結論として、育児休業給付金は原則として事業主がハローワークへ申請しますが、会社が申請してくれない場合でも、ご本人の希望があれば被保険者本人が直接ハローワークへ申請できます。放置せず早めに事業所を管轄するハローワークへ相談し、必要書類を整えて期限内に手続きしてください。

手続きの概要

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育するために育児休業を取得し、一定の要件を満たすときに支給されます。手続きは「受給資格確認」と「支給申請」を事業所の所在地を管轄するハローワークで行い、電子申請(e-Gov)も利用できます。厚生労働省の2026年8月1日改訂版パンフレットでは、提出者は「原則、被保険者を雇用している事業主。ただし、本人の希望があれば被保険者が直接提出することも可能」と明記されています(6頁・18頁・27頁)。2026年8月30日時点の公式情報で確認しています。

対象者と前提を確認する

対象者と前提

  • 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者で育児休業を取得した方
  • 事業主が「受給資格確認票・支給申請書」や「休業開始時賃金月額証明書」をハローワークへ提出しない、連絡がつかない、対応を遅延している状況
  • 育児休業の申出に基づき事業主が取得を認めた休業で、1歳(延長事由がある場合は1歳6か月・2歳)までの期間にあること

会社が申請してくれない主な原因

主な原因

  • 担当者の異動・退職や繁忙で手続きが後回しになっている
  • 育児休業給付の手続き自体を知らない、電子申請の操作方法が分からない
  • 賃金台帳・出勤簿などの添付書類の準備に時間がかかっている
  • 退職予定や雇用関係のトラブルで事業主が非協力的になっている

まず会社へ確認・催促すること

会社への確認項目

  • 育児休業申出書・取扱通知書の提出済みか、受給資格確認の申請状況を確認する
  • 「育児休業給付受給資格確認票・(初回)支給申請書」と「休業開始時賃金月額証明書」の作成状況を確認する
  • 管轄ハローワークへいつ提出予定か、電子申請か窓口・郵送かを確認する
  • 不備や保留がないか、ハローワーク発行の「次回支給申請日指定通知書」の有無を確認する

ハローワークへ相談・本人申請へ切り替える手順

事業所を管轄するハローワークへ相談する(電話または窓口)。雇用保険適用窓口で「育児休業給付の事業主が申請してくれない」と伝え、本人申請を希望する旨を申し出ます。育児休業等給付コールセンター(0570-200-406、平日8:30~17:15)でも制度概要の確認ができます。

必要書類を確認し、事業主が用意すべき書類の代替手段を相談する。賃金台帳・出勤簿等の賃金証明は本来事業主が作成しますが、事業主の協力が得られない場合はハローワークの指示に従い、給与明細や雇用契約書等の代替資料で対応できるか確認します。母子手帳や住民票など本人が用意できる書類は先に整えます。

「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」に記入し、個人番号(マイナンバー)を記載する。払渡希望金融機関は、過去に雇用保険給付を受けた口座、またはマイナポータルに登録済みの公金受取口座(ハローワークに個人番号を届出済みの場合)も利用できます。手書きで公金受取口座を利用しない場合は通帳等の写しを添付します。

管轄ハローワークへ提出する。窓口持参、郵送、e-Gov電子申請のいずれかが利用できます。電子申請では「雇用保険育児休業等給付(初回申請)」等の手続名を選択します。2回目以降はハローワーク交付の「育児休業給付金支給申請書」で、原則2か月に一度、指定された支給申請期間内に申請します。本人が希望すれば1か月ごとの申請も可能です。

支給決定通知書と入金を確認する。受給資格がある場合は「育児休業給付金支給決定通知書」が交付され、支給決定後約1週間で本人名義の口座へ振り込まれます。資格がない場合は「受給資格否認通知書」が交付されます。通知書は必ず保管してください。

提出先と申請方法の違い

提出ルートの比較
項目原則(事業主経由)本人が直接申請
提出者事業主被保険者本人(希望時)
提出先事業所管轄のハローワーク同じく事業所管轄のハローワーク
方法窓口・郵送・e-Gov窓口・郵送・e-Gov(本人操作)
必要な同意本人の署名または同意書で省略可本人が申請者として署名
相談先事業主の人事労務担当ハローワーク雇用保険窓口・コールセンター

