結論:健康保険の被扶養者は、年収130万円以上(60歳以上または障害者は180万円以上、19歳以上23歳未満は令和7年10月1日以降150万円以上)が見込まれた時点で扶養から外れ、削除日はその事実が発生した日に遡ります。事業主は被扶養者(異動)届を事実発生から5日以内に年金事務所へ提出し、配偶者は14日以内に市区役所で国民年金3号から1号へ切り替え、国民健康保険の手続きも必要です。2026年8月31日時点の公式情報で手順を整理しました。

手続きの概要

被扶養者の収入が基準を超えたら、資格を喪失した日(事実発生日)で扶養から外れます。届出が遅れても資格は遡って取消され、その間の医療費は返還対象になることがあるため、早めの手続きが重要です。

収入基準と削除日・提出先の整理
項目内容
年収基準130万円未満(60歳以上・障害者180万円未満、19歳以上23歳未満は令和7年10月1日以降150万円未満)かつ同居は被保険者収入の半分未満、別居は仕送り額未満
削除の起算日130万円以上が見込まれる事実が発生した日(昇給・勤務時間増・手当増等で見込みが基準を超えた日)に遡って削除
事業主の届出健康保険 被扶養者(異動)届を事業主経由で年金事務所・事務センターへ。原則5日以内、60日以上遡る場合は事実確認書類を追加
配偶者の年金配偶者は市区役所で国民年金3号から1号へ種別変更(14日以内)
健康保険の次被扶養者でなくなった方は勤務先の健康保険・被用者保険に入れない場合は国民健康保険へ加入

対象者と収入要件を正しく判定する

日本年金機構の被扶養者認定では、次の収入要件を満たすことが必要です。

収入要件一覧

  • 年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)。令和7年10月1日以降、19歳以上23歳未満(配偶者除く)は150万円未満
  • 同居の場合:被扶養者の収入が被保険者の収入の半分未満。半分以上でも被保険者収入を上回らず生計維持の中心的役割が認められれば認定される場合があります
  • 別居の場合:被扶養者の収入が被保険者からの仕送り額未満
  • 月額108,333円以下、日額3,611円以下が130万円基準の目安(雇用保険受給者は日額3,612円以上で扶養削除)
  • 令和8年4月1日以降、給与収入のみの方は労働条件通知書等の賃金から見込む年収で判定できる特例があります

出典:日本年金機構「被扶養者に異動があったときの手続き」および「労働契約内容による取扱いについて」(2026年8月31日確認)。同ページに収入に含む非課税手当等の注意書きがあります。

いつから外れる?遡って削除される仕組み

削除日は届出を出した日ではなく、収入が基準を超えると見込まれる事実が発生した日です。例えば、時給アップや所定労働時間の増加で月収が108,334円を超える見込みになった日、賞与を含めた年収見込みが130万円を超えた日が起算日です。届出が遅れると、その起算日に遡って扶養資格が取消されます。

遡及削除のポイント

  • 起算日:昇給・増勤・手当新設等で年収見込みが基準額以上になった日
  • 審査:年金事務所・健康保険者が事実発生日を認定し、その日に遡って資格喪失として処理
  • 影響:喪失日以降に被扶養者として受診していた医療費は、保険者から返還請求される場合があります。国民健康保険や国民年金保険料も喪失日に遡って発生します

手順1:事業主が被扶養者(異動)届を年金事務所へ提出する

事実発生日を確認する:給与改定日、労働条件通知書の変更日、勤務時間の変更日など、年収見込みが基準を超えた日を特定します。

被扶養者(異動)届を作成する:事業主が健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届兼用)を作成。削除(非該当)にチェックし、被扶養者になった日/でなくなった日、収入見込み、続柄等を記入します。

添付書類を揃える:収入見込みが分かる課税証明書や給与明細等、税法上の控除対象配偶者等は事業主証明で省略可。60日以上遡る場合は戸籍謄本・住民票等で扶養事実確認書類を追加。資格確認書等が回収不能なら回収不能届を添付します。

5日以内に提出する:事業主経由で管轄の年金事務所・事務センターへ電子申請、郵送、窓口のいずれかで提出します。5日を過ぎても受理されますが、60日以上遡る場合は追加書類が必要です。電子申請では添付書類をPDF・JPEGで送付できます。

提出先は協会けんぽの被保険者なら日本年金機構、健康保険組合の方は組合と年金事務所の双方の案内を確認してください。協会けんぽ以外の被保険者の配偶者は、国民年金第3号関係届のみを年金機構へ提出する場合があります。

