労働保険の保険関係成立届を10日以内に出し忘れても、速やかに所轄の労働基準監督署へ提出すれば受理されます。遅延理由書を求められることがありますが、まずは管轄署へ連絡し、成立届と概算保険料申告書(50日以内)を準備してください。放置して行政庁の職権により認定決定されると、遡って2年分の保険料と追徴金10%、さらに労災発生時は給付額の40%または100%の費用徴収となるリスクがあります。

まず確認:10日の起算日と誰が対象か

労働者を1人でも雇った事業は、常勤・パート・アルバイトの名称や雇用形態にかかわらず強制適用事業となり成立手続の義務があります。5人未満の労働者を使用する個人経営の農林水産の一部は除外されますが、それ以外は原則として手続きが必要です。保険関係は事業を開始し労働者を雇用したときに法律上当然に成立し、届を出さなくても保険料の支払義務は発生します。

労働保険 成立手続きの正しい期限と提出先

成立手続きの期限と提出先一覧
手続き期限提出先
保険関係成立届保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内所轄の労働基準監督署(一元適用)※二元の雇用保険分はハローワーク
概算保険料申告書保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内労働基準監督署・都道府県労働局・日本銀行のいずれか
雇用保険適用事業所設置届事業所を設置した日の翌日から10日以内所轄のハローワーク

厚生労働省「労働保険の成立手続」と兵庫労働局「労働者を雇用したとき」で確認した期限です。一元適用事業は労災・雇用を一本で労基署へ、二元適用事業(農林漁業・建設業等)は労災分を労基署、雇用保険分をハローワークへそれぞれ提出します。

10日を過ぎたらどうなる?放置のリスク

10日を過ぎても「速やかに提出」すれば受理されますが、指導を受けても手続きしないまま放置すると行政庁の職権による成立手続と認定決定が行われます。厚生労働省「成立手続を怠っていた場合は」では次の費用徴収が示されています。

放置した場合の費用

  • 遡って最大2年間分の労働保険料を徴収
  • 追徴金10%(納付すべき保険料の10%)を加算
  • 労災事故が発生すると別途費用徴収:指導後の故意なら給付額の100%、1年経過の重大な過失なら40%

期限後に速やかに行う5つの手順

管轄の労働基準監督署(またはハローワーク)を確認し、電話で遅れて提出する旨を連絡する

保険関係成立届(様式第1号)と同時に概算保険料申告書(様式第6号)の作成準備をする

事業の実態を示す書類(法人の登記事項証明書、賃貸借契約書、営業許可証、賃金台帳など求められたもの)を用意する

窓口・郵送で提出する(電子申請の可否は管轄署へ確認)。遅延理由書の提出を求められたら遅れた経緯と今後の対策を簡潔に記載する

概算保険料を納付し、雇用保険の適用事業所設置届・被保険者資格取得届(資格取得日の翌月10日まで)をハローワークへ別途提出する

必要書類と遅延理由書は必要か

必要書類の目安

  • 労働保険 保険関係成立届(様式第1号)
  • 概算(増加概算)保険料申告書(様式第6号)と納付書
  • 事業主・事業所の実在を確認する書類(登記事項証明書、住民票、賃貸借契約書、営業許可証等のうち求められたもの)
  • 賃金見込額の算定根拠となる資料
  • 雇用保険適用時は別途、雇用保険適用事業所設置届・雇用保険被保険者資格取得届

遅延理由書は法令上の一律必須書類ではありませんが、長期間遅れた場合や複数事業所をまとめて申請する場合に、所轄署から求められることがあります。求められたら「いつ事業を開始し、なぜ期限を過ぎたか、今後の再発防止策」を簡潔に記載します。必要か迷うときは提出時に窓口でご確認ください。兵庫労働局では客観的確認資料が必要となる場合があると案内しています。

電子申請・郵送・窓口の違い

窓口提出が最も確実で、その場で記載不備の指摘を受けられます。郵送は一般に可能ですが到達主義のため余裕を持って送付し、控えの返送を希望する場合は返信用封筒を同封します。電子申請はe-Govで対応する労働保険手続きがありますが、保険関係成立届の電子可否や操作手順は所轄の労働基準監督署・労働局により案内が異なる場合があります。電子を希望するときは事前に管轄署へ「e-Govで成立届は可能か」をご確認ください。

一元適用と二元適用で提出先が違います

一般の事業は一元適用事業として労災・雇用保険を一本で手続きし、成立届は労働基準監督署へ提出します。農林漁業・建設業などは二元適用事業として労災分は労基署、雇用保険分はハローワークへそれぞれ提出します。どちらに該当するか迷うときは、事業内容を管轄署へ伝えて確認してください。厚生労働省の解説で区分が示されています。

よくある誤解と放置しないポイント

誤解と注意

  • 従業員が1人でも強制適用:パート・アルバイトの名称にかかわらず1人雇えば成立手続義務があります
  • 5人未満の個人経営の農林水産は一部除外されますが、それ以外は原則適用です
  • 任意加入を希望する事業も要件を満たせば加入できますが、強制事業は手続を怠れません
  • 保険関係は届を出さなくても法律上成立するため、届を出さなくても保険料の支払義務は消えません

相談先

手続きの詳細や今すぐ提出したいときは、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署またはハローワーク、都道府県労働局の労働保険徴収担当へご相談ください。厚生労働省の所在案内から管轄を確認できます。まだ手続きしていない方は速やかにご相談くださいと厚労省も呼びかけています。

関連情報労働基準監督署・都道府県労働局の所在案内(厚生労働省)

よくある質問

遅延理由書は必ず必要ですか?

一律必須ではありません。10日を少し過ぎた程度では求められないこともありますが、長期間遅れた場合や指導後に提出する場合は所轄署から提出を求められることがあります。窓口で必要かを確認し、求められたら遅延の経緯と再発防止策を簡潔に記載してください。

10日を過ぎても受理されますか?

はい、過ぎても速やかに提出すれば受理されます。兵庫労働局と厚生労働省は「保険関係が成立した日の翌日から10日以内」としつつ、怠っていた場合は速やかに管轄署・ハローワークへ相談と案内しています。放置して職権成立や認定決定になる前に提出してください。

罰則や追徴金はありますか?

行政庁の職権による認定決定では遡って最大2年分の保険料と追徴金10%が徴収されます。さらに労災事故が発生すると、故意なら給付額の100%、重大な過失なら40%の費用徴収が加わります。詳細は厚労省「成立手続を怠っていた場合は」の実施例をご確認ください。

電子申請で提出できますか?

労働保険手続きの一部はe-Govで電子申請できますが、保険関係成立届の電子対応や操作手順は所轄により案内が異なる場合があります。電子を希望するときは事前に管轄の労働基準監督署・労働局へ「e-Govで成立届は可能か」を確認してください。郵送・窓口は確実に対応できます。

概算保険料申告の50日も過ぎていたら?

50日を過ぎても同様に速やかに申告・納付してください。概算保険料は保険関係成立日から年度末までの賃金見込額に保険料率を乗じて算定します。40万円以上で9月30日までに成立した事業は延納(分割)が可能です。申告書は労働基準監督署・労働局・日本銀行のいずれかへ提出します。

まとめと次の手続き

期限を過ぎても今すぐ提出が最善です。成立届(10日)→概算申告(50日)→雇用保険設置届(10日)→資格取得届(翌月10日)の順で手続きを完了してください。提出後は賃金台帳と申告控えを保管し、年度更新や算定基礎届など次の手続きも忘れずに行いましょう。

提出前の最終チェック