退職後に源泉徴収票が届かないときは、まず退職後1か月が経過しているかを確認し、会社へメールや書面など記録が残る方法で再請求します。会社が応じない場合は、所轄税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出して交付を促すことができます。交付期限や手続は国税庁のF5-4で定められています。(2026年8月24日確認)

源泉徴収票の交付期限と交付義務

源泉徴収票の交付は所得税法第226条で義務付けられています。国税庁の手続「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」では、次のとおり交付期限が示されています。

交付期限の区分
区分交付期限
中途退職(年の中途で退職した人)退職後1か月以内
年内在職・年末調整の対象となった人翌年1月31日まで

交付方法は書面のほか、受給者の承諾があれば電磁的方法(電子交付、メールや社内ポータルでの閲覧・ダウンロード)も可能です。承諾なく書面交付を電子のみに切り替えることはできません。

届かないときにまず確認すること

届かないときのチェックリスト

会社への再請求手順(記録を残すことが重要です)

請求内容を整理する。氏名、社員番号、退職日、請求する年分(例:令和7年分)、送付先住所・希望する交付方法(書面または電子)を明記します。給与明細は収入金額と源泉徴収税額を証明する資料として保管します。

メール・書面で請求する。人事・給与担当宛てに、交付期限(退職後1か月以内)を踏まえて再発行・再送付を依頼します。メールは送信記録、郵送は特定記録や簡易書留で記録を残します。電話は補助的にし、必ず後でメールで内容を確認します。

返答期限を区切る。1週間程度の期限を伝え、期限までに返答がない場合や拒否された場合は、所轄税務署への「源泉徴収票不交付の届出書」の提出を検討する旨を穏便に伝えます。

それでも発行されないとき:源泉徴収票不交付の届出書

国税庁の手続「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」は、支払者から源泉徴収票の交付を受けられなかった受給者が、所轄税務署長に届け出る手続です。すでに交付された源泉徴収票の再発行は対象外で、そもそも交付されなかった場合が対象です。交付期限を経過した後はいつでも提出できます。

手続の概要

  • 手続対象者:源泉徴収票の交付を受けられなかった受給者本人
  • 提出先:納税地を所轄する税務署長
  • 提出時期:交付期限(中途退職は退職後1か月、その他は翌年1月31日)を過ぎた後、随時
  • 提出方法:書面(持参・郵送)またはe-Taxソフトで作成・送信
  • 手数料:無料

届出書には、年分、支払者の名称・所在地、収入金額、源泉徴収税額、給与明細の保存の有無、税務署が事業主に氏名を告知してよいか否かなどを記載します。支払金額が不明な場合は給与明細からわかる範囲で記載し、添付資料として給与明細の写しを保管しておくと円滑です。

年末調整・転職先・確定申告への影響と代替対応

転職先で年末調整を受けるには、前職の源泉徴収票が必要です。退職後に前職分が届かないまま年末調整の期限に間に合わない場合は、現職では現職分の給与のみで年末調整を行い、前職分は後日確定申告で精算する方法があります。

状況別の代替対応

  • 転職先から前職分を求められたとき:不交付届出を検討中であることを伝え、給与明細の写しで一時的に相談します。最終的には確定申告での精算を案内されることがあります。
  • 確定申告が必要なとき:源泉徴収票がなくても給与明細や振込履歴から収入金額・源泉徴収税額を集計して申告できます。不交付届出の控えがあると税務署での相談が円滑です。
  • 退職所得があるとき:退職金に係る「退職所得の源泉徴収票」は別途交付されます。給与所得分と取り違えていないか、会社へ確認します。

よくある質問

会社が倒産・連絡不通で請求できません。すぐに税務署へ届け出できますか?

できます。交付期限を過ぎていれば、会社への再請求と並行して所轄税務署へ届け出が可能です。給与明細や雇用契約書など支払の事実がわかる資料を保管し、届出書にわかる範囲で記載します。税務署は事業主へ指導を行いますが、税務署から直接源泉徴収票が発行されるわけではありません。

電子交付に承諾した覚えがありません。勝手に電子のみにされました。

電子交付は受給者の承諾が要件です。承諾していないのに書面で交付しない場合は、交付義務違反に該当し得ます。会社へ書面での交付を求め、応じないときは不交付届出の対象となります。承諾の有無を確認し、記録を残して請求します。

罰則はありますか?

所得税法第242条に、源泉徴収票の不交付等に対する罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が定められています。実際に適用されるかは個別事情によりますが、交付義務は法律上の義務であることを会社へ伝える際の根拠となります。詳細は所轄税務署へご確認ください。