36協定届の一般条項は様式第9号です。複数事業場を持つ企業は、一括届出事業場一覧(CSV)を添えて、本社所在地を管轄する労働基準監督署へ労働条件ポータル「確かめよう労働条件」またはe-Govで電子申請できます。提出先と電子申請ツールの選び方を間違えると差し戻しになります。2026年8月23日時点の公式情報で確認しています。

手続きの概要

36協定(時間外・休日労働に関する労使協定)を締結したときは、事業場ごとに労働基準監督署へ届け出ることが原則です。一定の要件を満たす企業は、本社で複数事業場分をまとめて電子申請する「本社一括届出」が利用できます。令和5年2月27日から様式の統合とエラーチェック拡充、令和6年2月23日から1か月単位の変形労働時間制など6手続の本社一括対象拡大が行われ、労働条件ポータルからの申請がさらに便利になっています。

対象となる事業場と様式の選び方

提出する様式は協定の内容で決まります。最も一般的な時間外・休日労働の一般条項は様式第9号、限度時間を超える特別条項がある場合は様式第9号の2を使います。研究開発業務、建設・自動車運転・医師など適用猶予の経過措置が関係する場合は様式第9号の3以降が用意されています。協定書自体は労使で締結した原本が必要です。

様式区分の目安
協定の種類様式備考
一般条項(限度時間内)様式第9号最も一般的な36協定届。変更なし。
特別条項あり(限度時間超)様式第9号の2特別延長時間・手続・健康確保措置を記載。
研究開発業務様式第9号の3新技術・新商品等の研究開発業務。
建設(災害復旧含む)・自動車運転・医師様式第9号の3の2〜5令和6年4月以降の新様式。事業・業務で区分。
労使委員会・設定改善委員会の決議様式第9号の6・7委員会での決議による場合。

提出先と提出期限

原則は各事業場を管轄する労働基準監督署ですが、本社一括届出を利用する場合は本社所在地を管轄する労働基準監督署へ一括して電子申請します。個別届出であれば窓口持参・郵送も可能ですが、本社一括は電子申請のみです。

提出先の判断

  • 個別届出:各事業場所在地を管轄する労働基準監督署へ事業場ごとに提出(窓口・郵送・電子申請)
  • 本社一括届出:本社所在地を管轄する労働基準監督署へ、複数事業場分を一つにまとめて電子申請(一括届出事業場一覧CSVを添付)
  • 提出期限:協定の有効期間開始日までに届出。有効期間が4月1日開始であれば3月末までに届出を完了するのが安全です。

必要書類

本社一括(一般条項)の場合の主な書類

  • 時間外労働・休日労働に関する協定書(労使代表が署名または記名押印したもの)
  • 様式第9号(一般条項)の届出書:事業場ごとに作成
  • 一括届出事業場一覧(CSV):厚生労働省の一括届出事業場一覧作成ツールで作成。令和5年2月27日以降は統合された新ツールを使用します
  • 提出代行に関する証明書(PDF):社会保険労務士が事業主に代わって電子申請する場合、社会保険労務士証票のコピーを貼付したものを添付。令和3年4月1日以降は社労士の電子署名がなくても提出可能です

手順1:本社一括が使えるか確認する

本社一括届出はすべての企業が使えるわけではありません。次の要件を満たすことが前提です。所在地や代表者が異なる事業場を勝手にまとめることはできません。

本社一括の主な要件チェック

要件に不安がある場合は、事前に本社所在地を管轄する労働基準監督署へご確認ください。全国共通の制度ですが、事業場の構成や協定内容により個別の判断が必要になることがあります。

手順2:様式第9号と一括届出事業場一覧(CSV)を作成する

東京労働局のページから様式第9号のWordまたはPDFをダウンロードし、協定内容を転記して届出書を作成します。記載例(PDF)は記入時の参考になります。次に、厚生労働省の「一括届出事業場一覧作成ツール」をダウンロードし、事業場名称・所在地・管轄監督署・協定の有効期間などを入力してCSVを作成します。

作成時のポイント

  • 必ず最新の作成ツールを使用する:令和5年10月10日以降、旧ツールは利用できません。厚生労働省のページから再ダウンロードしてください
  • 令和5年2月27日から3種類に分かれていたツールが1種類に統合され、届出の種類はプルダウンで選択します
  • 協定の有効期間が令和6年4月1日以降の場合は新様式、令和6年3月31日以前は旧様式(経過措置)を確認してください
  • CSVは文字化けや列ズレがないか、ツール付属の利用方法(PDF)でチェックしてから添付します

