労働者名簿は、事業場ごとに労働者一人ひとりの氏名、住所、雇入年月日、退職日などを記録する法定帳簿です。日々雇い入れられる者を除いて作成し、内容が変わったときは遅滞なく訂正します。法定保存期間は5年ですが、2026年7月29日時点では経過措置により当分の間3年です。

労働者名簿の基本

労働者名簿について、作成する人、対象、単位、更新、保存、提出の扱いを整理します。
確認項目内容
作成する人労働者を使用する事業主
作成単位事業場ごと、労働者ごと
対象日々雇い入れられる者を除く、労働基準法上の労働者
雇用形態正社員だけでなく、パート、アルバイト、有期契約社員なども原則として対象
更新記載事項に変更があったときは遅滞なく訂正
保存期間原則5年。ただし当分の間は3年
起算日労働者の退職・解雇または死亡の日
定期提出労働基準監督署へ毎月・毎年提出する帳簿ではなく、事業場で作成・保存

労働者名簿に必要な記載事項

厚生労働省の様式第19号と労働基準法施行規則では、次の事項を記録します。

  1. 氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の種類
  7. 雇入年月日
  8. 退職年月日と退職事由。解雇の場合はその理由を含みます
  9. 死亡年月日と死亡原因

「履歴」は法定項目ですが、厚生労働省の様式は細かな記載方法まで固定していません。採用後の配置・職務など、労働関係の経過を確認できるよう、社内で記録基準を決めて一貫して管理します。

誰の名簿を作成するのか

対象は、事業場で使用する労働基準法上の労働者です。正社員だけに限られず、パート、アルバイト、有期契約社員なども、雇用形態を理由に除外しません。役員でも実態として使用従属関係があり、賃金を受ける労働者に当たるかは個別判断です。

労働者名簿を作成・更新する手順

本社、店舗、営業所、工場など、労働者名簿を管理する事業場単位を確認します。会社全体の一覧だけで終わらせず、各事業場の労働者を特定できるようにします。

氏名、生年月日、住所、性別、雇入年月日など、入社時に確定している法定項目を記録します。履歴と従事する業務の種類も確認し、30人未満の省略規定を適用する場合は対象項目を明確にします。

住所、担当業務、履歴などに変更があったときは、遅滞なく訂正します。変更日や更新担当者を社内管理情報として残すと、いつの情報か確認しやすくなります。

退職・解雇の場合は年月日と事由を、死亡の場合は年月日と原因を記録します。解雇では解雇理由まで記載します。

退職・解雇または死亡の日を起算日として保存期限を管理します。法定期間は5年ですが、経過措置により当分の間は3年です。

労働者名簿・賃金台帳・社員名簿の違い

名称が似ていますが、目的と法定項目が異なります。
比較項目労働者名簿賃金台帳社内の社員名簿
主な目的雇用関係、本人情報、履歴、退職等を法定帳簿として記録賃金計算期間ごとの労働日数・時間と賃金内訳を法定帳簿として記録連絡先、所属、内線などを社内管理
主な根拠労働基準法第107条労働基準法第108条会社の管理目的による
更新の単位採用後の変更、退職・解雇・死亡時賃金を支払う都度会社の運用による
主な項目氏名、生年月日、履歴、住所、雇入日、退職等賃金計算期間、労働日数・時間、賃金内訳、控除額等会社が必要とする連絡・組織情報
保存原則5年、当分の間3年原則5年、当分の間3年法令・社内規程・利用目的に応じて管理

保存期間は原則5年、現在は3年

労働者名簿を含む労働関係記録の保存期間は、2020年4月1日に3年から5年へ延長されました。ただし、経過措置として当分の間は3年です。労働者名簿は、労働者の退職・解雇または死亡の日から保存期間を数えます。

労働者名簿の保存開始日を確認する例です。
状況起算日
自己都合退職退職日
契約期間満了による退職退職日
解雇解雇日
在職中に死亡死亡日
在職中内容を最新に保ち、退職・解雇または死亡後の保存に備えます

電子データで管理するときの確認点

人事システムや表計算で管理する場合の確認項目です。

厚生労働省の様式第19号を確認する

厚生労働省は、主要様式ダウンロードコーナーで労働者名簿の様式第19号を公開しています。独自帳票やシステムを使う場合も、公式様式と照合すると記載漏れを確認しやすくなります。

労働者名簿(様式第19号)を確認する厚生労働省が公開する労働者名簿の公式様式です。PDF文書のため画像としては添付せず、書類として案内します。

労働者名簿に関するよくある質問

パート・アルバイトも労働者名簿に載せますか?

原則として載せます。雇用形態だけで除外せず、日々雇い入れられる者に当たるかなど、法令上の区分を確認してください。

労働者名簿は何年保存しますか?

2026年7月29日時点では当分の間3年です。法定期間は5年であるため、今後の経過措置の変更にも注意してください。

労働者名簿は労働基準監督署へ提出しますか?

通常の定期提出はありません。事業場で作成・保存し、必要時に提示できるようにします。

厚生労働省の様式をそのまま使う必要がありますか?

公式様式と同じ法定項目を確実に管理することが重要です。独自様式を使う場合は、様式第19号と照合して不足がないか確認してください。

次にすること

まず、現在の社員名簿または人事システムから1人分を出力し、9つの記載事項がそろっているか確認してください。次に、パート・アルバイトを含む対象者の漏れ、30人未満の省略項目、退職者データの保存期限を点検します。賃金台帳は別の法定項目があるため、同じシステム内でも別途確認してください。

賃金台帳の記載項目と保存期間を確認する労働日数・労働時間・賃金内訳を記録する賃金台帳の法定項目と保存期間を確認できます。就業規則の届出方法を確認する常時10人以上の事業場で必要となる就業規則の作成・届出・周知を確認できます。

この記事は、e-Gov法令検索の労働基準法・労働基準法施行規則、厚生労働省の主要様式ページと労働者名簿様式第19号を2026年7月29日に確認して作成しています。労働者性、日々雇い入れられる者、事業場の単位などに個別判断が必要な場合は、事業場を管轄する労働基準監督署へ確認してください。