常用就職支度手当は、障害のある方など就職が困難な雇用保険受給者が、1年以上引き続き雇用される見込みの仕事へ就いたときに、一定要件で受けられる就職促進給付です。基本手当の支給残日数が少なく再就職手当の対象にならない方や、高年齢受給資格者等が対象になる場合があります。

常用就職支度手当の概要

制度の要点を先に整理します。
項目内容
制度の位置付け雇用保険の就職促進給付のうち、就業促進手当に含まれる給付
主な対象障害のある方など就職が困難な受給資格者等
就職先1年以上引き続き雇用されることが確実と認められる職業
一般の受給資格者の支給残日数原則として所定給付日数の3分の1未満
申請期限就職日の翌日から起算して1か月以内
原則の提出先住所または居所を管轄するハローワーク
支給額の基本式算定日数×40%×基本手当日額。算定日数は原則90日

対象になり得る人

対象は、雇用保険法上の受給資格を持ち、就職が困難な方として法令上の区分に該当する人です。主な入口は次のとおりです。

常用就職支度手当の対象になり得る受給資格の区分です。

  • 基本手当の受給資格者で、就職前日の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満の方
  • 高年齢受給資格者
  • 特例受給資格者
  • 日雇受給資格者

就職が困難な方の主な例には、身体障害者、知的障害者、精神障害者、更生保護の対象者で保護観察所長からハローワークへ連絡がある方、社会的事情により就職が著しく阻害されている方が含まれます。ほかに、再就職援助計画等の対象となる45歳以上の方や、特別法に基づく一部の対象者などがあります。

主な支給要件

法令上の主な確認項目です。すべての適用関係は管轄ハローワークが確認します。

支給額の計算方法

支給額は、原則として「算定日数×40%×基本手当日額」で計算します。高年齢受給資格者等は、法令により基本手当日額に相当する日額を用います。

一般の基本手当受給資格者について、算定日数の考え方を整理します。
就職前日の支給残日数計算に使う算定日数基本式
90日以上90日90日×40%×基本手当日額
45日以上90日未満実際の支給残日数支給残日数×40%×基本手当日額
45日未満45日45日×40%×基本手当日額

たとえば、就職前日の支給残日数が60日、計算に使う基本手当日額が5,000円なら、目安は「60日×40%×5,000円=12万円」です。実際の支給額は、日額上限や個別の受給資格を反映してハローワークが決定します。

申請の手順

対象になる可能性がある場合は、就職前に管轄ハローワークへ相談します。受給資格の区分、就職困難者への該当、紹介経路、待期・給付制限を確認します。

ハローワークから常用就職支度手当支給申請書を受け取り、案内に従って必要欄を整えます。公式の申請書作成ページを利用する場合も、画面上で作成しただけでは申請は完了しません。

受給資格者証等と、ハローワークから指定された支給要件確認書類を準備します。再就職援助計画等の対象者は、その事実を証明する書類も確認します。

就職日の翌日から起算して1か月以内に、原則として住所または居所を管轄するハローワークへ提出します。日雇受給資格者は提出先が異なるため、就職先所在地を管轄する窓口を確認します。

必要書類

申請時の主な書類です。個別事情により追加書類が必要です。
書類確認点
常用就職支度手当支給申請書公式案内に従い、必要な欄を記入します。
受給資格者証等雇用保険受給資格者証、高年齢受給資格者証、特例受給資格者証、日雇労働被保険者手帳のうち該当するものです。
支給要件確認書類紹介経路、就職先、雇用見込み、離職前事業主との関係などについて、ハローワークが指定する書類です。
対象区分の証明書類再就職援助計画の援助対象労働者、高年齢支援対象者などに該当する場合に必要です。
マイナンバーカード受給資格通知等の交付を受けている場合など、ハローワークの案内に従って提示します。

再就職手当との違い

混同しやすい2つの就業促進手当を比較します。
項目常用就職支度手当再就職手当
主な対象障害のある方など就職が困難な受給資格者等基本手当の受給資格者が早期に安定した職業へ就いた場合
一般の受給資格者の支給残日数所定給付日数の3分の1未満所定給付日数の3分の1以上
就職先の雇用見込み1年以上引き続き雇用されることが確実と認められること1年を超えて勤務することが確実と認められること
支給率の基本算定日数に対して40%支給残日数に対して60%または70%
申請期限就職日の翌日から1か月以内就職日の翌日から1か月以内
再就職手当の条件と申請方法を確認する支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある場合は、再就職手当の要件を確認してください。

申請前の注意点

申請漏れや対象外を避けるための確認事項です。

  • 就職が決まってから紹介経路を変更することは難しいため、応募前にハローワークへ確認する
  • 就職日の翌日から1か月の申請期限をカレンダーに記録する
  • 短期契約の場合は、契約更新条項と1年以上の雇用見込みを確認する
  • 離職前の勤務先や密接な関係のある事業主への再雇用に当たらないか確認する
  • 過去3年間に再就職手当や常用就職支度手当等を受けている場合は申告する
  • 対象区分や証明書類を自己判断せず、受給資格者証を持って管轄ハローワークへ相談する

よくある質問

障害者手帳があれば必ず受け取れますか?

いいえ。身体障害者、知的障害者、精神障害者は就職困難者の主な区分ですが、ほかの支給要件も満たす必要があります。就職前に管轄ハローワークへ確認してください。

支給残日数が3分の1以上でも常用就職支度手当を申請できますか?

一般の受給資格者について、常用就職支度手当は支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であることが対象区分の一つです。3分の1以上ある場合は再就職手当の対象可能性を確認してください。

申請期限に間に合わない場合はどうしますか?

まず期限内の提出を優先します。書類がそろわない、期限を過ぎたなどの事情がある場合の取扱いは個別確認が必要なため、できるだけ早く管轄ハローワークへ相談してください。

公式情報と確認日

この記事は、厚生労働省ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」「常用就職支度手当支給申請書」、e-Gov法令検索「雇用保険法」「雇用保険法施行規則」を2026年7月30日に確認して作成しています。支給要件と必要書類は個別に異なるため、就職前または就職直後に管轄ハローワークへ確認してください。

次にすること

雇用保険受給資格者証等で受給資格の区分と支給残日数を確認し、求人への応募前または就職後すぐに管轄ハローワークへ相談してください。「常用就職支度手当の対象になる可能性があるか」「この紹介経路でよいか」「必要書類は何か」の3点を確認すると手続きを進めやすくなります。

失業手当の申請方法を確認する初回の受給手続きと管轄ハローワーク、受給資格決定までの流れを確認します。雇用保険受給資格者証の見方を確認する受給資格者証の支給残日数、基本手当日額、受給期限の見方を確認します。