健康保険の傷病手当金支給申請書を書き間違えたときは、修正液や修正テープは使わず、訂正箇所を二重線(協会けんぽの令和5年1月新様式は黒塗り・塗り潰し)で消し、近くまたは欄外に正しい内容を記入し、訂正者のフルネーム署名または押印を添えます。被保険者欄の間違いは被保険者本人が、事業主欄は事業主が、療養担当者欄は医師が訂正するのが原則です。

傷病手当金支給申請書の訂正でまず確認すること

傷病手当金支給申請書は4枚構成(被保険者記入用2枚、事業主記入用1枚、療養担当者記入用1枚)で、申請期間や賃金支給状況、医師の意見を正確に記入する必要があります。令和5年1月に様式が変更され、新様式では訂正方法が整理されました。旧様式で提出すると審査に時間がかかるため、必ず最新の様式を使い、楷書で枠内に丁寧に記入してください。訂正が必要になったら、どの欄の誰の記入かを最初に確認します。欄と訂正者が一致しない訂正や、訂正印・署名漏れは返戻の原因になります。

訂正の基本ルール(全国共通の原則)

基本ルール

  • 修正液、修正テープ、消せるボールペンは使えません。
  • 鉛筆書きは不可、黒のボールペン等で楷書で記入します。
  • 訂正は訂正者のフルネーム署名または押印が必要です。略字やイニシャルは不可です。
  • 訂正方法は加入している健康保険により異なります。協会けんぽと健康保険組合で方式が違います。
  • 日付が一桁の場合は左のマスを0で埋めます。0埋めを訂正する際も同じルールで訂正します。

保険者別:二重線と塗り潰しの違い

同じ傷病手当金支給申請書でも、訂正方法は協会けんぽの新様式と、多くの健康保険組合の手引きで表現が異なります。いずれも「訂正箇所が分かるように消し、正しい内容と訂正者の証明を残す」点は共通ですが、手順が違います。加入先の健康保険組合の記入の手引きを必ず確認してください。

保険者別の訂正方式
訂正する欄協会けんぽ 新様式(令和5年1月~)健康保険組合の多く(例:紀陽・農林漁業団体など)
被保険者記入用(1~2ページ)訂正箇所を黒塗り(読み取れないように塗り潰し)し、欄外に正しい内容を記入訂正箇所を二重線で抹消し、近くに正しい内容を記入し、二重線の近くに被保険者のフルネーム署名または押印
事業主記入用(3ページ)訂正箇所を塗り潰し、欄外に正しい内容を記入。事業主の証明欄のため事業主の署名・押印が必要訂正箇所を二重線で抹消し、正しい内容を記入し、二重線の近くに事業主のフルネーム署名または押印
療養担当者記入用(4ページ)訂正箇所を塗り潰し、欄外に正しい内容を記入。医師の署名・押印が必要訂正箇所を二重線で抹消し、正しい内容を記入し、二重線の近くに医師のフルネーム署名または押印

全国健康保険協会の記入の手引き(2026年6月版)では、事業主欄と療養担当者欄について「訂正される場合は、訂正箇所を読み取りができないように塗り潰し、欄外に正しい内容をご記入ください」と案内しています。被保険者欄についても「黒塗りし、欄外に正しい内容をご記入ください」としています。一方、紀陽銀行健康保険組合や東京都農林漁業団体健康保険組合の記入手引き・記入例では「訂正箇所を二重線で抹消し、正しい内容と、被保険者/事業主/療養担当者の氏名(サイン)をご記入ください」と案内されています。どちらの方式でも、訂正者の署名・押印が必須です。

欄ごとの訂正者と訂正印・署名の押し方

手順1:被保険者記入欄を訂正するとき

被保険者欄の訂正手順

  1. 間違えた文字や数字の上に二重線を引く(協会けんぽ新様式は黒塗りで塗り潰す)。
  2. 二重線のすぐ上や近く、または欄外の余白に正しい内容を楷書で記入する。
  3. 二重線または黒塗りの近くに、被保険者本人のフルネームで署名する。押印する場合は申請書1ページ目の被保険者氏名欄と同じ印鑑を使う。
  4. マイナンバーや資格情報など個人情報を訂正する場合は、本人確認書類の添付要否も確認する。

手順2:事業主記入欄を訂正するとき

事業主欄の訂正手順

  1. 事業主が記入した賃金支給状況や勤務状況、出勤日の〇印などの誤りを二重線または塗り潰しで消す。
  2. 正しい日付、金額、〇印を正しい位置に記入する。
  3. 二重線または塗り潰しの近くに、事業主のフルネーム署名または事業所の証明印を押す。被保険者の印鑑では訂正できません。
  4. 賃金計算方法や欠勤控除の内訳を訂正した場合は、計算式も併せて正しく記入する。

手順3:療養担当者(医師)記入欄を訂正するとき

療養担当者欄の訂正手順

  1. 医師が記入した傷病名、初診日、労務不能期間、診療日などの誤りを二重線または塗り潰しで消す。
  2. 正しい内容を欄内または欄外に記入する。
  3. 二重線または塗り潰しの近くに、医師本人のフルネーム署名または医療機関の医師印を押す。被保険者や事業主が医師欄を訂正することはできません。
  4. 病院を転院した場合は、それぞれの医療機関で別途証明を取り直す。

