支給開始日以前の被保険者期間が12か月に満たない場合、傷病手当金の計算には「支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均」と「全被保険者の平均標準報酬月額」のうち、低い額を使います。全被保険者の平均標準報酬月額は、支給開始日が2025年4月1日以降の方は32万円、2025年3月31日以前の方は30万円です。自分の標準報酬月額が高い場合でも、この上限側の額で抑えられる仕組みです。

12か月ある場合と12か月未満の場合の違い

支給開始日以前の被保険者期間の長さによって、日額の計算に使う金額が変わります。
支給開始日以前の期間計算に使う標準報酬月額
12か月以上ある支給開始日以前の直近12か月の各月の標準報酬月額の平均
12か月に満たない直近の継続した各月の標準報酬月額の平均と、全被保険者の平均標準報酬月額のうち低い額

12か月未満の場合に比べる2つの金額です。

  • 支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均
  • 全被保険者の平均標準報酬月額(支給開始日が2025年4月1日以降は32万円、2025年3月31日以前は30万円)
高さの違う2本の棒を並べ、低い方に矢印が向いている抽象イメージ
AI生成イメージ:加入12か月未満の場合は2つの金額を比べ、低い方を計算に使います。

計算する手順

支給開始日を確認します。支給開始日は、待期3日が成立した後、傷病手当金の支給が始まった最初の日です。この日が2025年4月1日以降かどうかで、比べる平均額が32万円か30万円かが決まります。

支給開始日の属する月以前について、被保険者期間が継続している各月の標準報酬月額を並べ、その平均を求めます。標準報酬月額は給与明細の控除額ではなく、健康保険・厚生年金保険の計算用に等級で決まる金額です。

手順2で求めた平均と、全被保険者の平均標準報酬月額(32万円または30万円)を比べ、低い方を採用します。

採用した額を30で割り(10円未満四捨五入)、その3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が1日あたりの支給額です。

この計算になりやすいケース

被保険者期間が12か月に届かないまま療養を始めた場合が中心です。

  • 入社してから1年たたないうちに病気・けがで休んだ
  • 転職して現在の健康保険の加入から12か月経っていない
  • 定年再雇用などで資格に変更があり、継続した加入月が12か月に届かない

金額を確認するときの注意点

支給額そのものは、日額の計算だけで決まるわけではありません。

よくある質問

標準報酬月額が高い場合、12か月未満だと必ず32万円で計算されますか?

直近の継続した各月の標準報酬月額の平均が32万円を超えている場合は、低い方である32万円が使われます。支給開始日が2025年3月31日以前の方は30万円です。平均が32万円を下回っていれば、その平均額が使われます。

加入して1か月しかない場合も対象になりますか?

支給の要件は加入期間の長さではなく、業務外の傷病の療養で仕事に就けず、連続する3日間を含み4日以上休み、その期間に給与の支払いがないことです。要件を満たせば加入期間が短くても申請できます。金額は直近の継続した月の標準報酬月額の平均と、全被保険者の平均標準報酬月額を比べて低い額で計算します。

退職後も引き続き受けたい場合はどうなりますか?

資格喪失日の前日までに被保険者期間(任意継続被保険者、共済組合の組合員である被保険者、国民健康保険の加入期間を除く)が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に傷病手当金を受けているか受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けられます。加入が12か月未満の段階で退職すると、この継続給付の条件は満たしません。

公式情報と確認日

この記事は、全国健康保険協会「傷病手当金」および「健康保険傷病手当金支給申請書」のページを2026年7月30日に確認して作成しています。全被保険者の平均標準報酬月額は年度により見直される場合があるため、申請前に公式ページで最新額を確認してください。実際の支給額は標準報酬月額の記録や調整の有無により変わるため、金額の確定は加入支部の審査によります。

協会けんぽ「傷病手当金」で計算方法を確認する支給金額の計算式、12か月未満の場合の取り扱い、支給期間を公式ページで確認できます。健康保険傷病手当金支給申請書の様式と添付書類を確認する現行様式、提出先、事業所変更時の添付書類、申請期限を公式ページで確認できます。

次にすること

まず、支給開始日と、その月以前で加入が継続している各月の標準報酬月額を勤務先または資格情報のお知らせで確認します。その平均と32万円(支給開始日が2025年3月31日以前は30万円)を比べ、低い方で日額を試算してから申請書を準備してください。

協会けんぽの傷病手当金の申請方法を確認する申請書の記入、添付書類、電子申請・郵送の流れは別記事でまとめています。