賃金支払基礎日数は、給与を「月給」と呼んでいるかではなく、基本給が暦日全体を対象とするか、所定勤務日を対象とするかで数えます。欠勤控除がある日給月給制では欠勤日を除き、⑫欄には減額後の賃金を記入します。

給与形態別の賃金支払基礎日数

厚生労働省の現行手引きに基づき、基本的な数え方を整理します。
給与の定め方⑨・⑪欄の基本的な日数欠勤がある場合
月間全部を拘束する意味の月給制対象期間の暦日数。完全月なら28日・29日・30日・31日のいずれかです。賃金規程上の支給対象と実際の控除方法を確認します。単に出勤日数だけへ置き換えません。
所定勤務日を基本給の支給対象とする月給制・日給月給制日曜、休日など基本給の支給対象外の日を除いた、賃金支払の基礎となる日数です。欠勤により基本給が減額された日は、基礎日数から欠勤日数を除き、⑫欄には減額後の賃金を記入します。
日給・時間給・出来高給実際に賃金支払の基礎となった日数です。有給休暇など賃金が支払われる日も含みます。無給で賃金支払の基礎にならない欠勤日は含めません。

⑨欄と⑪欄は対象期間が違う

どちらも賃金支払の基礎となった日数を記入しますが、区切る期間が異なります。
欄対応する期間主な用途
⑨「⑧の期間における賃金支払基礎日数」離職日の翌日を基準に1か月ずつ区切った「被保険者期間算定対象期間」被保険者期間を数えるために使います。
⑪「⑩の基礎日数」賃金締切日の翌日から次の賃金締切日までの「賃金支払対象期間」離職前の賃金日額を計算するための賃金期間を確認します。

賃金締切日と離職日を基準にする日が異なるため、⑨欄と⑪欄の日数が一致しない月もあります。先に⑧・⑩欄の期間を確定してから、それぞれの日数を数えてください。

離職証明書の基礎日数を記入する手順

就業規則、賃金規程、雇用契約書を確認し、基本給が暦日全体を対象とする月給制か、所定勤務日を対象とする月給制・日給月給制かを判定します。

離職日から⑧欄の被保険者期間算定対象期間を区切り、賃金締切日から⑩欄の賃金支払対象期間を区切ります。⑨欄は⑧欄、⑪欄は⑩欄に対応させます。

出勤簿、タイムカード、有給休暇記録を照合し、各期間で賃金支払の基礎となった日を数えます。有給休暇は算入し、賃金支払の基礎となる半日も1日として扱います。

欠勤控除がある場合は、賃金規程に基づいて基礎日数から欠勤日数を除きます。所定休日を元から支給対象にしていない制度では、所定休日と欠勤日を分けて確認します。

⑫欄の賃金額を賃金台帳と照合します。欠勤控除がある月は控除前の通常月額ではなく、実際の減額後賃金を記入します。

有給休暇・半日・欠勤の扱い

日数を間違えやすいケースを整理します。
ケース基礎日数への扱い確認資料
年次有給休暇を1日取得賃金支払の基礎となるため1日として算入します。有給休暇管理簿、出勤簿、賃金台帳
賃金支払の基礎となる半日1日として扱います。勤務記録、給与計算資料
日給月給者が無給欠勤し、基本給が減額欠勤日を基礎日数から除き、⑫欄は減額後の賃金額にします。賃金規程、欠勤控除計算、賃金台帳
所定休日が基本給の支給対象外最初から基礎日数に含めません。勤務カレンダー、賃金規程
休業手当を支給休業手当の対象日を基礎日数に含め、⑬欄へ休業日数と休業手当額を記載する扱いがあります。休業記録、賃金台帳、休業手当計算資料
賃金支払基礎日数が10日以下の期間がある離職日が令和2年8月1日以降で、⑨欄11日以上の完全月が12か月(高年齢被保険者・短期雇用特例被保険者は6か月)、または⑪欄11日以上の完全月が6か月とれない場合は、基礎日数10日以下の期間について、⑬欄にその期間の賃金支払の基礎となった時間数を記入します。出勤簿・タイムカード、勤怠集計で時間数を確認できる資料

公式例:22日基礎の月に5日欠勤した場合

厚生労働省の手引きでは、一定の日数を基本給の支払対象とする日給月給者について、基礎日数22日の月に5日欠勤し、就業規則に基づいて賃金が減額された例を示しています。この場合、⑨・⑪欄は17日、⑫欄は減額後の賃金額です。

