寡婦年金の生計維持要件は、「亡くなった夫と生計を同じくしていたこと」と「原則として前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であること」の両方です。別居や別世帯でも、家計・仕送り・扶養・訪問などの実態を確認できれば認められる場合があります。
寡婦年金で確認する「生計維持」とは
日本年金機構は、生計維持を「生計同一要件」と「収入要件」の両方で判断しています。寡婦年金では、夫の死亡当時に妻が夫によって生計を維持されていたことが基本要件の一つです。
| 要件 | 確認内容 |
|---|---|
| 生計同一要件 | 同居していた、同じ家計で生活していた、別居でも生活費等の経済的援助や定期的な音信・訪問があったなど、死亡当時の生活実態を確認します。 |
| 収入要件 | 原則として前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であることを確認します。前年分が確定していない場合は、前々年分で確認することがあります。 |
寡婦年金の基本要件も同時に確認する
生計維持要件だけを満たしても寡婦年金が決まるわけではありません。日本年金機構の現行案内では、次の要件も確認します。
第1号被保険者期間や免除期間の数え方、年金受給歴は年金記録で確認します。会社員期間がある、免除・猶予期間がある、繰下げを予定していたなど判断が難しい場合は、基礎年金番号が分かる書類を用意して年金事務所へ確認してください。
同居・別世帯・別住所で確認方法が変わる
| 住所の状況 | 主な確認方法 |
|---|---|
| 同じ住所・同じ世帯 | 世帯全員の住民票の写しなど、通常の請求書類で確認します。 |
| 同じ住所・別世帯 | 生計同一関係に関する申立書へ、別世帯だった理由と家計の実態を記入します。 |
| 住民票は別住所だが実際は同居 | 申立書へ住民票を移していなかった理由と実際の居住状況を記入します。 |
| 実際に別居 | 別居理由、経済的援助の有無・回数・内容、電話・メール・訪問の頻度と内容を申立書へ記入し、証明資料を添えます。 |
法律上の妻が別世帯・別住所だった場合は、原則として日本年金機構の「様式3 生計同一関係に関する申立書(配偶者・子用)」を使用します。用紙は必ず両面で印刷します。
別居していた場合に使える証明書類
日本年金機構のリーフレットでは、配偶者または子について、次のような資料が生計同一関係の証明書類として示されています。該当する資料を提出しても、申立書自体の記入は必要です。
別居・別世帯時に生計同一関係を確認する主な資料です。
- 健康保険等の被扶養者だった場合:マイナポータルから取得した医療保険の資格情報を印刷したもの、または資格確認書の写し
- 給与計算上の扶養手当等の対象だった場合:給与簿・賃金台帳等の写し
- 税法上の扶養親族だった場合:源泉徴収票・課税台帳等の写し
- 定期的な送金があった場合:預金通帳・振込明細書・現金書留封筒等の写し
- 単身赴任による別居:辞令・出向命令・単身赴任手当が分かる証明書等の写し
- 病気療養・介護による別居:入院・入所証明、入院・入所費用の領収書等
- そのほか:生活費の負担や共同生活の実態を客観的に確認できる書類
証明書類がないときの第三者証明
別居等の事実を確認できる証明書類を提出できない場合は、申立書の第三者証明欄への記入が必要になることがあります。証明する人は、請求者と亡くなった夫のどちらから見ても民法上の三親等内の親族ではない人です。会社、病院、施設、個人商店等が証明する場合は、所在地・名称、証明者の役職・氏名・電話番号を記入します。
事実婚の妻は様式が異なる
婚姻届を出していない事実婚関係の妻は、事実婚関係と生計同一関係の両方を確認するため、「様式7 事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」を使用します。法律上の配偶者用の様式3とは異なり、事実婚を示す資料や第三者証明の扱いも変わるため、請求前に年金事務所へ必要書類を確認してください。
日本年金機構の生計同一・事実婚関係の申立書を確認する別世帯・別住所だった法律上の配偶者は様式3、事実婚関係の方は様式7を確認します。各申立書、記入例、証明書類リーフレットはいずれもPDF文書です。寡婦年金の請求で準備する主な書類
一般的な請求書類に、生計同一関係を確認する資料を追加します。死亡原因や住所状況等により追加書類が必要です。
年金請求書にマイナンバーを記入すると、戸籍・住民票・収入確認書類の一部を省略できる場合があります。公金受取口座を利用する場合も、年金請求書の受取口座欄は記入します。
生計維持を確認して請求する流れ
夫の第1号被保険者としての納付・免除期間、年金受給歴、婚姻期間、妻の年齢と繰上げ受給の有無を確認します。
死亡当時に同じ世帯だったか、同住所で別世帯だったか、別住所で実際に同居していたか、実際に別居していたかを整理します。
前年の収入または所得を確認し、必要に応じて所得証明書、課税・非課税証明書、源泉徴収票等を用意します。
別世帯・別住所だった場合は様式3を両面印刷し、別居理由、経済的援助、音信・訪問の状況を記入します。事実婚の場合は様式7を確認します。
仕送り、扶養、単身赴任、療養・介護などを確認できる書類を添付します。資料がない場合は、第三者証明が必要か確認します。
請求者の住所地の市区町村役場、年金事務所、街角の年金相談センターへ提出します。e-Govで電子申請する場合は、指定の送付書を使い、請求書をPDFまたはJPEGで添付します。
よくある質問
夫と別居していたら寡婦年金は受けられませんか?
別居だけで対象外とは決まりません。死亡当時の別居理由、家計、経済的援助、音信・訪問の状況を資料とともに確認します。
健康保険の扶養に入っていないと対象外ですか?
自動的に対象外にはなりません。生計同一と収入要件を、提出資料に基づいて総合的に確認します。
年収850万円ちょうどは収入要件を満たしますか?
基準は「850万円未満」です。850万円ちょうどは未満ではないため、所得655万5千円未満に該当するかなどを確認してください。
仕送りの振込明細があれば第三者証明は不要ですか?
指定された証明書類として認められれば、第三者証明を省略できる場合があります。申立書は省略できません。
次にすること
まず、亡くなった夫と死亡当時に同じ住所・世帯だったかを確認し、別世帯・別住所なら仕送り、扶養、単身赴任、療養・介護、電話・訪問の記録を整理してください。基礎年金番号が分かる書類と収入証明を用意し、年金事務所へ必要な申立書と証明資料を確認してから請求します。
国民年金の死亡一時金との違いを確認する寡婦年金と死亡一時金の両方の要件を満たす場合は一方を選びます。対象遺族、12万~32万円、2年の期限を確認できます。未支給年金の請求方法を確認する亡くなった夫が年金を受けていた場合は、死亡月分までの未払い年金がないかも確認します。公式情報と確認日
この記事は、日本年金機構「生計維持」「寡婦年金を受けるとき」「生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき」と、同ページ掲載の現行申立書・証明書類リーフレットを2026年7月29日に確認して作成しています。最終的な受給可否は、日本年金機構が死亡当時の個別事情と提出資料に基づいて判断します。