手順3:労働条件ポータルまたはe-Govで電子申請する

36協定・1年変形協定・就業規則の届出は、労働条件ポータル「確かめよう労働条件」からの電子申請が推奨されています。その他の労働基準法等の届出はe-Govを利用します。一般条項の本社一括(様式第9号)であれば、いずれの経路でも申請可能ですが、労働条件ポータルの方がエラーチェック機能が充実しています。

電子申請の流れ

  1. GビズIDの取得または社労士のデジタル資格者証の準備:GビズIDの新規取得には1〜2週間かかることがあります。期限直前の取得は避けてください
  2. 労働条件ポータル「確かめよう労働条件」で「36協定届(本社一括)」を選択し、事業場情報と協定内容を入力
  3. 作成した様式第9号と一括届出事業場一覧CSVを添付:ファイル形式(Word・PDF・CSV)が正しいか確認します
  4. 申請内容のエラーチェックを実行:令和5年2月27日に拡充されたエラーチェックで、必須項目漏れや日付矛盾を事前に検出できます
  5. 本社所在地管轄の労働基準監督署へ送信し、受付番号を控える

手順4:受付確認と控えの保管

申請後はマイページや通知で審査状況を確認します。補正指示があった場合は期日までに対応してください。受理されたら受付印のある控え(電子申請の場合は受理通知)をダウンロードし、協定書原本とともに事業場ごとに保管します。監督署の調査で提示を求められることがあります。

本社一括が使えない場合の対応

特別条項や適用猶予事業の特定様式など、本社一括の対象外となっている手続や、事業場ごとに協定内容が大きく異なる場合は、従来どおり各事業場所在地を管轄する労働基準監督署へ個別に届け出ます。個別届出であれば郵送や窓口持参も可能です。令和6年2月23日以降は1か月単位の変形労働時間制など6手続も本社一括の対象に加わりましたが、対象手続かどうかは厚生労働省の最新リーフレットで都度確認してください。

よくある失敗と注意点

差し戻されやすいポイント

  • 協定の当事者である労働者代表の選出が不適切(管理監督者の選任など)
  • 協定の有効期間と届出様式の新旧が不一致(令和6年4月1日をまたぐ場合の新旧様式選択ミス)
  • 一括届出事業場一覧CSVの管轄監督署コードや住所の誤入力
  • 旧作成ツールで作成したCSVをそのまま添付(令和5年10月10日以降は新ツール必須)
  • 協定書の労使署名漏れや日付未記入のまま様式だけ提出
  • GビズID未取得のまま期限直前に電子申請を試みて間に合わない

申請後の手続きと関連する届出

36協定届の提出後は、同じく定時決定や変形労働時間制など、労働時間に関する他の協定届の有無も確認してください。社会保険の算定基礎届(7月10日提出)や労働保険の年度更新(7月10日)など、7月に集中する手続きと混同しないよう、担当部署でスケジュールを共有しておくと安心です。

よくある質問

様式第9号と様式第9号の2はどう使い分けますか?

一般条項(法定の限度時間内で時間外・休日労働させる場合)は様式第9号、限度時間を超えて延長する特別条項がある場合は様式第9号の2を使います。特別条項では特別延長時間、限度時間を超える回数、手続、健康・福祉確保措置の記載が必要です。協定内容に応じて正しい様式を選択してください。

本社一括届出の提出先はどこですか?

本社所在地を管轄する労働基準監督署へ電子申請で一括提出します。各事業場を管轄する監督署へ個別に提出する従来方式と異なり、窓口は本社管轄署に一本化されます。申請後は本社管轄署から各事業場管轄署へ回送されます。個別届出の場合は各事業場管轄署へ提出します。

電子申請は労働条件ポータルとe-Govのどちらを使えばよいですか?

36協定、1年単位の変形労働時間制に関する協定、就業規則の届出は労働条件ポータル「確かめよう労働条件」からの申請が推奨され、エラーチェック機能が充実しています。その他の労働基準法等の届出はe-Govを利用します。一般条項の本社一括であればどちらでも申請可能ですが、まずは労働条件ポータルの利用をご検討ください。

社労士が代行して電子申請できますか?

できます。令和3年4月1日以降、社労士または社労士法人が提出代行する場合、社労士の電子署名がなくても「提出代行に関する証明書(社会保険労務士証票のコピーを貼付したもの)」をPDFで添付すれば電子申請が可能です。令和8年2月26日からは労働条件ポータルでデジタル資格者証も使えるようになりました。

手続きに不安がある場合は、管轄の労働基準監督署または社会保険労務士へご相談ください。最新の様式・ツールは必ず厚生労働省の公式ページから入手してください。