日付・金額・氏名の具体的な訂正例

よくある記入誤りの訂正例を、保険者別の方式で示します。

訂正例
誤りの例正しい訂正方法(組合方式の二重線例)協会けんぽ新様式での対応
申請期間を令和6年12月15日と書くべきところを12月25日と記入25に二重線を引き、近くに15と記入し、被保険者の署名を添える25を黒塗りし、欄外に令和6年12月15日と記入
賃金支給額を300,000円と書くべきところを30,000円と記入30,000に二重線を引き、正しい300,000と金額を記入し、事業主の署名・押印(事業主欄の場合)該当金額を塗り潰し、欄外に正しい金額と事業主の証明を記入
被保険者氏名のフリガナをケンポタロウと書くべきところをケンポタロと記入タロに二重線を引き、タロウと正しく記入し、被保険者の署名該当箇所を黒塗りし、欄外に正しいフリガナを記入

日付や金額の訂正では、数字の0埋めにも注意します。生年月日や日付が一桁のときは左のマスを0で埋めます。例えば1月5日は05と記入します。5とだけ記入した場合は、0を補う訂正も同様に二重線または黒塗りで訂正し、署名を添えます。

訂正できないとき・再作成が必要なとき

再作成が必要なケース

  • 修正液や修正テープ、砂消しゴムで消してしまった場合(再作成が原則)
  • 二重線や塗り潰しの上からさらに重ねて訂正し、判読できなくなった場合
  • 訂正箇所が多すぎて欄外にも正しい内容を記入できない場合
  • 医師の証明欄を被保険者や事業主が勝手に訂正した場合(医療機関で再証明が必要)
  • 旧様式で訂正を繰り返し、新様式との差異で審査に時間がかかる場合

軽微な誤字1~2か所であれば上記の方法で訂正できますが、全体的に汚れたり判読不能になった場合は、新しい申請書に書き直す方が早く審査が進みます。新しい申請書は全国健康保険協会のホームページ「傷病手当金支給申請書」からダウンロードできます。健康保険組合加入者は、加入先の組合のホームページの最新様式を使ってください。

提出先と再提出の注意点

提出先と注意

  • 協会けんぽ加入者は、協会けんぽの都道府県支部へ郵送で提出します。支部ごとに住所が異なります。
  • 健康保険組合や共済組合加入者は、加入先の組合へ提出します。事業主経由で提出する場合は、提出委任欄に✔を入れます。
  • 訂正後に再提出するときは、訂正印・署名の押印漏れ、添付書類の不足(給付に関する同意書、賃金台帳の写し等が不要な旨の注意も確認)がないか再確認します。
  • 申請期間は暦で3か月以内に区切って提出します。3か月を超える場合は用紙を分けて提出します。

訂正後に審査で返戻された場合は、返戻された付箋や補正依頼の指示に従い、同じ訂正ルールで再訂正します。返戻書類に「訂正印漏れ」「事業主証明と被保険者申請内容の不一致」などの理由が書かれているときは、該当欄の訂正者を再確認してください。

よくある質問

修正液や修正テープ、消せるボールペンは使えますか?

使えません。全国健康保険協会および各健康保険組合の記入の手引きで、修正液や修正テープの使用は不可とされています。消せるボールペンも不可です。必ず二重線(協会けんぽ新様式は黒塗り・塗り潰し)で订正し、正しい内容と訂正者の署名または押印を添えてください。

被保険者欄の訂正を事業主が、事業主欄の訂正を被保険者が行ってもよいですか?

できません。訂正は「記入した本人」が行うのが原則です。被保険者欄は被保険者本人、事業主欄は事業主、療養担当者欄は医師が訂正します。訂正者が違うと返戻されます。事業主欄を訂正するときは事業主のフルネーム署名または押印、医師欄は医師の署名または押印が必要です。

二重線と黒塗り(塗り潰し)、どちらで訂正すればよいですか?

加入している健康保険により異なります。協会けんぽの令和5年1月新様式では、訂正箇所を黒塗りまたは塗り潰し、欄外に正しい内容を記入する方法が案内されています。多くの健康保険組合では、二重線で抹消し近くに正しい内容と署名を記入する方法が案内されています。加入先の健康保険組合の最新の記入の手引きで、どちらの方式かを確認してください。どちらでも訂正者の署名・押印は必須です。

訂正印は実印が必要ですか?シャチハタでもよいですか?

実印である必要はありません。被保険者欄の訂正は被保険者本人のフルネーム署名でも可とされています。押印する場合は、申請書1ページ目の氏名欄で使った印鑑と同じものを使います。事業主欄や医師欄も、フルネーム署名または押印とされています。ゴム印のシャチハタは、組合により取扱いが異なる場合があるため、加入先の組合に確認してください。自署の場合は押印を省略できる欄でも、訂正時は署名が必要です。

日付を一桁で書いてしまいました。0埋めの訂正も二重線が必要ですか?

はい、必要です。生年月日や申請期間の日付が一桁のときは左のマスを0で埋めます。例えば1月5日は05と記入します。5だけを記入した場合や、0を入れ忘れた場合は、二重線または黒塗りで訂正し、正しい2桁の数字と訂正者の署名を添えます。数字の訂正も文字の訂正と同じルールです。

公式情報の確認日と次の手続き

この記事は、全国健康保険協会の記入の手引き(2026年6月版、2026年8月28日確認)、東京都農林漁業団体健康保険組合の記入例(令和6年12月版、2026年8月28日確認)、紀陽銀行健康保険組合の記入の手引き(2026年8月28日確認)をもとに作成しています。手続きの詳細や最新の様式は、加入している健康保険のホームページで必ず確認してください。訂正方法に迷ったときは、加入先の健康保険組合または協会けんぽの都道府県支部へ問い合わせてください。次に申請書を作成するときは、新様式をダウンロードし、楷書で丁寧に記入してから提出してください。当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄する行政機関や加入先の保険者の最新案内をご確認ください。