結論として、労働保険の概算保険料の延納(3回分割)は年度更新の申告と同時に手続きするもので、7月10日を過ぎると原則として分割は利用できず一括での納付が必要です。速やかに管轄の都道府県労働局または労働基準監督署へ申告書を提出し、納付書・電子納付(ペイジー)・口座振替のいずれかで納付してください。過ぎた場合の延滞金の有無は個別事情で判断されるため、必ず管轄労働局へご相談ください。
延納(分割納付)の仕組みと期日
延納は、概算保険料の負担を軽くするために納付を3回に分ける制度です。厚生労働省の案内では、概算保険料額が40万円以上(労災保険か雇用保険のどちらか一方のみ成立している場合は20万円以上)の場合、または労働保険事務組合に事務を委託している場合に、原則として分割できます。
| 区分 | 第1期 | 第2期 | 第3期 |
|---|---|---|---|
| 対象期間 | 4月1日~7月31日 | 8月1日~11月30日 | 12月1日~3月31日 |
| 納期限(通常) | 7月10日 | 10月31日 | 1月31日 |
| 口座振替を利用 | 9月7日 | 11月16日 | 2月15日 |
| 事務組合に委託(事業主) | 組合の指定する期限 | 11月16日 | 2月15日 |
この「7月10日」が年度更新の申告・納付期限と一致します。延納の利用は、年度更新申告書の提出時に併せて選択します。なお、6月1日や7月10日が土日に当たる年は、厚生労働省の案内のとおり翌営業日に繰り延べられます(令和8年度は2026年7月10日(金)が期限です)。
7月10日を過ぎたらどうなるか
7月10日を過ぎてから「やはり分割にしたい」と遡って延納を申し出ることは、原則としてできません。期日までに申告・申請がなかったものとして、一括納付の扱いになります。過ぎた日数に応じて延滞金が発生する場合があるため、放置せず早めに手続きすることが重要です。
過ぎた後に起こること
- 延納(3回分割)の選択は原則不可となり、全期分を一括で納付します。
- 納期限を過ぎた期間に応じた延滞金の対象となる場合があります(率は法令で定められていますが、適用は個別に労働局が判断します)。
- 労働保険事務組合に委託している場合でも、第1期分の延納期限(通常は7月10日、組合指定期限)を過ぎると同様に一括扱いとなることがあります。
- 年度更新申告書自体が未提出の場合は、別途「年度更新の期限を過ぎた場合」の手続きとして速やかな提出が求められます。
厚生労働省の「労働保険年度更新に係るお知らせ」にも、申告・納付がお済みでない場合は管轄の都道府県労働局までご相談くださいと明記されています。審査や督励の連絡が委託業者から届く前に、事業主側から連絡する方がスムーズです。
すぐにやること:期限後に取るべき手順
賃金総額を集計し、申告書を作成する。前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて計算し、申告書(継続事業用など)に記入します。書き方は厚生労働省の「申告書の書き方」ページが参考になります。
管轄の提出先を確認する。提出先は都道府県労働局または労働基準監督署です(雇用保険分の確認はハローワークでも可能)。郵送または電子申請(e-Gov)でも受け付けています。
申告書を速やかに提出する。持参・郵送・電子申請のいずれかで提出します。年度更新期間中と同様に、窓口へ出向かずに郵送・電子申請で完結できます。
一括で納付する。納付書による金融機関納付、電子納付(ペイジー)、または事前に申請済みの口座振替で納付します。納付書を紛失した場合は労働局で再発行できます。延滞金の有無や金額は労働局の案内に従ってください。
提出先と必要なもの
提出先
- 都道府県労働局 労働保険徴収課(管轄)
- 労働基準監督署(管轄)
- 電子申請:e-Gov(労働保険年度更新申告)
主な持ち物・用意するもの
- 労働保険 概算・確定保険料申告書(継続事業用・一括有期事業用など該当様式)
- 賃金集計表や賃金台帳など賃金総額の根拠資料
- 前年度の申告書控えや労働保険番号が分かる書類
- 納付書(金融機関で納付する場合)
口座振替や事務組合委託との違いに注意
口座振替を利用している事業主は、通常の納期限(7月10日)ではなく、口座振替日(令和8年度は9月7日)が実質的な引落日です。ただし、申告書の提出期限自体は7月10日のため、申告が遅れると振替の対象になりません。事務組合に委託している場合は、委託先の組合が指定する期限で納付しますが、年度更新申告書の提出自体は事業主が組合へ早めに依頼する必要があります。
よくある質問
7月10日が土日だった場合はいつまでですか?
厚生労働省の案内では、納期限が土曜日に当たる場合は翌々日(月曜日)、日曜日に当たる場合は翌日(月曜日)が納期限となります。年度更新期間の起算日(6月1日)についても同様の繰り延べがあります。令和8年度(2026年)は7月10日が金曜日のため、原則どおり7月10日が期限です。
事務組合に委託していれば7月10日を過ぎても分割できますか?
委託している場合でも、年度更新申告の提出が遅れると通常の延納扱いにはなりません。第2期・第3期の納期限は11月16日・2月15日と通常より遅くなりますが、第1期の申告・納付自体は速やかに行う必要があります。詳しくは委託先の事務組合と管轄労働局へご確認ください。
延滞金は必ずかかりますか?
納期限の翌日から起算して延滞金が発生する場合があります。料率や起算日は法令で定められていますが、個別の適用や金額は労働局の判断になります。期限後に気づいた時点で速やかに申告・納付し、労働局へご相談ください。支払いが困難な場合は猶予制度の利用を相談できます。
電子申請でも期限後は受け付けてもらえますか?
はい、e-Govによる電子申請は期限後でも受け付けられます。厚生労働省の「労働保険年度更新に係るお知らせ」でも、郵送または電子申請で受け付けていると案内されています。窓口へ出向かずに手続きできますが、納付自体は別途必要です。
関連する手続き
年度更新全体の遅延対応や、申告書の書き方、電子申請・郵送・窓口の使い分けは、別記事「労働保険の年度更新の期限を過ぎたときの申告・納付と追徴金・延滞金の考え方」で詳しく整理しています。口座振替の申請や猶予制度を利用したい場合は、厚生労働省の案内ページも併せてご確認ください。