出勤簿は、労働者ごとの出勤状況と始業・終業時刻を記録する書類です。法律で名称や様式が固定されているわけではありませんが、使用者は労働日ごとの始業・終業時刻を確認・記録し、出勤簿やタイムカード等の関連記録を保存する必要があります。保存期間は法定5年、2026年7月29日時点では経過措置により当分の間3年です。
出勤簿の基本
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 法令上の位置付け | 出勤簿やタイムカード等は、労働時間の記録に関する「労働関係に関する重要な書類」として保存対象になります。 |
| 固定様式 | 法律で「出勤簿」という名称の全国共通様式は定められていません。紙、表計算、勤怠システム等で管理できます。 |
| 必ず確認する記録 | 労働者ごと・労働日ごとの始業時刻と終業時刻です。 |
| 原則的な確認方法 | 使用者による現認、またはタイムカード、ICカード、パソコン使用時間等の客観的記録を基礎にします。 |
| 保存期間 | 法定5年。ただし経過措置により当分の間3年です。 |
| 定期提出 | 通常、労働基準監督署へ毎月・毎年提出する書類ではなく、事業場で保存します。 |
出勤簿で確認できるようにする内容
厚生労働省のガイドラインが明示する中心項目は、労働日ごとの始業・終業時刻です。出勤簿という1枚の帳票だけですべてを管理する必要はありませんが、タイムカード、入退場記録、残業申請、休暇記録、賃金台帳などを組み合わせ、実際の労働時間を労働者ごとに確認できる状態にします。
勤怠記録として確認できるようにしたい主な内容です。法令上の中心項目と、実務上の照合項目を分けて管理します。
- 労働者を特定する氏名・社員番号等
- 労働日と、実際の始業時刻・終業時刻
- 休憩、遅刻、早退、欠勤、休日、有給休暇など、労働時間を確定するための情報
- 時間外労働、休日労働、深夜労働を判定できる記録
- 打刻漏れや修正があった場合の修正内容と確認経緯
- 残業命令書、申請・承認記録、パソコン使用時間、入退場記録などの照合資料
始業・終業時刻を記録する方法
| 方法 | 扱い | 確認点 |
|---|---|---|
| 使用者による現認 | 原則的な方法 | 使用者または労働時間管理者が始業・終業を直接確認し、適正に記録します。 |
| タイムカード・ICカード・パソコン記録 | 原則的な方法 | 客観的記録を基礎とし、残業命令・申請記録等と必要に応じて照合します。 |
| 自己申告 | やむを得ず用いる方法 | 労働者と管理者へルールを説明し、客観的記録との著しい乖離を調査・補正します。申告時間の上限設定など、適正な申告を妨げる運用はできません。 |
出勤簿を整備する手順
本社、店舗、営業所、工場など、労働時間を管理する事業場と対象労働者を確認します。雇用形態だけで正社員以外を除外しないようにします。
タイムカード、ICカード、勤怠システム、パソコン使用時間など、始業・終業時刻の基礎となる客観的記録を決めます。
打刻漏れ、直行直帰、在宅勤務、出張、休憩、残業申請など、通常の打刻だけでは確定できない場合の申告・承認・修正手順を定めます。
締め処理の前に、入退場記録、パソコン使用時間、残業申請、休暇記録との不一致を確認し、必要な調査と補正を行います。
確定した労働日数・労働時間、時間外・休日・深夜労働を賃金台帳と照合し、割増賃金等の計算に反映します。
紙・電子を問わず、保存期間中に労働者別・期間別で検索、表示、出力できる状態にします。システム変更や退職者アカウント削除で過去記録を失わないようにします。
出勤簿・タイムカード・賃金台帳の違い
| 比較項目 | 出勤簿 | タイムカード等 | 賃金台帳 |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 出勤状況や始業・終業、休暇等を労働者別に整理する | 打刻時刻、入退場、ICカード、パソコン使用時間等の客観的事実を残す | 労働日数・時間と賃金の計算・支払内容を法定帳簿として記録する |
| 様式 | 全国共通の固定様式なし | 機器・システムによる | 法定記載事項あり。厚生労働省がモデル様式を公開 |
| 単独で足りるか | 必要情報と照合資料がそろうかで判断 | 打刻だけで実労働時間が確定しない場合は補足が必要 | 賃金記録であり、客観的な打刻資料等の保存も別途必要 |
| 保存 | 労働時間記録として法定5年、当分の間3年 | 労働時間記録として法定5年、当分の間3年 | 法定5年、当分の間3年 |
保存期間は法定5年、現在は3年
労働基準法第109条は、労働関係に関する重要な書類の保存期間を5年と定めています。2020年4月1日の改正後も経過措置があり、2026年7月29日時点では当分の間3年です。厚生労働省は、出勤簿、タイムカード、始業・終業時刻等の記録を保存対象として例示しています。
起算点は原則として各書類の最後の記載日です。出勤簿等が賃金支払いに関する記録に当たり、その賃金の支払期日が最後の記載日より後になる場合は、後の支払期日から保存期間を数えます。給与締日だけで一律に削除日を決めず、記録と支払日の対応を確認してください。
よくある不備を確認する
現在の出勤簿・勤怠システムに次の不備がないか確認してください。
出勤簿に関するよくある質問
出勤簿はExcelや勤怠システムでもよいですか?
利用できます。帳票名や媒体ではなく、実際の労働時間を確認できる記録内容、修正手順、保存・出力の可否を確認してください。
タイムカードだけ保存すれば足りますか?
タイムカードは重要な基礎資料ですが、実労働時間を確定できない場合は補足記録と照合が必要です。賃金台帳も別途適正に作成します。
出勤簿は何年保存しますか?
2026年7月29日時点では当分の間3年です。将来の経過措置変更に備え、法定期間が5年であることも管理ルールに残してください。
出勤簿は労働基準監督署へ提出しますか?
毎月・毎年の定期提出はありません。保存期間中に検索・表示・出力できるよう管理してください。
次にすること
まず、任意の労働者1人について直近1か月の出勤簿、タイムカード等、残業申請、パソコン使用時間、休暇記録、賃金台帳を並べ、始業・終業と時間外・休日・深夜時間が一致するか確認してください。次に、打刻漏れの修正手順、保存起算日、システム移行後の出力方法を文書化します。
労働者名簿の記載事項と保存期間を確認する氏名、住所、雇入日、退職日等を記録する労働者名簿の法定項目と保存期間を確認できます。賃金台帳の記載項目と保存期間を確認する労働日数・時間外労働等と賃金内訳を記録する賃金台帳の法定項目を確認できます。この記事は、e-Gov法令検索の労働基準法、厚生労働省の労働時間把握ガイドライン、記録保存期間延長の公式資料を2026年7月29日に確認して作成しています。労働時間制度、労働者区分、事業場の運用に個別判断が必要な場合は、所在地を管轄する労働基準監督署へ確認してください。