複数事業場の36協定届は、本社一括届出で本社の所轄労働基準監督署へまとめて提出できます。書面とe-Govは内容同一が条件で、労働条件ポータル「確かめよう労働条件」では内容が異なる事業場も組み合わせて申請できます。令和7年3月31日適用の厚生労働省通達で条件と手順を整理します。

手続きの概要

時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)は、原則として事業場ごとに締結し、当該事業場の所轄労働基準監督署長へ届け出ます。複数の事業場を持つ企業は、一定の条件で本社機能を持つ事業場(本社)の使用者から一括して届け出ることができます。令和7年3月28日付け基発0328第8号は令和7年3月31日から適用され、平成15年通達を廃止しました。全国共通の原則です。2026年9月4日時点の公式情報で確認しています。

対象者

複数の事業場(支店・店舗・営業所など)を持ち、36協定届の提出を本社でまとめたい企業の労務・総務担当者が対象です。社会保険労務士が提出代行する場合の電子申請の扱いは別途案内があります。本記事は時間外・休日労働に関する協定届の本社一括に限定し、就業規則や変形労働時間制の届出は対象外とします。

3つの届出ルートと同一条件の違い

本社一括届出の可否は、届出方法で条件が異なります。次の表で整理します。

届出方法別の条件と提出先の比較
届出方法内容同一の条件提出先添付
書面またはCD-ROM等本社と同一内容かつ同一様式が必要です。当事者(労働組合名または過半数代表者の職名氏名、使用者職名氏名)も同一が必要です。本社の所轄署へ一括提出します。事業場数分の協定と事業場名称・所在地・所轄署名の一覧表を添付します。
e-Gov電子申請本社と同一内容かつ同一様式が必要です。当事者名と選出方法は同一でなくてよい項目です。本社の所轄署へ一括提出します。一括届出事業場一覧の電子ファイル(CSV)を添付します。
労働条件ポータル「確かめよう労働条件」本社と同一の事業場グループと、本社と異なるが相互に同一のグループ、単独の事業場を組み合わせできます。同一グループは本社所轄署へ、異なる内容の同一グループは代表事業場の所轄署へ、単独は各所轄署へ自動送信されます。ツールが一括届出事業場一覧を自動作成・添付します。

必要書類と準備

申請前に次の書類とファイルを用意します。

  • 時間外労働・休日労働に関する協定届(則様式、内容と様式を確認します)
  • 一括届出事業場一覧(書面は一覧表、e-GovはCSV、ポータルはツール自動作成です)
  • 協定の内容(延長時間等は各事業場の実態に即して設定します)
  • 一括届出事業場一覧作成ツール(厚生労働省ページから対応する手続用をダウンロードします)

厚生労働省の電子申請ページでは、一括届出事業場一覧作成ツールを掲載しています。令和8年9月5日以降は過去のツールが利用できなくなるため、最新のツールをダウンロードします。自治体により必要書類が異なるものではありませんが、所轄署の案内をご確認ください。

手順1:一括できる組み合わせを確認する

全事業場の協定内容が本社と同一か、異なる内容が混ざるかを確認します。異なる内容が混ざる場合は、労働条件ポータルのツールを使う方法を選びます。単に内容を同一にする目的で実態によらず延長時間等を定めることは望ましくないと通達で示されています。

手順2:対応する届出方法を選ぶ

内容がすべて同一なら書面、e-Gov、ポータルのいずれも選べます。内容が異なる事業場を含む場合はポータルのツールを使います。e-Govで直接申請する場合は同一条件が必要です。

手順3:一覧ファイルを作成する

e-Govでは一括届出事業場一覧作成ツールでCSVを作成し添付します。書面では事業場数分の協定と一覧表を用意します。ポータルではツールが自動で作成・添付します。過去に作成したCSVは読み込み可能ですが、ツール自体は最新版を使います。

手順4:所轄署へ提出する

本社一括分は本社の所轄労働基準監督署へ提出します。ポータルで内容が異なるグループを含む場合は、代表事業場の所轄署や各所轄署への送信先が自動で分かれます。e-Govの手続情報で申請先を確認して送信します。

注意点・よくある失敗

返戻や再提出を防ぐため、次の点を確認します。

  • 書面で当事者(労働組合名または過半数代表者、使用者)が1事業場でも違うと一括できません。
  • e-Govで当事者以外の項目が違うと一括できません。異なる内容はポータルを使います。
  • 古い一覧作成ツールを使うと令和8年9月5日以降は利用できません。
  • 特別条項付きの手続はe-Govの対応する手続情報を選びます。
  • 協定の締結主体である労働組合は、一括する全事業場で過半数で組織されている必要があります。

内容が少し違う店舗もまとめられますか。

労働条件ポータル「確かめよう労働条件」のツールでは、内容が異なる事業場も組み合わせて一括申請できます。内容が同一のグループごとに整理され、本社と同一グループは本社所轄署へ、異なる内容で相互に同一のグループは代表事業場の所轄署へ送信されます。書面やe-Gov直接申請では同一条件が必要です。

提出先はどこになりますか。

本社と同一内容の一括分は本社の所轄労働基準監督署へ提出します。ポータルで異なる内容を含む場合は、代表事業場の所轄署や各所轄署へ分かれて送信されます。通常の事業場単位の届出は各事業場の所轄署へ提出します。

厚生労働省の電子申請案内(一括届出事業場一覧作成ツール)厚生労働省の電子申請案内(一括届出事業場一覧作成ツール)

次に、各事業場の協定内容と一覧ファイルを整えて、本社所轄署またはポータルの送信先へ提出します。個別事情によって判断が異なるため、管轄の労働基準監督署へご確認ください。当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄する行政機関などの最新案内をご確認ください。