相続放棄しても、放棄の時に空き家を現に占有していた方は、次の相続人や相続財産法人へ引き渡すまで、自己の財産と同一の注意で保存する義務が残ります。占有していなければ保存義務は生じません。

症状と前提を確認します

この記事は、空き家を含む相続財産があり、相続放棄を検討または申述済みの方を対象にします。全国共通の民法の原則を扱います。2026年9月20日に裁判所と法務省の公式情報で確認しています。個別事情によって判断が異なるため、管轄の家庭裁判所へご確認ください。

まず確認します:放棄時に現に占有していたか

令和5年4月1日施行の改正後の民法第940条では、保存義務が生じるのは、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している場合に限られます。占有の有無で分岐します。

占有の有無の見分け方です。

  • 現に占有の例:放棄時に空き家に居住していた、同居していた、鍵を管理して出入りしていた、家財を置いたまま占有を続けていた場合
  • 占有なしの例:遠方で一度も訪れたことがなく鍵も預かっていない、管理に一切関与していない、被相続人が単独で占有していた空き家に立ち入っていない場合
  • 占有か不明なときは、鍵の管理状況、出入りの実態、家財の有無を整理して家庭裁判所へ確認します

保存義務の内容

保存義務は、財産を滅失させたり損傷させたりしないよう、自己の財産におけるのと同一の注意で保存することです。積極的な活用や処分をする権限ではありません。保存行為を除き、管理や処分の権限と義務は負いません。相手方は、他の相続人または相続財産法人です。

義務の終わらせ方の分岐です。
状況引渡し先すること
次順位の相続人がいる場合放棄によって相続人となった次順位者空き家と鍵、家財の所在が分かる状態で引き渡し、占有を移転します
相続人全員が放棄して相続人がいなくなった場合相続財産法人(清算人選任後)家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立て、清算人へ引き渡します
引渡しが完了した場合—当該財産の保存義務は終了します

義務を終わらせる手順

鍵の管理、出入りの実態、家財の有無から、放棄時に現に占有していたかを確認します。占有なしなら保存義務は生じません。

戸籍で次順位の相続人がいるかを確認します。先順位全員が放棄すると次順位が相続人になります。次順位の有無で引渡し先が変わります。

次順位者がいる場合は、その方へ空き家を引き渡します。受領を拒まれたり受領できないときの扱いは個別判断になるため、管轄の家庭裁判所へ確認します。

相続人全員が放棄して相続人がいなくなった場合は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立て、清算人へ引き渡します。

相続財産清算人の申立て概要

相続人の存在が明らかでないときには、家庭裁判所は申立てにより相続財産清算人を選任します。相続人全員が放棄して相続する者がいなくなった場合を含みます。清算人は債務の支払いなど清算を行い、残った財産を国庫に帰属させます。申立人は利害関係人または検察官です。申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。費用は収入印紙800円分、連絡用郵便切手、官報公告料5582円が必要です。財産内容によっては予納金を求められることがあります。戸籍一式、住民票除票または戸籍附票、財産を証する資料などを添付します。

提出前に次を確認します。

放置せずに相談する目安

占有している空き家を放置すると、劣化や近隣への影響が広がります。放棄の申述は自己のために相続開始を知ったときから3か月以内が原則で、申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用郵便切手です。調査に時間が足りないときは期間伸長の申立てができます。迷うときは早めに管轄の家庭裁判所へ相談します。当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は管轄の家庭裁判所など最新案内をご確認ください。

占有していなければ義務は生じませんか。

占有していなければ保存義務は生じません。鍵を預かっておらず出入りも管理もしていない場合は該当しないことがあります。境界が曖昧なときは占有の実態を整理して家庭裁判所へ確認します。

義務はいつまで続きますか。

保存義務は相続人または相続財産法人へ財産を引き渡して占有を移転したときに終了します。次順位者がいる場合はその方へ、全員放棄の場合は清算人へ引き渡します。

相続人全員が放棄したら誰に渡しますか。

相続人全員が放棄して相続人がいなくなった場合は、利害関係人または検察官が被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ清算人の選任を申し立てます。清算人選任後は清算人へ引き渡します。費用や戸籍の準備は事前に確認します。

2026年9月20日時点の公式情報で確認しています。相続放棄の申述、清算人の選任、令和3年法律の令和5年4月1日施行の民法見直しに基づきます。自治体や個別事情によって判断が異なるため、管轄窓口へご確認ください。