出勤簿を作り忘れても、気づいた時点で速やかに遡って整え、当分の間3年(原則5年)保存できる状態に戻します。タイムカードやPCログ等の客観資料を基礎に始業・終業時刻を復元し、賃金台帳と突き合わせて臨検で直ちに提示できる体制を整えます。
対象と前提の確認
このページは、労働者を雇用しているのに出勤簿やタイムカード等の労働時間記録を作成していない、または一部期間が抜けている事業場を対象にしています。全国共通の原則です。受付時間や臨検時の運用は所轄労働基準監督署により異なる場合があります。
対象に当てはまるかを確認します。
- 労働者を雇用し、事業場で労働時間管理が必要な場合
- 出勤簿やタイムカード等の記録がない、または特定の月の記録が抜けている場合
- 賃金台帳や労働者名簿とは別に、始業・終業時刻の記録を整え直したい場合
まず確認する3点
いきなり記憶だけで作り直さず、残っている資料の有無から確認します。厚生労働省のガイドラインでは、労働日ごとの始業・終業時刻を確認し記録すること、原則として現認またはタイムカード・ICカード・PC使用時間等の客観的記録を基礎とすることが示されています。
不足状況の切り分け
- 全期間の出勤簿がないのか、一部期間のみ抜けているのか
- タイムカード・ICカード・PCログ・入退場記録・シフト表・残業命令書等の客観資料が残っているか
- 賃金台帳の労働日数・時間数と食い違いがないか
遡及整備の手順
不足期間を特定し、客観資料を基礎に復元します。
給与計算期間やシフト表から、記録がない年月日と対象労働者を洗い出します。雇用契約書や労働者名簿で在籍を確認します。
タイムカード・ICカード・PCログ・入退場記録・残業命令書と報告書等を集め、客観的な基礎資料を揃えます。資料がない日は、シフト予定と本人の申告を仮の材料にします。
労働日ごとの始業・終業時刻を復元し、休憩・時間外・休日・深夜の区分を整理します。自己申告で補う場合は、ガイドラインを踏まえた説明を行い、入退場記録等との著しい乖離があれば実態調査と補正をします。上限設定等で適正な申告を阻害する措置は設けません。
復元した出勤簿と賃金台帳の労働日数・時間数を突き合わせ、食い違いを直します。労働者本人にも始業・終業時刻を確認してもらうことが望ましいとされています。
保存期間と起算日の考え方
労働基準法第109条の対象には、出勤簿やタイムカード等の記録、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類が含まれます。2026年9月14日時点の厚生労働省の改正Q&Aでは、保存期間は5年に延長、ただし経過措置として当分の間は3年が適用されると案内されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保存期間 | 原則5年、当分の間は3年 |
| 対象 | 出勤簿、タイムカード等の記録、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類 |
| 起算日 | 記録の完結の日等。賃金支払期日が遅い場合は支払期日起算 |
例えば、賃金計算期間を当月1日から末日、賃金支払期日を翌月10日と定めている場合、タイムカード等で賃金計算に係る記録の保存期間は翌月10日から起算して3年の保存が必要と案内されています。個別事情によって判断が異なるため、起算日に迷う場合は管轄労働基準監督署へご確認ください。
臨検・相談への備え
厚生労働省のFAQでは、労務関係書類をパソコンで保存する場合、法令の要件を満たし画面表示・印字ができること、臨検時等に直ちに明らかにし提出できる仕組みであること、誤消去防止と長期保存ができることが要件と案内されています。紙と電子のいずれも、求められたら直ちに提示できる状態にします。
提示できる体制に戻すための確認項目
賃金台帳・労働者名簿との違い
出勤簿の遡及と混同しやすい帳簿を分けます。いずれも労働基準法第109条の保存対象ですが、根拠と記載内容が異なります。
| 帳簿 | 役割と記載内容 |
|---|---|
| 出勤簿等 | 労働日ごとの始業・終業時刻など労働時間の記録。タイムカード・IC・PCログ等を基礎に確認します。 |
| 賃金台帳 | 労働者ごとの労働日数、労働時間数、休日・時間外・深夜労働時間数等を適正に記入します。 |
| 労働者名簿 | 雇入れ・氏名・生年月日等の基本情報を管理します。 |
賃金台帳の遡及整備が必要な場合は、別の canonical な手順を確認します。
よくある質問
記憶だけで作り直してよいですか。
記憶のみの作り直しは避けてください。ガイドラインでは客観的記録を基礎とすることが原則です。タイムカード等がない日は、PCログ・入退場記録・シフト表・残業命令書等を集め、不足分は本人申告に加えて実態調査と補正で復元します。
タイムカードが一部しか残っていません。どう補えばよいですか。
客観資料の有無で対応が変わります。PCログや入退場記録、シフト表、業務用システムの履歴等を基礎に復元し、自己申告を併用する場合はガイドラインの説明・実態調査・補正の措置を取ります。賃金台帳の時間数とも突き合わせます。
3年過ぎた記録は廃棄してよいですか。
当分の間は3年保存が適用されますが、原則5年に備えて5年保存できる運用にしておくと安心です。起算日は記録の完結の日等で、賃金支払期日が遅い場合は支払期日起算です。計算期間と支払期日から逆算して廃棄を判断し、不安な場合は管轄労働基準監督署へご確認ください。
次の行動と関連手続き
不足分を整えたら、保存期間の管理表と臨検時の提示手順を決めます。賃金台帳側の不足がある場合は賃金台帳の遡及手順を、出勤簿の基本的な考え方を確認したい場合は出勤簿の解説を確認します。運用に迷う点は、所轄労働基準監督署へご相談ください。当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄する行政機関などの最新案内をご確認ください。