通勤・業務中の交通事故で加害者がいるけがは、労災保険の給付請求書と一緒に第三者行為災害届を所轄の労働基準監督署へ1部提出します。同時提出が原則で、遅れる場合も速やかに提出します。正当な理由なく出さないと給付が一時差し止めになることがあります。
第三者行為災害か確認します
第三者行為災害とは、労災保険の給付原因の事故が第三者の行為で生じ、被災労働者や遺族が第三者に損害賠償請求権を持つものです。交通事故など加害者がいる場合が典型です。第三者とは、保険関係の当事者である政府・事業主・受給権者以外の人をいいます。全国共通の原則です。神奈川労働局の公式情報で確認しています。
当てはまるか確認するポイント
- 通勤中または業務中の出来事か
- 相手方など第三者の行為でけが・死亡が生じたか
- 第三者に民法などに基づく損害賠償責任が生じる状況か
- 労災保険の給付を受けようとしているか
先に決めます:労災と自賠責の順番
自動車事故では、労災保険の給付と自賠責保険等による支払のどちらか一方を受けることができます。どちらを先に受けるかは被災者等が自由に選べます。神奈川労働局では自賠責等を先に受ける自賠先行をおすすめしています。仮渡金や内払金で支払が速やかで、慰謝料の支払や療養費の幅、休業損害のてん補割合などに違いがあるためです。
自賠先行のポイント
- 自賠責等を先に受けると、同一事由の限度額まで労災給付は控除されます
- 労災を先に受けると、同一事由について自賠責等から受けられなくなる場合があります
- 控除を行う期間は原則として災害発生後7年間です
- 自賠責の限度額は死亡3,000万円・傷害120万円、後遺障害は等級に応じ最高3,000万円です
提出先と期限
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 所轄の労働基準監督署へ1部 |
| 提出時期 | 労災保険の給付請求書と同時又はこの後速やかに |
| 未提出の扱い | 正当な理由なく出さないと給付が一時差し止めになることがあります |
| 提出先が不明なとき | 最寄りの労働基準監督署または労働局へ確認します |
この届は支給調整を適正に行うために必要な書類です。請求書と切り離して後回しにせず、同時に準備します。大阪労働局と神奈川労働局の公式情報で確認しています。
必要書類と部数
被災者等が提出する基本セットは次のとおりです。交通事故による災害か、それ以外かで一部が変わります。
| 添付書類 | 交通事故 | 交通事故以外 | 部数・備考 |
|---|---|---|---|
| 交通事故証明書又は交通事故発生届 | ○ | ― | 1部。自動車安全運転センターの証明、もらえない場合は発生届 |
| 念書(兼同意書) | ○ | ○ | 1部。本人が署名・押印します |
| 示談書の謄本 | ○ | ○ | 1部。示談した場合。写し可 |
| 自賠責等の支払証明書・支払通知書 | ○ | ― | 1部。仮渡金・賠償金受領時。写し可 |
| 死体検案書又は死亡診断書 | ○ | ○ | 1部。死亡時。写し可 |
| 戸籍謄本 | ○ | ○ | 1部。死亡時。写し可 |
手順1:交通事故の証明を準備します
交通事故証明書は自動車安全運転センターで交付証明を受けたものを提出します。警察へ届け出ていないなどの理由で証明がもらえない場合は交通事故発生届を提出します。交通事故以外で公的機関の証明が得られるときは、その証明書等を提出します。
手順2:念書をよく読んで本人が署名します
念書には示談に関する注意や、政府が給付限度で損害賠償請求権を取得して求償する場合があることが書かれています。内容をよく読み、意味を理解してから給付を受ける本人が署名・押印します。代理人や家族が代わりに署名する扱いではありません。
手順3:届と請求書を所轄労基署へ出します
第三者行為災害届1部に上記の添付書類をそろえ、労災保険の給付請求書と同時に所轄の労働基準監督署へ提出します。同時に出せないときも速やかに提出します。様式と記載例は大阪労働局のページでPDFが案内されています。PDFは印刷して利用する文書であり、画像として扱いません。
第三者側に該当する方は、第三者行為災害報告書を速やかに提出します。災害状況や損害賠償金の支払状況を確認するための書類です。被災者側の届とは別に求められます。
手順4:示談・自賠責の受領は速やかに申出ます
示談を行ったときは速やかに労働局または労働基準監督署へ申し出て、示談書の写しを提出します。自賠責等から仮渡金や賠償金を受けている場合も支払証明書等をそろえます。同一事由で労災と民事賠償の二重受け取りがあると、重複分は回収の対象になります。
求償と控除の仕組み
労災保険法第12条の4では、重複てん補を避けるため求償と控除が定められています。先に労災給付をしたときは政府が請求権を取得して第三者等へ求償し、先に第三者から賠償を受けたときはその限度で給付しません。給付と損害項目の対応は次のとおりです。
| 労災保険給付 | 対応する損害項目 |
|---|---|
| 療養補償給付 | 治療費 |
| 休業補償給付 | 休業で得られなくなった利益 |
| 障害補償給付 | 身体障害で失い・減った利益 |
| 介護補償給付 | 介護費用 |
| 遺族補償給付 | 死亡で遺族が失った利益 |
| 葬祭料 | 葬祭費 |
慰謝料や労災給付対象外のものは同一事由ではないため調整対象になりません。通勤災害の給付名称は括弧内の読み替えになります。
よくある質問
交通事故証明書が取れないときはどうしますか。
自動車安全運転センターの証明がもらえない場合は、交通事故発生届を提出します。警察への届出がない場合などが該当します。交通事故以外で公的証明が得られるときは、その証明書等を提出します。
示談をしてしまった後でも労災は受けられますか。
示談の内容によります。真正な全部示談で請求権を放棄した場合は原則として以後の給付は行われません。示談をしたときは速やかに労働局または労働基準監督署へ申し出て、示談書の写しで確認を受けます。示談前の相談が重要です。
第三者行為災害届を出さないとどうなりますか。
正当な理由なく提出しないと、労災保険の給付が一時差し止めになることがあります。給付請求書と同時又は速やかに所轄の労働基準監督署へ1部提出します。
当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄する労働基準監督署・労働局の最新案内をご確認ください。