類と委任状の例外

原則として添付書類は不要です。届書のみで手続きできます。

書類と例外

  • 必須:健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届(70歳以上被用者を含む場合は同届書)
  • 不要:賃金台帳や出勤簿などの添付は原則不要です
  • 例外(電子申請で代理提出の場合):被保険者本人以外が電子申請する場合は、原則として申請者本人と代理人双方の電子署名が必要です。ただし、事業主を代理とする旨の委任状の画像(JPEGまたはPDF)を添付した場合、または電子申請様式内の「届出意思の確認」欄にチェックを入力した場合は、本人の電子署名を省略できます

産前産後休業終了時報酬月額変更届との違い

名称が似ているため混同しやすいですが、対象となる休業と様式が異なります。取り違えると返戻の原因になります。

2つの届出の違い
項目育児休業等終了時報酬月額変更届産前産後休業終了時報酬月額変更届
対象となる休業育児・介護休業法に基づく育児休業等(満3歳未満の子を養育するための休業)産前産後休業(出産に係る休業)
対象者育児休業等終了日に3歳未満の子を養育している被保険者産前産後休業終了日に当該産前産後休業に係る子を養育している被保険者および70歳以上被用者
申出の前提被保険者からの申出を受けた事業主が提出被保険者から申出書の提出を受けた事業主が提出
改定の考え方育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月の報酬平均→4か月目の標準報酬月額から改定産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月の報酬平均→4か月目の標準報酬月額から改定
様式育児休業等終了時報酬月額変更届産前産後休業終了時報酬月額変更届(別様式)

出し忘れに気づいたときの手順

対象となるか確認します。育児休業等の終了日に3歳未満の子を養育しており、復帰後に時短勤務などで報酬が下がり、1等級以上の差と17日以上の支払基礎日数要件を満たすか確認します。

3か月間の報酬を集計します。育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の各月の報酬月額と支払基礎日数を賃金台帳から確認し、17日未満の月は平均から除外します。短時間労働者は11日以上が基準です。

届書を作成します。日本年金機構の公式様式「健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届」を使用し、3か月分の報酬月額と支払基礎日数、従前の標準報酬月額との比較を記入します。

速やかに提出します。電子申請、郵送、窓口持参のいずれかで、管轄の年金事務所・事務センターまたは健康保険組合へ提出します。遅れても受理されますので、気づいた時点で提出してください。改定後の標準報酬月額は、1〜6月に改定された場合は当年の8月まで、7〜12月に改定された場合は翌年の8月まで適用されます。

よくある失敗と注意点

失敗と対策

  • 産休後の届出と取り違える:産前産後休業終了時と育児休業等終了時は別届出です。休業の種類に合った様式を使用してください
  • 随時改定(月額変更届)と混同する:随時改定は固定的賃金の変動後3か月で2等級以上の差が要件です。本届出は育休復帰後の特例で1等級以上の差で足ります
  • 支払基礎日数の数え間違い:月給制は暦日数、日給・時給制は出勤日数で数えます。17日未満の月は平均から除外することを忘れないでください
  • 提出先の誤り:協会けんぽと組合管掌で提出先が異なります。健康保険組合加入の場合は組合にも確認してください
  • 養育期間標準報酬月額特例との併用漏れ:養育特例(従前標準報酬月額のみなし措置)は別途申出が必要です。保険料は下がりますが将来の年金額は従前で計算されるため、併用を検討してください

よくある質問

遅れた場合、遡って保険料は返還されますか?

標準報酬月額の改定は4か月目から適用されます。遅れて提出した場合でも、要件を満たせば改定自体は行われますが、改定月が後ろ倒しになるため、遅れた期間の高い保険料が還付されるわけではありません。速やかな提出が重要です。

産前産後休業から続けて育児休業を取った場合、どちらの届出を出しますか?

産前産後休業終了日の翌日に育児休業を開始している場合は、産前産後休業終了時報酬月額変更届は申出できません。育児休業等終了後に、育児休業等終了時報酬月額変更届を検討してください。いずれも対象日に子を養育していることが条件です。

電子申請で社会保険労務士が代理提出する場合、委任状は必要ですか?

原則として申請者本人と代理人双方の電子署名が必要です。ただし、被保険者が作成した「事業主を代理とする旨の委任状」の画像(JPEGまたはPDF)を添付した場合、または電子申請様式内の「届出意思の確認」欄にチェックを入力した場合は、本人の電子署名を省略できます。

公式情報と確認日

本記事は2026年8月31日時点の日本年金機構の公式情報で確認しています。制度や様式は変更される場合がありますので、提出前に最新の公式ページでご確認ください。個別事情によって判断が異なる場合は、管轄の年金事務所または健康保険組合へご相談ください。

公式リンク

  • 日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届の提出」(更新日2025年12月25日)
  • 日本年金機構「産前産後休業終了時報酬月額変更届の提出」(更新日2025年12月25日)
  • 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」(更新日2026年7月13日)