扶養控除等申告書を出し忘れると、その月の給与は乙欄で源泉徴収され税額が多くなります。申告書を勤務先へ提出すれば翌給与から甲欄に切り替わり、多く徴収された分は年末調整で精算されます。月額表・日額表・賞与の判定とあわせて手続きを整理します。

手続きの概要

給与から差し引く源泉徴収税額は、国税庁が毎年公表する「給与所得の源泉徴収税額表」で求めます。表には月額表・日額表・賞与の算出率の表があり、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているかで甲欄と乙欄を使い分けます。提出がある人は甲欄、ない人は乙欄です。日雇賃金は丙欄を使います。

対象者

次のいずれかに当てはまる方が対象です。

  • 中途入社や転職後に扶養控除等申告書を出し忘れた方
  • 2か所以上から給与を受け、主たる給与以外で乙欄適用となった方
  • 給与担当者として甲欄・乙欄の判定を誤ったか確認したい方

提出期限と提出先

国税庁の手続案内では、扶養控除等申告書は「その年最初に給与の支払を受ける日の前日」までに勤務先へ提出します。中途就職の場合は「就職後最初の給与の支払を受ける日の前日」までです。記載内容に異動があったときは、異動日後最初に給与を受ける日の前日までに異動内容を記載した申告書を提出します。

提出先と保管のルール

  • 提出先は勤務先(給与支払者)です。直接税務署へ送る必要はありません。
  • 勤務先は税務署長・市区町村長から特に求められた場合を除き、税務署へ提出せず保管します。
  • この申告書を提出しないと、月々・日々の源泉徴収で諸控除が受けられず、年末調整も行われません。

甲欄・乙欄・丙欄の使い分け

国税庁 No.2511 では、月額表・日額表のいずれも「申告書あり=甲欄」「申告書なし=乙欄」と定めています。甲欄は扶養親族等の数(令和8年分からは源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計数、一定の加算あり)で税額が段階的に低くなります。乙欄は扶養人数にかかわらず税額が高く設定されています。

月額表・日額表と賞与の判定
支払形態使う表申告書あり申告書なし
月・半月・旬・月の整数倍ごとに支払う給与月額表甲欄乙欄
毎日・週ごと・日割で支払う給与(日雇除く)日額表甲欄乙欄
日々雇い入れられる人の日雇賃金(2か月超の継続雇用は除く)日額表—丙欄
賞与(前月中に給与の支払がない場合等を除く)賞与の算出率の表扶養人数で率が変わる扶養人数で率が変わる+乙欄相当の高率になりやすい

税額表に当てはめる金額は、社会保険料等を控除した後の給与等の金額です。パート・アルバイトでも雇用契約があらかじめ2か月以内なら丙欄を使いますが、1か所から継続して2か月を超えて支払われた場合は丙欄に含まれません。

出し忘れに気づいたときの切り替え手順

扶養控除等申告書を勤務先へ提出する。異動があれば「異動」欄に異動日と事由を記入します。

勤務先が受理した翌給与から甲欄へ切り替える。遡って当月以前の給与を乙欄から甲欄へ再計算する必要はなく、以後の給与から甲欄で計算します。

既に乙欄で多く徴収された分は年末調整で精算する。年内に勤務先で年末調整できる場合は、年末調整で多く徴収された税額が還付されます。

年内に退職して年末調整できない場合や、年末調整で精算しきれなかった場合は、翌年の確定申告で所得税を精算します。2か所以上から給与を受ける方は、確定申告で合算して最終的な税額を確定します。

年末調整・確定申告での精算

精算の分かれ目

  • 12月31日時点で在籍し申告書を提出済み:勤務先の年末調整で乙欄適用期間の過徴収分を含めて年税額を精算
  • 年内に退職し年末調整できない:翌年2月16日~3月15日の確定申告で精算(還付申告は1月から提出可)
  • 丙欄で支払われた日雇賃金:年末調整の対象外。確定申告で精算が必要な場合があります。

よくある質問

扶養控除等申告書を出し忘れ、乙欄で引かれた税金は戻ってきますか?

はい、戻ります。年内に勤務先で年末調整を受ければ、乙欄で多く徴収された分を含めて年間の税額が再計算され、還付されます。退職などで年末調整できない場合は確定申告で還付を受けてください。

2か所以上から給与をもらっています。両方に扶養控除等申告書を出せますか?

いいえ、いずれか一の勤務先にのみ提出できます。主たる給与の勤務先に提出して甲欄、従たる給与の勤務先は乙欄で計算するのが原則です。重複して提出すると税額計算が誤ります。

日給・時間給のアルバイトは丙欄ですか?

雇用契約があらかじめ2か月以内の日雇いであれば丙欄です。同一の勤務先から継続して2か月を超えて給与が支払われる場合は、日雇賃金に該当せず甲欄または乙欄(申告書の有無で判定)を使います。詳細はコード2514も参照してください。

注意点

手続き上の注意

  • 扶養親族等の数は、源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計数で数えます。障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生や同居特別障害者がいる場合は加算があります。
  • 令和8年分は令和7年度税制改正で基礎控除の見直し等があり、甲欄の扶養親族等の数の算定方法が変わっています。最新の税額表を確認してください。
  • 賞与は原則「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使いますが、前月中に給与の支払がない場合や賞与が前月給与の10倍超の場合は月額表を使います。

関連手続き

あわせて確認したい手続き

  • 源泉徴収票が届かない・会社が発行しないときは「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署へ提出する手続きもあります。
  • 副業分の確定申告が必要な方は、年末調整後に確定申告で合算してください。