普通徴収の住民税を特別徴収へ切り替えるには、給与支払者(会社)が『特別徴収切替届出(依頼)書』を納税者の住所地の市区町村へ提出します。原則、特別徴収を開始したい月の前月10日必着で、6月開始を希望する場合は4月10日(大阪市)または4月15日(杉並区)までと自治体により異なります。納期が到来した税額は切替できないため、未到来分の納付書と納付済分の領収書コピーの添付が二重納付防止に必要です。2026年8月25日時点の公式情報で確認しています。

手続きの概要

住民税の特別徴収は、会社が毎月の給与から住民税を天引きし、翌月10日までに市区町村へ納入する方法です。普通徴収は従業員本人が納付書で納付する方法で、年度途中に入社した従業員や、確定申告で普通徴収を選択した従業員の残税額を特別徴収へ切り替えるときに『特別徴収切替届出(依頼)書』を使います。2024年度(令和6年度)から森林環境税(年額1,000円)も住民税と併せて特別徴収されます。

対象者と切替できる条件

対象者と切替できる条件

  • 前年中に給与の支払があり、かつ当該年度の4月1日現在で給与の支払を受けている従業員が対象です(横浜市)
  • 年度途中で中途入社した従業員で、本人から普通徴収分の切替を希望する申出があった場合
  • 未納税額のうち納期が到来していない分に限り切替可能です。納期限を過ぎた分は本人納付のままとなります
  • 2か所以上から給与を受ける従業員は、主たる給与の支払者が一括で特別徴収するのが原則です

提出期限はいつまでか

提出期限は全国共通で『特別徴収を開始したい月の前月10日必着』が原則です。ただし、新年度の6月分から開始を希望する場合は、4月上旬が期限となり自治体で日付が異なります。

提出期限の自治体別比較(2026年8月25日確認)
市区町村例開始希望月提出期限備考
杉並区6月分から4月15日まで(土日祝は翌平日)税額決定通知の発送まで約1か月かかるため余裕をもって設定
大阪市6月分から4月10日まで船場法人市税事務所へ提出、eLTAX推奨
大阪市・横浜市共通7月分以降(例:8月分から)開始月前月10日まで(例:8月分なら7月10日)横浜市は現在処理集中で通知まで通常より時間を要する場合あり
横浜市年度途中入社速やかに(納期前)納期到来分は切替不可。二重納付防止に納付書添付

必要書類と添付書類

必要書類チェックリスト

指定番号は、既に特別徴収を行っている市区町村から付番されている場合のみ記入し、初めて切替える市区町村では空欄で提出できます。マイナンバー(個人番号)欄がある様式でも、未記載で受け付ける自治体が多く、催促された例は少ないとされていますが、心配な場合は本人から預かって記載します。

提出先と提出方法

提出先と提出方法

  • eLTAX(地方税ポータルシステム)による電子申告:複数の市区町村へ一括送信でき、送信記録が残るため推奨されています(大阪市・横浜市)
  • 郵送:各市区町村の特別徴収担当(例:杉並区は区民生活部課税課、横浜市は〒231-8314 横浜市特別徴収センター)へ送付
  • 窓口持参:市区町村の税務窓口または市税事務所へ提出。電話・FAX・メールでの提出は受け付けていません(大阪市・横浜市)

手順1〜5:切替までの流れ

従業員から普通徴収分の納付書と切替希望の申出を受け取り、納期が到来していないか確認します。納期限後は切替不可のため、まず納付状況を切り分けます。

特別徴収切替届出書に、会社情報(所在地・名称・指定番号・担当者)と従業員情報(氏名・1月1日住所・現住所・生年月日・年税額・納付済額・開始希望月)を記入します。Excel様式の利用が読み取り精度の面で推奨されています。

二重納付防止のため、納期未到来分の納付書と納付済分の領収書コピーを添付します(横浜市は必須)。添付がないと処理が遅れる場合があります。

eLTAXで送信するか、郵送・窓口で市区町村へ提出します。eLTAXの場合も期限は同じく前月10日必着です。控えが必要な場合は送信記録または受領印を保管します。

市区町村から『特別徴収税額決定(変更)通知書』が会社と従業員へ送付されます。月割額を確認し、指定された月から給与天引きを開始します。通知には森林環境税を含む年税額の月割額が記載されています。

切替届出書と異動届出書の違い

切替届と異動届の使い分け
区分使う書類方向主な提出期限
普通→特別への切替特別徴収切替届出(依頼)書普通徴収から特別徴収へ開始月前月10日(6月は4月10日/4月15日)
特別→退職・転職など給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書特別徴収から普通徴収・一括徴収・継続へ異動があった月の翌月10日(4月中異動は4月30日・4月15日の自治体も)

切替届は普通徴収で課税されている方の残額を天引きへ切り替える書類、異動届は既に特別徴収している従業員が退職・休職・転勤したときに使う書類です。書類を間違えると処理されないため、従業員の現在の徴収方法を必ず確認します。

月割額はどう決まるか

月割額は会社が計算するのではなく、市区町村が年税額(住民税+森林環境税)を残りの納期で分割して決定します。提出が遅れても切替自体は可能ですが、通知が遅れる分、天引き開始月が後ろ倒しになり、残りの月で均等に配分されるため1回あたりの天引き額が大きくなる場合があります。開始月を空白にして『決定次第電話連絡を希望』と備考に記載すると、市区町村から電話で月割額の連絡を受けることも可能です。

注意点・よくある失敗

よくある失敗リスト

  • 納期到来分を切替対象に含めてしまう:納期限後は切替不可のため、従業員本人の納付として残ります
  • 納付書・領収書の添付漏れ:横浜市などでは添付が求められ、ないと確認に時間がかかります
  • 指定番号欄の誤記:初めての市区町村では空欄が正しく、誤った番号を記入すると照合エラーになります
  • 開始希望月を6月にして4月期限を過ぎてしまう:4月10日/15日を過ぎると6月開始は間に合わず翌月以降開始になります

よくある質問

eLTAXで提出する場合も期限は同じですか?

はい、同じです。eLTAXで提出する場合も開始月前月10日必着、6月開始は4月10日(大阪市)または4月15日(杉並区)までが原則です。電子申告は送信記録が残るため、郵送より安心との声もあります。

従業員が普通徴収分の納付書をなくした場合でも切替できますか?

納付書がなくても切替届自体は提出できますが、二重納付防止の確認ができません。市区町村によっては領収書や納付状況の確認を求められるため、事前に特別徴収担当へ電話で確認し、指示に従って添付に代わる確認方法を取ってください。

切替後に従業員が退職した場合はどうなりますか?

切替後に退職した場合は、改めて『給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書』で普通徴収や一括徴収への切替が必要です。切替届で特別徴収を開始した後も、異動があれば翌月10日までに異動届を提出します。

次の手続きと関連情報

住民税の切替後は、毎月の給与計算で天引きし、翌月10日までにeLTAXや金融機関で納入します。年末調整や給与支払報告書の提出、社会保険の算定基礎届や月額変更届など、給与担当者の年間手続きも併せて確認してください。