労働者名簿を作り忘れても、気づいた時点で速やかに遡って整え、原則5年・当分の間3年保存できる状態に戻します。厚生労働省の様式第19号と照合し、臨検で直ちに提示できる体制を整えます。
まず確認する3点
作り直す前に、不足の範囲と裏付け資料を確認します。
- どの事業場・どの期間・誰の名簿が抜けているか
- 賃金台帳・出勤簿・雇用契約書・住民票の写し等の裏付けが残っているか
- 人事システム・表計算・紙の控えのどれを正とするか
労働者名簿の基本
労働者名簿は、労働者を使用する事業主が事業場ごとに作成する法定帳簿です。厚生労働省の主要様式ページでは、労働基準法第107条・施行規則第53条の様式として様式第19号が案内されています。同ページでは、労働者名簿は労働基準監督署へ申請・届出する様式ではなく、必要に応じて事業場で使用する様式に区分されています。
様式第19号と照合する項目
厚生労働省が公開する労働者名簿(様式第19号)はPDF文書です。画像としては添付せず、書類として照合に使います。次の欄がそろっているか1人分ずつ確認します。
| 確認する欄 | 確認のポイント |
|---|---|
| 氏名 | 本人確認書類と表記をそろえます |
| 生年月日 | 雇用契約書・本人確認書類と突き合わせます |
| 履歴 | 社内で記録基準を決めて一貫して残します |
| 性別 | 本人確認書類の記載とそろえます |
| 住所 | 変更があれば遅滞なく訂正します |
| 従事する業務の種類 | 配置・職務の変更を反映します |
| 雇入年月日 | 雇用契約書・辞令と突き合わせます |
| 退職年月日と事由 | 退職・解雇の年月日と事由を記録します |
| 死亡年月日と原因 | 在職中の死亡があった場合に記録します |
保存期間は原則5年・当分の間3年
厚生労働省の事業者向けQ&Aでは、労働者名簿を含む労働関係書類の保存義務の期間は、従来3年から5年へ延長されたこと、ただし経過措置として当分の間は3年であることが説明されています。退職金の時効は5年のままで、時効の更新などで3年を過ぎても書類が必要になる場合があるため、3年で一律に廃棄しない運用が注意されています。
遡及整備の手順
いきなり記憶だけで作り直さず、残っている資料を基礎に復元します。賃金台帳の労働日数・賃金内訳と食い違いがないかも確認します。
事業場単位で、名簿がない労働者と抜けている期間を特定します。会社全体の一覧だけで終わらせず、各事業場の労働者を特定できるようにします。
雇用契約書・辞令・住民票の写し・賃金台帳・出勤簿・シフト表などから、氏名・住所・雇入年月日・配置の経過を裏付けます。客観資料が残っていない部分は、確認日と確認方法を社内メモに残します。
様式第19号の欄に沿って、入社時の項目から順に記録します。履歴と業務の種類は、配置・職務の経過が分かるよう社内基準でそろえます。
住所・業務・履歴などに変更があった場合は遅滞なく訂正します。変更日や更新担当者を社内管理情報として残すと、いつの情報か確認しやすくなります。
退職・解雇・死亡の記録を確定し、保存期限を管理表に登録します。電子で管理する場合は、必要なときにいつでも表示・印字・提出できる状態にします。
電子データで管理するときの4要件
厚生労働省のQ&Aでは、労務関係書類をパソコン上で作成・保存するには、法令の要件を満たし、画面表示と印字ができ、臨検時等に直ちに提示でき、誤って消去されず、長期に保存できることが求められています。
電子管理の前に確認する項目です。
賃金台帳との切り分け
同じ人事・給与システムで管理していても、労働者名簿と賃金台帳は確認する項目が異なります。主要様式ページでは、労働者名簿は第107条、賃金台帳は第108条の様式として別に案内されています。帳票名ではなく、それぞれの必要項目を取り出せるかで確認してください。
| 比較項目 | 労働者名簿 | 賃金台帳 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 本人情報・履歴・雇入・退職等を記録します | 労働日数・時間と賃金内訳を記録します |
| 主な根拠 | 労働基準法第107条 | 労働基準法第108条 |
| 更新の単位 | 採用後の変更・退職等のとき | 賃金を支払う都度 |
| 保存 | 原則5年・当分の間3年 | 原則5年・当分の間3年 |
管轄労働基準監督署への相談目安
次の場合は、早めに管轄労働基準監督署へ相談します。
- 対象者の範囲や事業場の単位に迷うとき
- 記載事項の訂正方法や保存期限の運用に迷うとき
- 過去分の遡及整備の裏付けが不足しているとき
- 臨検で指摘を受けたとき
よくある質問
労働者名簿が全期間ありません。遡って作り直せますか。
作り直せます。気づいた時点で速やかに、裏付け資料を基礎に不足期間を復元します。賃金台帳や出勤簿と突き合わせて食い違いをなくし、保存と提示ができる状態に戻します。
労働者名簿は労働基準監督署へ提出しますか。
通常の定期提出はありません。事業場で作成・保存し、臨検時等に直ちに提示できるようにします。主要様式ページでも事業場で使用する様式に区分されています。
紙の名簿がなく、システムのデータだけでもよいですか。
4要件を満たせば電子での作成・保存ができます。表示・印字、臨検時の即時提示、誤消去防止、長期保存を確認します。要件を満たせない場合は、印字して保存できる体制にします。
次にすること
まず、現在の人事システムや表計算から1人分を出力し、様式第19号の欄がそろっているか確認してください。次に、対象者の漏れ、変更の未訂正、退職者分の保存期限を点検します。賃金台帳は別の法定項目があるため、同じシステム内でも別途確認してください。
労働者名簿(様式第19号)を確認する厚生労働省が公開する労働者名簿の公式様式です。PDF文書のため画像としては添付せず、書類として案内します。この記事は、厚生労働省の主要様式ページ、事業者向けQ&A、電子保存のQ&Aを2026年9月17日に確認して作成しています。対象区分や事業場の単位などに個別判断が必要な場合は、事業場を管轄する労働基準監督署へ確認してください。