必要書類チェックリスト

必要書類チェックリスト

期限と支給単位期間の注意点

育児休業給付金の支給申請には期限があります。初回は育児休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までに受給資格確認と初回支給申請をまとめて行うのが原則です(例:7月10日開始→4か月後は11月9日→期限は11月30日)。母親が産後休業から続けて育児休業に入る場合は、育児休業開始日は出生日から58日目となります。2回目以降は「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に印字された支給申請期間(原則2か月に一度、希望により1か月ごと)内に申請します。期限を過ぎると当該支給単位期間の給付が受けられなくなるおそれがあります。会社が動かない場合でも期限は待ってくれないため、早めにハローワークへ相談してください。

期限の目安
区分期限の考え方例
初回(受給資格確認+支給申請)育児休業開始日から4か月を経過する日の属する月末まで7月10日開始→11月30日まで
2回目以降ハローワーク指定の支給申請期間内(通知書に印字)通知書の「支給申請期間」欄を確認
出生時育児休業給付金(参考)子の出生日から8週間経過日の翌日から2か月を経過する月の末日まで出生日10月5日→翌年1月31日まで

振込と通知の確認

育児休業給付金は、届け出た被保険者本人の金融機関口座へ支給決定後約1週間で振り込まれます。振込名義や支給期間・金額は「支給決定通知書」で確認できます。入金が遅い場合は、会社が申請済みか、ハローワークで審査中か、口座情報に誤りがないかを順に確認してください。支給に不服がある場合は、ハローワークの決定処分に対する審査請求の手続き(Q101参照)も案内されています。

会社が対応しないときの実務的なポイント

実務ポイント

  • 事業主経由が困難な場合でも、ハローワークは本人からの相談を受け付け、事業主への指導や本人申請の手引きを行います。まずは電話で事情を伝えてください。
  • 賃金台帳等の事業主作成書類が入手できないときは、給与明細・雇用契約書・就業カレンダー等の代替資料の可否をハローワークに確認してください。自己判断で省略しないことが大切です。
  • 電子申請は特定法人(資本金1億円超等)では義務化されていますが、やむを得ない理由で困難な場合は窓口・郵送での提出が認められています。

よくある質問

会社が申請してくれないと給付金は諦めるしかありませんか?

諦める必要はありません。育児休業給付の手続きは原則として事業主が行いますが、本人の希望があれば被保険者本人が直接ハローワークへ申請できます。事業所を管轄するハローワークへ「事業主が申請してくれない」と相談し、本人申請への切替えを案内してもらってください。

本人申請の提出先はどこですか?

事業所の所在地を管轄するハローワークです。事業主経由の場合と同じ管轄で、窓口持参、郵送、e-Gov電子申請のいずれかで提出できます。2回目以降の支給申請も同じ管轄で、ハローワーク指定の支給申請期間内に手続きします。

申請期限を過ぎたらどうなりますか?

初回は育児休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までに申請する必要があります。2回目以降は通知書に印字された支給申請期間内です。期限を過ぎると当該支給単位期間の給付が支給されなくなるおそれがあります。会社が動かない場合でも期限は延長されないため、早めにハローワークへ相談してください。

事業主が賃金台帳などを出してくれません。どうすればよいですか?

まずは会社へ作成を依頼してください。協力が得られない場合は、その事情をハローワークへ伝え、代替資料の可否を相談します。賃金台帳の代わりに給与明細等で賃金支払状況を確認できる場合がありますが、自己判断で省略せず、必ずハローワークの指示に従ってください。

まとめと次の行動

育児休業給付金は「会社が申請してくれない=もらえない」ものではありません。原則は事業主経由ですが、本人の希望があれば本人がハローワークへ直接申請できます。まずは会社へ申請状況を確認し、対応が進まない場合は管轄ハローワークへ早めに相談してください。初回は4か月末日までの期限、2回目以降は指定期間内の申請を守り、賃金台帳・母子手帳等の書類を整えて手続きすれば、支給決定後約1週間で本人口座へ振り込まれます。不明点は厚生労働省の公式パンフレット(2026年8月1日改訂版)やQ&A、育児休業等給付コールセンターで確認しましょう。