結論:育休終了時改定は「速やかに」1等級差で提出します

育児休業等終了時報酬月額変更届は、3歳未満の子を養育している方が育児休業等を終了し、時短勤務などで報酬が下がったときに、通常の随時改定より緩やかな1等級以上の差で標準報酬を見直せる特例です。提出期限は「速やかに」で、被保険者からの申出を受けた事業主が事務センターまたは管轄の年金事務所へ電子申請・郵送・窓口で提出します。改定は育休終了日の翌日が属する月以後3か月の平均報酬で判定し、4か月目の標準報酬から適用されます。日本年金機構の2025年12月25日および2026年7月13日更新の公式情報で確認しています。

通常の随時改定と育休終了時改定の違いを一目で比較

通常の随時改定と育休終了時改定の主な違い
項目通常の随時改定育休終了時改定(特例)
根拠・対象昇給・降給等で固定的賃金が変動したとき育児休業等終了日に3歳未満の子を養育し、終了後に報酬が変動したとき
等級差の要件2等級以上の差(上限・下限にわたる場合は1等級でも対象)1等級以上の差
算定期間変動月以後3か月の平均育休終了日の翌日が属する月以後3か月の平均
支払基礎日数の要件3か月とも17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)3か月のうち少なくとも1か月が17日以上(短時間労働者は11日以上)。3か月とも17日未満でも15日以上17日未満の月の平均で算定できる場合あり
改定時期変動月から4か月目の標準報酬から育休終了日の翌日が属する月から4か月目の標準報酬から
適用期間1〜6月改定は当年8月まで、7〜12月改定は翌年8月まで同左(1〜6月改定は当年8月まで、7〜12月改定は翌年8月まで)

表のとおり、育休終了時改定は「1等級」で足りる点と、支払基礎日数が「1か月でも17日あればよい」点が通常より緩和されています。固定的賃金が下がっただけでなく、時短勤務による報酬低下も対象になり得ます。いずれも日本年金機構の最新手続き案内で確認しています。

対象者と2つの判定条件

次の2つを同時に満たすときに、随時改定に該当しなくても特例で改定できます。

育休終了時改定の判定条件

  • 育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業および準ずる休業)の終了日に、3歳未満の子を養育している被保険者であること。
  • これまでの標準報酬月額と、育休終了日の翌日が属する月以後3か月の報酬の平均額から算出した標準報酬月額との間に1等級以上の差があること。ただし支払基礎日数が17日(特定適用事業所の短時間労働者は11日)未満の月は平均の対象から除き、3か月のうち少なくとも1か月は17日以上(短時間は11日以上)が必要です。

提出期限と提出先・方法(電子申請・郵送・窓口)

提出期限は法令上「速やかに」とされています。具体的な日数期限はありませんが、3か月の報酬が確定したら遅れずに提出します。被保険者からの申出を受けた事業主が提出します。

提出先と方法

  • 提出先:事務センターまたは管轄の年金事務所(健康保険組合加入者は各組合)
  • 提出方法:電子申請、郵送、窓口持参のいずれか
  • 届書名:健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届。添付書類は原則不要です。

事業主が速やかに行う3ステップ

被保険者から育休終了と報酬変動の申出を受け、終了日と養育状況(3歳未満の子を養育)を確認します。終了日の翌日が属する月を起算月とします。

起算月以後3か月の報酬月額と支払基礎日数を集計し、17日(短時間は11日)以上の月が1か月以上あるか、1等級以上の差があるかを確認します。平均額は支払基礎日数17日未満の月を除いて計算します。

「育児休業等終了時報酬月額変更届」に記入し、事務センターまたは管轄の年金事務所へ電子申請・郵送・窓口で提出します。電子申請で代理人が行う場合は、委任状の画像添付または届出意思確認欄のチェックで本人の電子署名を省略できます。

改定後の標準報酬はいつからいつまで適用されるか

決定された標準報酬月額の適用期間は、通常の随時改定と同じ扱いです。

適用期間の原則

  • 1月から6月に改定された場合:再び随時改定等がない限り、当年の8月までの各月に適用されます。
  • 7月から12月に改定された場合:再び随時改定等がない限り、翌年の8月までの各月に適用されます。

例えば、4月15日に育休が終了し、起算月が4月、3か月が4〜6月、改定が8月から、という流れになります。定時決定(毎年7月1日基準の4〜6月平均)の算定月と重なる場合でも、育休終了時改定が優先して適用されます。

注意点:固定的賃金の変動とよくある判定ミス

育休終了時改定は、固定的賃金の変動がなくても時短等で報酬が下がった場合に対象になり得る点が通常の随時改定と異なります。次の誤解にご注意ください。

よくある判定ミス

  • 残業手当などの非固定的賃金だけが増減した場合は、育休終了時改定・通常の随時改定とも対象になりません。固定的賃金(基本給・固定的手当・日給単価等)の変動が要件です。
  • 3か月の平均ではなく、直近1か月の給与だけで1等級差を判定してしまう。必ず3か月の平均で標準報酬を算出します。
  • 支払基礎日数17日未満の月を含めて平均してしまう。正しくは17日未満の月は除外します。

よくある質問

育休復帰後、時短勤務ではなく通常勤務で報酬が変わらない場合は対象ですか?

対象外です。育休終了時改定は、終了後の報酬に変動があり、1等級以上の差が生じたときに限られます。報酬が変わらなければ提出は不要です。将来、昇給等で固定的賃金が変動し通常の随時改定(2等級)に該当すれば、別途「被保険者報酬月額変更届」を提出します。

1等級差がなければ提出できませんか?

はい、1等級以上の差が要件のため、差がなければ育休終了時改定は行えません。0等級の場合は定時決定を待ちます。ただし通常の随時改定でも2等級差が必要なため、育休終了時改定の方が緩やかです。

提出が遅れた場合の罰則や遡及はありますか?

法令上「速やかに」とされているため日数罰則の明示はありませんが、遅れると高い標準報酬のまま保険料が徴収され、後で遡及して精算・還付や追徴が発生します。気づいた時点で速やかに提出し、年金事務所へご相談ください。

次の手続きと関連情報

育休復帰時は、今回の届出のほかに、定時決定や通常の随時改定、必要に応じた社会保険料の精算が続くことがあります。月額変更届を出し忘れた場合の一般的な対処は別記事で整理していますので、併せてご確認ください。

関連する手続き

  • 通常の随時改定で出し忘れたときの対処や遡及の考え方を確認する
  • 資格取得届が5日を過ぎた場合の遡及提出や保険料への影響を確認する

手続きに迷うときは、管轄の年金事務所または事務センターの案内をご確認ください。当サイトの内容は参考情報です。最終的な適用は最新の公式案内と個別事情に基づいてご判断ください。