年末調整の給与所得者の保険料控除申告書を書き間違えたら、提出前は誤った箇所を二重線で消して正しく書き直し、提出後で年末調整前なら訂正した申告書を勤務先に再提出、年末調整が終わった後に気づいたら翌年の確定申告で正しい控除額に直します。いずれも一般・介護医療・個人年金の3区分と新旧区分を証明書で確認し直すことが大切です。2026年9月1日時点の国税庁の公式情報で整理します。
手続きの概要と結論
給与所得者の保険料控除申告書は、その年最後の給与支払日の前日までに勤務先へ提出します。勤務先は税務署から求められた場合以外は税務署へ提出せず保管します。書き間違いの直し方は提出タイミングで次の3つに分かれます。
| 気づいたタイミング | 対処方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 勤務先へ提出する前 | 二重線で訂正 | 誤り箇所を二重線で消し余白に正しく記入。修正液や修正テープは使わず訂正印は不要です |
| 提出後〜年末調整の計算前 | 訂正した申告書を再提出 | 正しく書き直した申告書を勤務先に差し替えて提出。担当者に訂正の旨を一言伝えます |
| 年末調整が終わった後 | 翌年の確定申告で訂正 | 源泉徴収票の控除額は確定申告で正しく入力し直します(還付・更正の請求は5年以内) |
対象者と提出先・期限
年末調整で保険料控除を受ける給与所得者が対象です。提出先は勤務先(給与の支払者)で、提出期限はその年最後の給与支払日の前日までです。国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」が根拠です。
提出先と期限の確認ポイント
- 提出先:勤務先へ提出(税務署へ直接は送りません)
- 期限:最後の給与支払日の前日まで
- 添付書類:生命保険料は旧契約で一契約9,000円以下を除き証明書を添付、地震保険料は金額にかかわらず添付、国民年金・国民年金基金の社会保険料は証明書を添付
よくある書き間違いの例
保険料控除申告書で間違えやすい箇所
- 一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3区分を取り違えた(証明書の区分欄を見ずに記入)
- 新契約(平成24年1月1日以後)と旧契約(平成23年12月31日以前)の区分を逆にした、または合算方法を誤った
- 年間の支払保険料等の金額に剰余金・割戻金を引き忘れた
- 1つの契約で複数の保障が混在する契約で主たる保障の区分を誤った
- 地震保険料と旧長期損害保険料を誤って両方で計算した
手順1:提出前に気づいたときは二重線で訂正する
誤った箇所を二重線で訂正し、正しい内容を近くに記入する
誤った文字や数字の上に二重線を引き、その近くに正しい内容を書き直します。修正液や修正テープは使わないでください。年末調整の申告書では訂正印は不要とされています。証明書の金額と区分を再確認し、繋がりが分かるように丁寧に記入します。
控除額を3区分×新旧区分で再計算する
生命保険料控除は、一般・介護医療・個人年金の3区分ごとに、新契約と旧契約で計算式が異なります。新契約は80,000円超で一律40,000円、旧契約は100,000円超で一律50,000円、3区分合計の上限は120,000円です(国税庁 No.1140)。旧契約の支払が6万円超か以下かで、一般・個人年金の計算分岐も変わるため、必ず前提を確認します。
証明書を添え直して提出する
訂正後の申告書に、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書、国民年金保険料控除証明書など必要な証明書を改めて添え、勤務先へ提出します。電子データで提供している場合は、証明書データの再連携も忘れずに行います。
手順2:提出後に気づいたときは訂正した申告書を再提出する
勤務先に提出した後で、まだ年末調整の計算前であれば、訂正した新しい申告書を勤務先に再提出できます。担当者に「先ほどの保険料控除申告書を訂正したので差し替えてください」と伝え、古いものは破棄してもらいます。年末調整の計算が始まった後は、会社側で差し替えが間に合わない場合があるため、早めに連絡することが大切です。