手順2:配偶者は国民年金3号から1号へ、家族は国民健康保険へ切り替える

市区役所で国民年金の切替:配偶者が年収130万円以上見込みで扶養から外れた場合、住所地の市区役所・町村役場で国民年金被保険者関係届書(申出書)を提出し、第3号から第1号へ変更します。基礎年金番号通知書またはマイナンバーカード等の本人確認書類を持参し、原則14日以内に手続きします。

国民健康保険へ加入:被扶養者でなくなった方が勤務先の被用者保険に加入しない場合は、同じく市区役所の国民健康保険窓口で加入手続きをします。資格喪失日(事実発生日)の翌日から国保の資格が発生し、保険料は遡って賦課されます。

保険証・資格確認書を返却:回収された資格確認書等は事業主経由で返却します。紛失時は資格確認書回収不能届を添付します。

出典:日本年金機構「収入の増加により配偶者の扶養から外れたときの年金の手続き」および「国民年金に加入するための手続き」(いずれも2026年8月31日確認)。

一時的収入増加は事業主証明で2回まで継続できる場合があります

人手不足による労働時間延長等で一時的に収入が増加し、結果として130万円以上となっても、事業主証明を添付することで連続2回まで被扶養者として認定が継続される特例があります。全国健康保険協会が案内する「年収の壁・支援強化パッケージ」の一時的変動対応です。

一時変動特例の要件

  • 対象:人手不足等の一時的要因で残業等が増え、一時的に年収が130万円(60歳以上等180万円、19歳以上23歳未満150万円)以上となった場合
  • 手続き:事業主の証明(所定様式)を被扶養者(異動)届に添付して提出
  • 回数:原則連続2回まで
  • 2回を超えて恒常的に基準を超える場合は、通常の削除手続きが必要です

出典:全国健康保険協会「被扶養者の認定における特例について」(2026年8月31日確認)。

2026年4月から:労働契約ベースで判定できるようになりました

令和8年4月1日以降、扶養認定を受ける方の収入が給与収入のみの場合は、労働条件通知書等に記載の賃金から見込む年間収入が基準額未満で、他の収入が見込まれないときは被扶養者認定が可能です。従来の実績ベースでは超えていても、契約段階で超えなければ認定できる場合があります。

労働契約ベース特例の留意点

  • 必要書類:労働条件通知書・雇用契約書または労働条件が記載された事業主証明(任意様式)と、給与収入のみである旨の申立書(届書の申立欄に記載すれば申立書省略可)
  • 留意:契約期間が1年未満、労働時間が不明確、手当額が不明確な場合は判定できません。契約更新や労働条件変更の都度、2点の書類を再提出します

出典:日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」2026年5月1日更新(2026年8月31日確認)。

遅れた場合・遡った場合の扱い

遅延・遡及時の取扱い

  • 5日を過ぎても届出は受理されます。ただし被扶養者になった日が受付日より60日以上遡る場合は、扶養事実確認書類(戸籍謄本・住民票等)の追加が必要です(一定条件で省略可)
  • 削除が遡った場合、喪失日以降の医療給付は返還、国民年金第1号保険料・国民健康保険料は遡って発生します。納付書が届くまで未納にしないよう、市区役所で納付方法を確認してください
  • 電子申請では添付書類を画像ファイル(PDF・JPEG)で提出できます。事業所向けオンラインサービスまたはe-Gov電子申請を利用してください

よくある誤解とチェックポイント

年収130万円は過去1年間の合計で判定しますか?

いいえ。過去の収入ではなく、認定時点および認定後の今後1年間の見込み収入で判定します。昇給や勤務時間増で見込みが基準を超えた時点で削除対象です。

税の扶養(103万円→令和7年分から123万円等)と健康保険の扶養は同じですか?

異なります。所得税の控除対象配偶者等の基準と、健康保険の被扶養者の130万円(等)基準は別の制度です。税で扶養でも健保で外れる場合や、その逆があります。

雇用保険の失業給付をもらうと扶養はどうなりますか?

失業等給付も収入に含みます。日額3,612円以上の基本手当の支給が始まると扶養削除の届出が必要です。待機期間中でも収入要件を満たせば認定される場合があります。

扶養から外れたら自分で社会保険に入る必要がありますか?

勤務先で厚生年金・健康保険の加入要件(週所定労働時間、賃金月額、4分の3基準や106万円の壁等)を満たせばそちらへ、満たさなければ国民健康保険と国民年金第1号へ加入します。106万円の壁は別要件です。

次の行動チェックリスト

年収見込みが基準を超えそうか、月額108,333円・日額3,611円を目安に確認する

当サイトの内容は参考情報です。具体的な認定・削除日、添付書類の要否、保険料の遡及賦課は、管轄の年金事務所・健康保険組合・協会けんぽ、住所地の市区役所へご確認ください。