結論:期限を過ぎても届かないときは所轄税務署へ不交付の届出書を提出します

退職後の源泉徴収票が1ヶ月経っても届かないときは、給与明細の写しを添えて給与支払者の所在地を所轄する税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。税務署が会社へ是正指導を行い、確定申告では明細等を基に代替申告が可能です。まずは会社への依頼記録を残した上で、書面で提出します。

この記事の対象者と前提

次のいずれかに当てはまる方を対象に、2026年8月26日時点の国税庁の公式情報で整理しました。

対象となる主な状況

  • 年の中途で退職し、前職から源泉徴収票が1ヶ月以上届かない方
  • 在職中だが翌年1月31日を過ぎても勤務先から交付されない方
  • 電子交付に同意したがメールが届かない・開けない方
  • 転職先の年末調整や確定申告で急ぎ源泉徴収票が必要な方

まず確認:交付期限を過ぎているか

所得税法第226条に基づき、会社には交付義務があります。期限前は不交付届の対象外のため、まず期限を確認します。

給与所得と退職所得の交付期限の違い
種類交付期限補足
給与所得の源泉徴収票退職の日以後1月以内(翌年1月31日でも可)年の中途退職は1月、在職中は翌年1月31日が原則
退職所得の源泉徴収票退職の日以後1月以内退職手当等の支払をする者が交付。国税庁 F1-2 手続案内による

会社へ依頼した記録を残す

税務署は「これまでの経緯」を確認します。口頭だけでなく、証跡を残します。

依頼時に残す記録

源泉徴収票不交付の届出書とは

支払者(会社)が源泉徴収票を交付しないときに、受給者本人が所轄税務署へ申し入れるための書面です。税務署が事業主へ事実確認と是正指導を行います。罰則適用の手続きではなく、指導により交付を促すことが目的です。

提出先の決め方:給与支払者の所在地を所轄する税務署

提出先は受給者(あなた)の住所地ではなく、給与等の支払者の所在地を所轄する税務署です。国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」ページで検索できます。

所轄の判断ポイント

  • 本社で給与を一括支払している場合:本店所在地の税務署
  • 支店ごとに給与計算している場合:支店所在地の税務署
  • 支払者が個人事業主の場合:事業所所在地の税務署
  • 不明なとき:国税庁の電話相談センターまたは最寄りの税務署へ事前確認する

書き方と添付書類

国税庁のPDF様式「源泉徴収票不交付の届出書」の記載要領(2026年8月26日確認)に基づき、主な欄を整理します。マイナンバーの記載は不要です。

届出書の主な記入欄と注意点
欄記入内容注意点
届出者の住所・氏名・電話番号住民票どおりに記入。連絡可能な電話番号を記載日中連絡が取れる番号にする
不交付の源泉徴収票に係る事項(年分・収入金額・源泉徴収税額)交付を求める年分と1年間の合計額を記載給与明細から集計。不明な場合は概算でも受理されることがある
給与明細書の保存 有・無有なら写しを添付し「有」に○、無なら「無」に○有のときは必ず写しを添付。1年超の継続分があれば居住関係書類の添付を省略可
事業主の所在地・名称・従業員数把握している範囲で記載従業員数は届出者の把握する範囲で可
これまでの経緯会社への依頼日・方法・回答を具体的に記載在職期間も併記。メール等の写しがあれば添付
氏名告知の可否 □はい□いいえ税務署が事業主へ氏名を伝えてよいか選択「はい」にすると指導が円滑に進むことがある
居住に関する事項(裏面・外国人のみ)入国年月日・在留資格・期間・国籍・在留カード番号等該当者のみ。証明書の写しを添付する

「給与明細書の保存」が「有」の場合は必ず写しを添付します。「1年を超える継続分」がある場合は、居住期間を明らかにする書類の添付を省略できます。届出者が外国人の方は裏面も記入します。

提出方法と手数料

提出方法の要点

  • 持参または郵送で所轄税務署へ提出する(時間外収受箱への投函も可)
  • e-Taxでの電子申請の対象外。書面のみの手続きです
  • 手数料は無料
  • 受付時間は平日8時30分から17時。土日祝は送付または時間外収受箱を利用する

提出後の流れと確定申告での代替申告

提出後は税務署が事業主へ確認・指導を行い、会社から源泉徴収票が交付されるまで通常1ヶ月程度かかることがあります。交付を待てないときでも、確定申告は進められます。

確定申告を急ぐときの手順

  1. 給与明細や通帳入金記録から年間の収入金額・源泉徴収税額を集計する
  2. 確定申告書を作成し、源泉徴収票の添付に代えて「不交付の届出書提出済み」であることを税務署へ伝える
  3. 税務署の窓口または電話相談センターで金額の推計方法を確認する
  4. 後日源泉徴収票が届いたら内容を突合し、差異があれば修正申告を検討する

電子交付に同意していた場合の注意

平成19年1月1日以後に交付する源泉徴収票は、事前承諾等一定の要件の下で書面に代えて電磁的方法(電子交付)ができます。メールが届かないときは迷惑メールフォルダ、登録アドレスの誤り、退職による社内メール無効化を確認します。電子交付でも不交付のときは同じく不交付届の対象です。

よくある質問

源泉徴収票の再発行と不交付の届出書は違いますか?

違います。再発行はすでに一度交付された源泉徴収票を紛失したときに会社へ依頼する手続きです。不交付の届出書は一度も交付されていないときに所轄税務署へ申し出る手続きで、税務署が会社へ是正指導を行います。

交付期限前でも不交付の届出書を提出できますか?

原則として退職後1月または翌年1月31日を過ぎてから提出します。期限前に提出しても受理されない場合があります。まずは会社へ依頼し、期限を過ぎても届かないときに提出します。

給与明細がない・一部しかないときはどうしますか?

給与明細書の保存「無」に○を付け、わかる範囲の金額を記載して提出します。通帳の入金記録や雇用契約書、賃金台帳の写しがあれば補足資料として添付し、税務署へ相談します。

転職先の年末調整に間に合わないときはどうしますか?

不交付届の控えと給与明細の写しを持参し、転職先の担当者へ事情を伝えます。年末調整に間に合わなくても、翌年の確定申告で精算できます。転職先と所轄税務署の両方へ早めに相談します。

会社が倒産・連絡不通のときも提出できますか?

はい、連絡不通や廃業の場合でも提出できます。最後に勤務した事業所の所在地を所轄する税務署へ、把握している所在地・名称で提出し、経緯欄に連絡不通であることを記載します。

まとめ:次に行うことチェックリスト

退職後に源泉徴収票が届かないときの次の行動

退職後の源泉徴収票は、会社に1月以内の交付義務があります。届かないときは慌てず、依頼記録と給与明細を整えた上で所轄税務署へ不交付の届出書を提出し、確定申告への影響を最小限にしましょう。税務署の電話相談センターでも手続きの詳細を確認できます。