36協定は「届出をもって有効」です。有効期間の開始日までに所轄労働基準監督署へ届け出なければ、空白期間の時間外・休日労働は労働基準法違反となるおそれがあります。気づいた時点で事業場単位で協定を再締結し、正副2部を窓口・郵送・e-Gov電子申請のいずれかで速やかに再提出し、労働者への周知まで行ってください。2026年8月23日時点の福井労働局・東京労働局手引・厚生労働省電子申請案内で確認しています。
36協定の基本と有効期間の考え方
36協定は、法定労働時間(1日8時間・週40時間、特例事業場は週44時間)や法定休日(週1日/4週4日)を超えて時間外・休日労働させる場合に、労使で書面協定を締結し所轄労働基準監督署長へ届け出る手続きです。労働基準法第36条に基づくため「36協定」と呼ばれます。協定は事業場単位で締結し、届出先も事業場所在地を管轄する監督署ごとに分かれます。1社に複数拠点がある場合は拠点ごとに必要です。
有効期間と届出の原則
- 有効期間は原則1年(事業完了までの期間が1年未満の場合はその期間)
- 届出をもって有効になるため、有効期間の開始日までに届出が必要です
- 毎年更新が必要で、1月や4月を起算日とする事業場が多いです
- 協定書は3年間保存、届出書は様式第9号(特別条項付きは協定書写しを添付または余白に記載)
期限切れ・空白期間が起きる主なパターン
よくある失敗パターン
- 年度末・年度始め(3月~4月)の更新を失念し、有効期間が切れた
- 起算日を過ぎてから届出し、空白期間の残業が無届け状態になった
- 本社一括で作成し、支店・工場ごとの届出漏れが発生した
- 過半数代表の選出が民主的手続きを欠き協定自体が無効と判断された
- 令和6年4月1日以降の様式変更(建設業・運転者・医師)への対応漏れ
再提出までの4ステップ
現在の協定状態を確認します。有効期間の満了日、起算日、事業場ごとの届出状況、前回控えの受付印、特別条項の有無、労働保険番号・法人番号の記載を点検します。切れている期間とこれからの残業予定を整理してください。
労使で協定を再締結します。労働組合がある事業場は当該組合と、ない事業場は投票・挙手・話合いなど民主的手続きで選出した過半数代表者と協定します。管理監督者は代表になれません。業務の種類・事由・労働者数・延长时间(1日/1日を超え3か月以内/1年)、有効期間、起算日を明確にします。特別条項を設ける場合は臨時的な特別の事情、手続、特別延长时间、割増賃金率を定めます。
届出方法を選び速やかに提出します。窓口・郵送・e-Gov電子申請のいずれも、事業場所在地を管轄する労働基準監督署が提出先です。提出は正副2部(原本+写し)で、副本は受付印を押して会社控えとして返却されます。郵送は返信用封筒(切手貼付・宛名記入)と送付状を同封し、特定記録やレターパックなど記録付き郵便の利用が推奨されます。電子申請はe-Gov(時間外労働・休日労働に関する協定届)と厚労省の作成支援ツール(スタートアップ労働条件)が利用できます。3月~4月は大変混み合い、到着順に処理されるため控えの返却まで時間を要します。
提出後に控えを受領し、労働者へ周知します。見やすい場所への掲示・備付け、書面交付、磁気媒体と閲覧機器設置のいずれかで周知します。就業規則等と同様に常時確認できる状態にしてください。協定書は3年間保存します。
提出方法3ルートの比較
| 提出ルート | 提出先 | 必要なもの | 受理の考え方 |
|---|---|---|---|
| 窓口 | 所轄労働基準監督署 | 協定届 正副2部 | 内容に問題がなければ窓口で受付 |
| 郵送 | 所轄労働基準監督署 | 協定届 正副2部、返信用封筒・切手、送付状、記録付き郵便 | 内容に問題がなければ到着日で受理 |
| 電子申請(e-Gov) | e-Gov経由で所轄監督署へ | 作成支援ツールで作成したデータ、電子証明書 | システムで受付、到着順に審査・処理 |
必要書類と準備物
再提出前に揃えるもの
出し忘れを防ぐ運用ポイント
運用で有効期間切れを防ぐ
- 起算日と満了日を一覧化し、満了の1か月前にアラートを設定する
- 事業場ごとの管轄監督署と担当者を明確にする
- 作成支援ツール(スタートアップ労働条件)を活用し入力ミスを減らす
- 特別条項・上限規制(1日2時間等の危険有害業務、月45時間・年360時間等の限度基準)の適合を事前に点検する
- 届出後の控えと周知記録をセットで保管する
よくある質問
空白期間の残業は事後提出で遡及できますか
できません。36協定は届出をもって有効になるため、有効期間開始日までに届出が必要です。空白期間の時間外・休日労働は無届けとなり、事後に提出しても遡って適法にはなりません。空白期間は残業を控え、協定発効後に再開してください。詳細は所轄労働基準監督署へご確認ください。
電子申請と窓口・郵送で効力に違いはありますか
効力に違いはありません。いずれも所轄労働基準監督署への届出として扱われ、内容に問題がなければ受理されます。電子申請は来署不要でいつでも手続できますが、3月~4月の繁忙期は郵送・電子申請とも到着順に処理され、控えの返却まで時間を要する場合があります。
1年未満の協定は可能ですか
事業が完了し又は業務が終了するまでの期間が1年未満の場合に限り、その期間で協定できます。継続事業で1年未満に区切ると限度基準(1年についての延长时间を定める必要)に適合しないため、原則1年としてください。
公式情報と相談先
手続きの詳細や様式の記入例は、福井労働局の案内と東京労働局の手引、厚生労働省の電子申請案内で確認できます。制度や記載内容に不明点がある場合は、都道府県労働局または事業場所在地を管轄する労働基準監督署へご相談ください。