年末調整で障害者控除を受けるには、給与所得者の扶養控除等申告書の「障害者控除」欄で区分を正しくチェックし、勤務先へ提出します。障害者27万円・特別障害者40万円・同居特別障害者75万円のいずれかが適用され、手帳の写しの添付は申告書の要件ではありません。
手続きの概要
障害者控除は、納税者本人、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる所得控除です。年末調整では「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出することで適用を受けます。控除は扶養控除の対象外である16歳未満の扶養親族でも適用でき、1人ごとに27万円・40万円・75万円のいずれかが所得から差し引かれます。
対象者と控除額(27万円・40万円・75万円)
| 区分 | 控除額 | 主な該当例(概要) |
|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 身体障害者手帳3〜6級、精神障害者保健福祉手帳2・3級、療育手帳(軽度・中度)など |
| 特別障害者 | 40万円 | 身体障害者手帳1・2級、精神障害者保健福祉手帳1級、療育手帳(重度)、寝たきりで複雑な介護を要する状態など |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税者・配偶者・生計を一にする親族のいずれかと同居を常況としている人 |
判定は手帳の等級や交付状況、市町村長等の認定により行います。詳しい該当範囲は国税庁No.1160で8類型が示されています。同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額が58万円以下であることは扶養控除の要件と同時に確認してください。
提出先と提出期限
提出先は勤務先(給与の支払者)です。扶養控除等申告書はその年の最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出します。年の中途で障害者に該当・非該当の異動や、同居状況の変更があった場合は、その都度「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先へ提出します。年末調整の際は、勤務先が申告書の記載内容を確認し、控除額を源泉徴収簿へ転記して年税額を計算します。
必要書類と添付の扱い
年末調整で障害者控除を申告する際に、手帳の写しや診断書の添付は申告書の要件として求められていません。申告書には障害者・特別障害者・同居特別障害者の区分をチェックし、障害の事由となった手帳等の種類、交付年月日、等級、障害の程度等を記載します。勤務先が確認のために手帳の提示を求める場合は、その指示に従ってください。新たに手帳の交付を申請中でまだ手元にない場合は、適用可否を勤務先や税務署に事前に相談してください。
提出前に用意するもの
扶養控除等申告書の書き方(4ステップ)
申告書中央付近のC欄「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄を確認します。納税者本人が障害者に該当する場合は、「障害者」または「特別障害者」のいずれかにチェックを入れます。本人が同居特別障害者には該当しません(同居特別障害者は配偶者・扶養親族のみ)。
同一生計配偶者または扶養親族が障害者に該当する場合は、申告書下部の「控除対象配偶者」「控除対象扶養親族」欄の該当者の行にある「障害者」または「特別障害者」欄にチェックを入れます。一般の障害者は「障害者」欄、重度の判定等で特別障害者に該当する場合は「特別障害者」欄です。
特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族が、納税者・配偶者・生計を一にする親族のいずれかと同居を常況としている場合は、同じ行の「同居特別障害者」欄にもチェックを入れます。この場合の控除額は75万円(特別障害者40万円に35万円加算)として取り扱われます。
「障害者控除に関する事項」等の自由記載欄(申告書の備考欄や障害者区分の詳細欄)に、手帳の種類(例:身体障害者手帳1級、精神障害者保健福祉手帳1級、療育手帳A判定など)、交付日、等級を簡潔に記載します。市町村長等の認定による場合は「市町村長認定(要介護○)」などと記載します。記載例は国税庁の「記載例」PDFで書式を確認できます。
年末調整後に気づいたときの訂正
申告書の提出後に障害者控除の記入漏れや区分の誤りに気づいた場合、年末調整が完了する前であれば勤務先に申し出て申告書を差し替えて再提出します。年末調整後に気づいた場合は、翌年1月31日までに勤務先が源泉徴収票を再作成できる場合を除き、自身で確定申告(還付申告は翌年1月1日から5年間、更正の請求は法定申告期限から5年以内)により障害者控除を追加・訂正します。確定申告では障害者控除の欄に該当する金額を記載し、必要に応じて手帳等の情報を申告書に添付します。
よくある質問
本人が特別障害者で、扶養親族に同居特別障害者がいる場合、控除額はどうなりますか?
それぞれ別に控除が適用されます。本人が特別障害者で40万円、扶養親族が同居特別障害者で75万円、合計115万円が障害者控除として所得から差し引かれます。扶養控除等申告書では、本人欄で特別障害者にチェックし、扶養親族の行で特別障害者と同居特別障害者の両方にチェックします。
身体障害者手帳の交付を申請中ですが、手帳がまだ届いていません。障害者控除は受けられますか?
手帳の交付前でも、交付申請中であることを理由に直ちに障害者控除の対象外となるわけではありません。国税庁の質疑応答事例では、手帳の交付申請中でも一定の要件を満たせば適用できる場合が示されています。手帳の交付見込みや市町村長等の認定の可否を含め、勤務先の年末調整担当者または所轄税務署の電話相談窓口に個別にご確認ください。
療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の写しは勤務先に提出する必要がありますか?
扶養控除等申告書の提出に当たり、手帳の写しの添付は法令上の要件ではありません。申告書に手帳の種類・等級・交付日等を記載することで足ります。ただし、勤務先が事実確認のために手帳の提示や写しの提出を求める場合があります。その場合は勤務先の指示に従い、個人情報の取扱いに注意して提示してください。
次の手続きと関連情報
扶養控除等申告書では、障害者控除のほか寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除も同じ申告書で判定します。該当する場合は併せて記入してください。年末調整の全体の流れや他の申告書の書き方は、関連記事もご参照ください。
関連する手続き
- 寡婦・ひとり親控除の判定と書き方を確認する
- 保険料控除申告書の記入ミスを訂正する方法を確認する
- 医療費控除とセルフメディケーション税制の選択を確認する