同一(関連)の傷病について傷病手当金と障害厚生年金の両方を受けられる場合、傷病手当金は原則として支給されません。ただし、傷病手当金の日額が障害厚生年金の日額(同一の支給事由による障害基礎年金も受けられるときは両者の合計額の日額)より多いときは、その差額が支給されます。年金の日額は「年金額÷360」で計算します。障害基礎年金だけを受けられる場合や、傷病手当金と別の傷病で障害厚生年金を受ける場合は、傷病手当金は全額支給されます。
3つのパターンで結論が分かれます
| 状況 | 傷病手当金の扱い |
|---|---|
| 同一(関連)の傷病で障害厚生年金を受けられ、傷病手当金の日額が年金(同一事由の障害基礎年金があれば合計額)の日額以下 | 支給されません |
| 同一(関連)の傷病で障害厚生年金を受けられ、傷病手当金の日額が年金の日額より多い | 差額が支給されます |
| 障害基礎年金だけを受けられる、または傷病手当金と異なる傷病で障害厚生年金を受けられる | 全額支給されます |
同一(関連)の傷病について傷病手当金と障害手当金の両方を受けられる場合も、傷病手当金は支給されないか差額のみの支給になります。根拠は健康保険法第108条の調整規定です。
日額を比べる手順
傷病手当金の支給日額を確認します。支給決定通知書などで、支給額を支給日数で割った1日あたりの額を確認します。
年金の支給日額を計算します。年金額を360で割った額が比較に使う日額です。同一の支給事由による障害基礎年金も受けられる場合は、障害厚生年金と障害基礎年金の合計額で計算します。
2つの日額を比べます。傷病手当金の日額が年金の日額以下なら傷病手当金は支給されません。年金の日額より多いときは、その差額が支給されます。

さかのぼって年金が決まったときは返納の連絡をします
障害年金は請求から決定まで時間がかかり、支給が過去にさかのぼることがあります。すでに受け取った傷病手当金の期間と年金の支給期間が重複した場合、重複期間の傷病手当金は過払いとなり、返納が必要です。協会けんぽは、さかのぼって年金を受給することになった場合は加入支部へ連絡するよう案内しています。
連絡する前に手元でそろえておく情報です。
申請書に添える書類
傷病手当金支給申請書では、年金を受けている場合の情報を記入します。マイナンバーを利用した情報照会を希望しない場合は、次の書類を添付します。
年金を受けている場合の添付書類です。
- 障害厚生年金:年金証書またはこれに準ずる書類の写しと、直近の年金額を証明する書類(年金額改定通知書等)の写し
- 障害手当金:年金給付額等がわかる書類と、障害手当金の支給を証明する書類の写し
- 資格喪失後の期間について老齢退職年金:年金証書等の写しと、直近の年金額を証明する書類の写し
マイナンバーを利用した情報照会を希望する場合でも、協会けんぽがマイナンバーを未収録のときや照会で情報を取得できないときは、添付書類の提出を求められる場合があります。なお、賃金台帳や出勤簿の写しなど不要な書類は添付しないよう案内されています。
よくある質問
障害基礎年金だけを受けている場合も傷病手当金は減りますか?
障害基礎年金だけ(単独)を受けられる場合は、傷病手当金は全額支給されます。調整の対象になるのは、同一(関連)の傷病について障害厚生年金または障害手当金を受けられる場合です。同一の支給事由で障害基礎年金も受けられるときは、障害厚生年金と障害基礎年金の合計額で日額を比べます。
傷病手当金と違う病気で障害厚生年金を受ける場合はどうなりますか?
傷病手当金の対象となっている傷病と異なる傷病で障害厚生年金を受けられる場合は、傷病手当金は全額支給されます。同一かどうかの判断が難しい場合は、傷病名と経緯を伝えて加入支部へ確認してください。
調整されると支給期間の通算1年6か月も止まりますか?
傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。調整によって支給されない期間の取り扱いは個別の記録によるため、残りの支給期間は加入支部へ確認してください。差額支給になる期間も含め、実際の支給日数の管理は保険者側の記録に基づきます。
退職後に老齢年金を受け始めた場合も同じですか?
退職(資格喪失)後に引き続き傷病手当金を受けられる方が老齢退職年金を受けられる場合も、傷病手当金は支給されません。ただし傷病手当金の日額が老齢退職年金の日額より多いときは差額が支給されます。在職中の場合は、この老齢年金との調整は行われません。
公式情報と確認日
この記事は、全国健康保険協会の「傷病手当金」「健康保険傷病手当金支給申請書」の各ページと、協会けんぽ高知支部・愛媛支部が公開している年金調整の案内を2026年7月30日に確認して作成しています。調整の有無と金額は、年金の種類・額・支給期間と傷病手当金の記録によって決まるため、最終的な判断は加入支部の審査によります。
協会けんぽ「傷病手当金」で支給要件と支給期間を確認する支給要件、日額の計算式、通算1年6か月の支給期間、資格喪失後の継続給付を公式ページで確認できます。健康保険傷病手当金支給申請書の様式と添付書類を確認する現行様式、提出先、年金を受けている場合の添付書類、申請期限を公式ページで確認できます。次にすること
まず、年金証書や年金額改定通知書で年金の年額と支給開始年月を確認し、年金額÷360で日額を計算します。その日額と傷病手当金の日額を比べ、重複する期間があるかを確認したうえで、加入している協会けんぽ都道府県支部へ連絡してください。
協会けんぽの傷病手当金の申請方法を確認する申請書の記入、必要書類、電子申請・郵送の流れは別記事でまとめています。