36協定は所轄労働基準監督署長への届出だけでは足りず、締結後は労働基準法第106条第1項に基づき、次の3つのいずれかの方法で労働者へ常時周知が必要です。掲示・備え付け、書面交付、電子記録と閲覧機器の設置から1つを選びます。

対象と前提の確認

この記事は、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)を締結し、届出を行った、またはこれから行う事業場の使用者と労務担当者を対象とします。全国共通の労働基準法上の周知義務が対象で、提出先の窓口や様式の細部は管轄により案内が異なる場合があります。2026年9月18日時点の厚生労働省の公式情報で確認しています。

周知が必要なものには、時間外労働・休日労働に関する協定(労働基準法第36条第1項)が含まれます。厚生労働省の公式Q&Aでは、労基法や施行規則の要旨、就業規則と並んで、36協定を含む労使協定・決議が周知対象として列挙されています。届出と周知は別の義務です。

3つの周知方法から1つを選ぶ

厚生労働省の公式Q&Aが示す周知方法は次の3つです。いずれか1つを満たせば周知したことになります。

周知方法の3つの選択肢
方法内容実務の注意点
常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付け36協定書・36協定届の写しなどを作業場の見やすい場所に掲示、または備え付けます。従業員が知ろうと思えばいつでも存在や内容を知り得る状態にします。
書面で交付する労働者に36協定などの書面を交付します。配布した事実が残るよう管理します。
電子記録と閲覧機器の設置磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、各作業場に内容を常時確認できる機器を設置します。パソコン等の閲覧機器を各作業場に設置します。

手順1:周知する文書を決める

周知するのは36協定の内容です。届出用とは別に、労働者が内容を確認できる36協定書・36協定届の写しを用意します。届出自体は東京労働局の案内では所轄労働基準監督署長への提出とされ、様式第9号などの様式が示されています。届出先への提出と事業場での周知を分けて管理します。

手順2:3つのいずれかで常時周知する

掲示・備え付け、書面交付、電子記録と閲覧機器の設置のいずれかを実施します。厚生労働省の公式Q&Aでは、常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け、書面の交付、電子記録と常時確認できる機器の設置が示されています。掲示物を剥がしたままにせず、異動や更新のたびに見直します。

手順3:いつでも確認できる状態を保つ

作成時や変更時だけでなく、従業員が内容を確認したいときにいつでも確認できる状態にしておきます。厚生労働省の公式Q&Aでは、労働者が知ろうと思えばいつでも存在や内容を知り得るようにしておくことが周知と説明されています。実際に知っているかどうかではなく、確認できる状態が重要です。

周知していない場合の指導・罰則

周知義務に違反した場合には30万円以下の罰金が定められています(労働基準法第120条第1項)。厚生労働省の公式Q&Aでは、違反には同罰則があり、周知を実施していない場合には労働基準監督署から指導されることがあると説明されています。指摘を受ける前に3つのいずれかで立て直します。

労働者から確認を求められたときの対応

従業員が就業規則や36協定の内容を確認したいときは、会社に閲覧できる状態か確認します。厚生労働省の公式Q&Aでは、就業規則について閲覧できるようになっているか会社に確認するよう案内されています。36協定も同様に、掲示・備え付け場所、交付書面、電子閲覧のいずれかを案内できるよう準備します。

実施前のチェックリスト

よくある質問

3つの周知方法はすべて行う必要がありますか。

いずれか1つで足ります。常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け、書面の交付、電子記録と常時確認できる機器の設置のうち、事業場に合う方法を選びます。厚生労働省の公式Q&Aが示す3つのいずれかを実施します。

36協定届を提出すれば周知は不要ですか。

いいえ、届出と周知は別の義務です。東京労働局の案内では36協定届は所轄労働基準監督署長への届出とされています。一方、厚生労働省の公式Q&Aでは36協定を含む労使協定の周知が使用者に義務づけられています。届出後に事業場での周知が必要です。

周知していないとどうなりますか。

厚生労働省の公式Q&Aでは、違反には30万円以下の罰金(労働基準法第120条第1項)があり、周知をしていない場合には労働基準監督署から指導されることがあると説明されています。速やかに3つのいずれかで周知します。

厚生労働省 確かめよう労働条件の公式Q&A、スタートアップ労働条件の公式Q&A、東京労働局の36協定届案内で確認しています(いずれも2026年9月18日確認)。適用や様式の細部は管轄により異なるため、個別事情がある場合は所轄労働基準監督署へご確認ください。