手順3:年末調整後に気づいたときは確定申告で訂正する
年末調整が終わった後に誤りに気づいた場合は、勤務先での訂正ではなく、翌年の確定申告で正しい控除額に直します。確定申告書等作成コーナーでは、給与所得の入力後に各所得控除の画面で正しい金額を入力し直します。社会保険料控除以外で引き続き控除を受ける場合は、再度すべての所得控除を入力する必要がある点に注意します(国税庁 確定申告書等作成コーナー)。
確定申告で直すときの期限
- 令和7年分(2025年分)の確定申告期限は令和8年3月16日(例年3月15日で休日の場合は翌平日)まで
- 還付を受けるための確定申告や更正の請求は5年以内に可能。税額が増える修正申告は速やかに行い、加算税や延滞税に注意します
- e-Tax、郵送、税務署窓口のいずれでも提出できます。申告データに誤りがある場合の訂正は、すべての帳票を送信し直します
控除額を再計算するときの注意点(令和7年分)
| 区分 | 年間の支払保険料等 | 控除額 |
|---|---|---|
| 新契約(一般・介護医療・個人年金) | 20,000円以下 | 支払額の全額 |
| 20,000円超40,000円以下 | 支払額×1/2+10,000円 | |
| 40,000円超80,000円以下 | 支払額×1/4+20,000円 | |
| 80,000円超 | 一律40,000円 | |
| 旧契約(一般・個人年金) | 25,000円以下 | 支払額の全額 |
| 25,000円超50,000円以下 | 支払額×1/2+12,500円 | |
| 50,000円超100,000円以下 | 支払額×1/4+25,000円 | |
| 100,000円超 | 一律50,000円 |
3区分の控除額を合計し、合計が120,000円を超える場合は120,000円が上限です。旧契約と新契約の両方に加入している場合は、旧契約の支払額が60,000円超か以下かで計算が分かれるため、国税庁の表で必ず分岐を確認します。証明書の「新・旧区分」「一般・介護医療・個人年金の区分」欄を保険会社ごとに確認することが、訂正時の最も確実な近道です。
電子データ(年調ソフト・マイナポータル連携)で間違えたとき
勤務先が年調ソフトやマイナポータル連携で保険料控除申告書を電子提出している場合も、考え方は同じです。提出前なら電子データを作り直して再送信、提出後~年末調整前なら訂正データを再提出、年末調整後なら確定申告で直します。電子データで提出する場合は、証明書の提出に代えて証明書記載事項を電子データで提供できますが、訂正時は正しい証明書データを再度連携することが必要です。
注意点・よくある失敗
提出時に確認したいチェックリスト
- 証明書の3区分(一般・介護医療・個人年金)と新旧区分は正しく転記したか
- 年間の支払保険料等から剰余金・割戻金を差し引いたか
- 小規模企業共済等掛金や国民年金保険料等の社会保険料控除と混同していないか
- 訂正は二重線で行い修正液を使っていないか
- 再提出時は古い申告書が残っていないか担当者に確認したか
よくある質問
保険料控除申告書を二重線で訂正するとき、訂正印は必要ですか
年末調整の保険料控除申告書を二重線で訂正する場合、訂正印は不要です。誤った箇所を二重線で消し、正しい内容を近くに記入して提出します。修正液や修正テープは使わないでください。勤務先の指示がある場合はそれに従います。
年末調整が終わった後に保険料控除の誤りに気づきました。会社で直してもらえますか
年末調整が終わった後は、勤務先での再計算はできません。翌年の確定申告で正しい控除額に直します。確定申告書等作成コーナーで給与所得と各所得控除を正しく入力し直し、所轄税務署へ提出します。還付の場合は5年以内に更正の請求が可能です。
新契約と旧契約を取り違えて計算してしまいました。どう直しますか
証明書の新旧区分を確認し、国税庁 No.1140の計算式で再計算します。新契約は平成24年1月1日以後の契約、旧契約は平成23年12月31日以前の契約です。旧契約の支払額が60,000円超か以下かで一般・個人年金の計算が分かれるため、 premiumsの合計と上限120,000円も含めて再確認します。