公式記入例の考え方です。実際の金額は自社の賃金規程で計算します。
項目通常月5日欠勤した月
賃金支払基礎日数22日17日
⑫欄の賃金額通常月の支給額欠勤控除後の支給額
⑬欄の備考通常は特記なし欠勤日数など、確認に必要な事項を記載

欠勤時は⑫欄のA・B欄も整合させる

主たる賃金の決め方により、⑫欄の記入先が変わります。
賃金の決め方記入欄例
月、週など一定期間で定める賃金A欄月給、週給、月決めの家族手当・通勤手当など
日、時間、出来高で定める賃金B欄日給、時間給、出来高給
日給と月決め手当が併存A欄とB欄へ分け、計欄に合計日給はB欄、月決めの通勤手当・家族手当はA欄

⑫欄で併せて確認するポイントです。

  • 月給者で超過勤務手当だけが翌月払いの場合は、その手当を働いた当月の賃金へ算入します。
  • 通勤手当を複数月分まとめて支払った場合は、対象月数で割って各月へ算入します。
  • 主たる賃金と諸手当の締切日が異なる場合は、主たる賃金の締切日に合わせて再計算します。
  • 賃金台帳の手取り振込額ではなく、雇用保険上の賃金として離職証明書に記載できる額を確認します

提出前に照合する資料

日数と賃金額を同じ資料だけで判断せず、次の記録を突き合わせます。

よくある記入ミス

返戻や訂正を防ぐため、次の誤りに注意します。

  • 給与明細に「月給」とあるだけで、すべて暦日数を記入する
  • 月間全部を拘束する月給制なのに、出勤日数だけを記入する
  • 所定勤務日を対象とする日給月給制なのに、所定休日まで含める
  • 有給休暇を欠勤と同じように除外する
  • 欠勤控除がある月の⑫欄へ通常月の満額を記入する
  • 日給をA欄へまとめ、月決め手当との区分をしない
  • 複数月分の通勤手当を支給月だけに全額計上する

提出後に誤りが見つかった場合

資格喪失届や離職証明書の提出後に基礎日数・賃金額の誤りが分かった場合は、訂正内容を確認できる賃金台帳、出勤簿、賃金規程などを準備し、管轄ハローワークへ提出方法を確認してください。厚生労働省の手引きは「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」による訂正手続きを案内しています。

有給休暇を取った日は基礎日数に入れますか?

入れます。厚生労働省の手引きは、有給休暇を賃金支払基礎日数へ算入するとしています。

半日勤務や半日の有給休暇は0.5日ですか?

離職証明書の基礎日数では、賃金支払の基礎となる半日も1日として扱います。

月給者なら必ず30日や31日を記入しますか?

必ずではありません。月間全部を拘束する意味の月給制か、所定勤務日を支給対象とする月給制・日給月給制かで数え方が変わります。

6か月分の通勤定期代は支給月だけに記入しますか?

支給月だけに全額を入れません。対象となる月数で割り、各月へ配分して記入します。

公式情報と確認日

この記事は、2026年8月2日時点で厚生労働省が掲載している「雇用保険事務手続きの手引き【第2編】被保険者資格の取得・喪失編【令和7年8月版】」を中心に確認しています。特に30~31ページの記載要領、36~37ページの欠勤例、39ページの休業手当例、59~61ページの賃金範囲を参照しています。

厚生労働省の手引き【第2編】を確認する(PDF)厚生労働省が掲載する「雇用保険事務手続きの手引き【第2編】」(PDF)で、離職証明書の記載要領と記入例を直接確認できます。

次にすること

まず就業規則・賃金規程を開き、基本給が暦日全体と所定勤務日のどちらを支給対象にしているかを確認してください。その後、⑧・⑩欄の期間ごとに出勤簿、有給休暇記録、賃金台帳を照合し、⑨・⑪・⑫欄を一体で作成します。判断できない月は提出前に管轄ハローワークへ確認してください。

雇用保険被保険者資格喪失届の書き方を確認する離職証明書と一緒に提出する資格喪失届の期限・必要書類・提出方法を確認できます。離職票-1・2の違いを確認するハローワークの処理後に本人へ交付される離職票-1・2の違いと確認項目を解説しています。