結論:500万円超などが税務署提出、令和9年からは給与支払報告書でみなし提出
給与所得の源泉徴収票の税務署提出は、全員に作成・交付は必要ですが税務署へ提出するのは一定額を超える人だけです。年末調整済みの一般従業員で年500万円超、役員で150万円超、弁護士などで250万円超が一つの目安で、期限は支払確定年の翌年1月31日です。令和9年1月1日以後(令和8年分以後)に市区町村へ給与支払報告書を提出した場合、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署提出用の作成・提出は不要になります。交付は引き続き全員に必要です。
手続きの概要:2つの書類の違い
同じ給与データから作りますが、提出先と目的が異なります。源泉徴収票は国税の法定調書として所轄税務署へ、給与支払報告書は地方税(住民税)の課税資料として市区町村へ提出します。従来は両方を別々に作る必要がありましたが、令和9年からは市区町村への1回の提出で両方を満たす「みなし提出」ができます。
| 項目 | 源泉徴収票 | 給与支払報告書 |
|---|---|---|
| 提出先 | 所轄税務署(国税) | 受給者の翌年1月1日住所地の市区町村(地方税) |
| 目的 | 所得税の法定調書 | 住民税の課税資料 |
| 令和9年1月1日以後 | 市区町村提出でみなし提出(作成・提出不要) | eLTAX等で提出すれば税務署提出とみなし |
| 受給者への交付 | 全員に翌年1月31日まで(中途退職は退職後1か月以内)に交付 | — |
令和8年12月31日までの提出範囲(現行:令和7年分)
国税庁のタックスアンサーNo.7411と手引き(令和8年4月1日現在)では、次の人が税務署提出の範囲とされています。支払金額はその年中の給与等の総額で判定します。
| 区分 | 条件 | 提出範囲 |
|---|---|---|
| 年末調整をした人 | 法人の役員(相談役・顧問含む) | 150万円超 |
| 弁護士・司法書士・税理士等に給与として支払 | 250万円超 | |
| 上記以外の一般従業員 | 500万円超 | |
| 年末調整をしなかった人 | 扶養控除等申告書を提出、年の中途退職・災害猶予 | 250万円超(役員は50万円超) |
| 主たる給与が2,000万円超で年末調整せず | 全員 | |
| 扶養控除等申告書を提出しなかった人(乙・丙欄) | 50万円超 |
令和9年1月1日以後:みなし提出で税務署提出が不要になる条件
令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票(令和8年分以後)について、市区町村に給与支払報告書を提出すれば税務署提出とみなされます。国税庁の特設ページでは、eLTAXでの提出が推奨され、マイナポータル連携の対象になると案内されています。なお、令和8年12月31日以前の提出範囲とは異なり、令和9年以後の給与支払報告書の提出範囲は「年の中途で退職した人で30万円以下の給与を除く全員」となり、税務署提出範囲と同一になります。
みなし提出の要件
- 対象:令和9年1月1日以後に提出すべき令和8年分以後の給与所得の源泉徴収票・公的年金等の源泉徴収票
- 手続き:給与支払報告書(または公的年金等支払報告書)を市区町村へ提出する
- 効果:税務署提出用の源泉徴収票の作成・提出が不要(合計表への計上も不要)
- 交付:受給者への交付は従来どおり全員に必要(翌年1月31日まで、中途退職は退職後1か月以内)
提出期限と提出先・作成枚数
期限と提出先は国税庁の手続き案内で次のとおり統一されています。
期限と提出先
- 期限:支払確定年の翌年1月31日まで(例:令和7年1月〜12月支払分は令和8年1月31日)
- 税務署提出(現行):給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表とともに所轄税務署へ
- 市区町村提出:給与支払報告書を翌年1月1日現在の住所地の市区町村へ(中途退職者は退職時の住所地)
- 提出方法:eLTAX、光ディスク等、書面のいずれか。令和9年以後はeLTAXが推奨され、マイナポータル連携で受給者の利便性が向上します
受給者へ交付する源泉徴収票は、提出範囲にかかわらず全員に交付します。マイナンバーや法人番号は税務署提出用にだけ記載し、交付用には記載しません。電磁的方法で交付する場合は、事前に受給者の承諾が必要です。
手続きの手順:事業者が今やること
支払金額を確認し、提出範囲に該当する人を洗い出す。年末調整の有無、役員・弁護士等の区分、退職の有無で判定します。
受給者全員に源泉徴収票を交付する。中途退職者には退職後1か月以内、その他は翌年1月31日までに交付します。
令和7年分(令和8年1月31日提出)は従来どおり、該当者の源泉徴収票を合計表とともに所轄税務署へ、給与支払報告書を市区町村へそれぞれ提出します。
令和8年分(令和9年1月31日提出)からは、給与支払報告書をeLTAX等で市区町村へ提出すれば、税務署提出は不要です。交付は継続します。令和8年9月までにeLTAXの一元化機能の終了を踏まえ、提出フローを切り替えます。
よくある誤解と注意点
その他の注意点
- 給与支払報告書の提出先を誤らない:翌年1月1日住所地の市区町村(中途退職は退職時住所地)です
- 法定調書の提出枚数が30枚以上の事業者は、e-Tax・光ディスク等または認定クラウドでの提出義務があります
- 非居住者に国内で支払った給与は、源泉徴収票ではなく「非居住者に支払われる給与等の支払調書」(年50万円以下は提出不要)を提出します
- eLTAXで提出した給与支払報告書は、令和9年以後マイナポータル連携で受給者が確定申告で活用できます
よくある質問
年収400万円の一般従業員は、税務署へ源泉徴収票を提出する必要がありますか?
令和7年分(令和8年1月31日提出)の現行基準では、年末調整済みの一般従業員で500万円以下の場合は税務署提出の範囲外です。ただし、市区町村への給与支払報告書は、30万円超の中途退職者を除き翌年1月1日在籍者全員が提出範囲です。令和8年分(令和9年1月31日提出)以後は、給与支払報告書を市区町村へ提出すれば税務署提出とみなされます。
令和9年からは税務署に何も提出しなくてよいですか?
給与所得・公的年金等の源泉徴収票に限って、市区町村へ給与支払報告書・公的年金等支払報告書を提出すれば、税務署提出とみなされ作成・提出が不要になります。法定調書合計表への計上も不要です。ただし、報酬等の支払調書など他の法定調書や、受給者への交付義務は従来どおり必要です。
eLTAXとe-Taxのどちらで提出しますか?
給与支払報告書は地方税なのでeLTAX(地方税ポータルシステム)で市区町村へ提出します。源泉徴収票等の国税の法定調書を税務署へ提出する場合はe-Taxですが、令和9年からはみなし提出によりeLTAXでの市区町村提出だけで足ります。eLTAXでの一元化機能は令和8年9月で終了するため、以降は市区町村提出に一本化してください。
公式情報と確認日
本記事は2026年8月28日時点の国税庁の公式情報で確認しています。制度は令和9年1月1日以後の提出分から変わるため、令和7年分と令和8年分で手続きが異なります。最新の手引きと特設ページで提出年の区分をご確認ください。全国共通の国税・地方税の原則を解説しており、個別の税務相談は所轄税務署または市区町村へお問い合わせください。