源泉所得税の納期の特例で、1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日が納付期限です。期限を1日でも過ぎると法定納期限の翌日から延滞税が自動計算され、さらに不納付加算税の対象になります。土日祝や土曜日に当たる場合は翌平日が期限、対象は給与・退職手当・税理士等の報酬に限ります。まずは金額を確定し、e-Taxまたは金融機関で直ちに納付してください。
納期の特例の期限と対象を30秒で確認
納期の特例は、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者が、事前に税務署へ承認申請を行い承認(またはみなし承認)を受けた場合に、毎月の納付を年2回にまとめられる制度です。国税庁No.2505で確認しています。
| 区分 | 納付期限 | 備考 |
|---|---|---|
| 原則(特例なし) | 給与などを支払った月の翌月10日 | 毎月納付 |
| 納期の特例 1〜6月分 | 7月10日 | 土日祝・土曜なら翌平日 |
| 納期の特例 7〜12月分 | 翌年1月20日 | 土日祝・土曜なら翌平日 |
対象になる税目は限られます
特例でまとめられるのは、給与や退職金から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税と、税理士・弁護士・司法書士など一定の報酬から源泉徴収した分に限ります。原稿料・講演料・非居住者への支払など、給与・退職・税理士報酬等以外から徴収した分は対象外で、従来どおり支払月の翌月10日が期限です。対象外を7月10日にまとめて納めると、それ自体が期限遅れになります。
7月10日・1月20日を過ぎたときに起きること
期限後に起きるペナルティは主に2つです。いずれも法定納期限の翌日から計算され、税務署からの通知を待たずに自主的に納付しても延滞税はかかります。
期限後にかかる主なペナルティ
- 延滞税:法定納期限の翌日から納付日までの日数で自動計算。令和8年1月1日〜12月31日は2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎた日以降は年9.1%(国税庁No.9205)。本税のみが対象で加算税にはかかりません。
- 不納付加算税:源泉徴収した所得税を法定納期限までに完納しなかったときに課されます。原則は10%、税務調査等の通知を受ける前に自主的に納付したときは5%に軽減される場合があります。正当な理由があると認められるときは課されないことがあります。詳細は国税通則法第67条および事務運営指針をご確認ください。
- 督促・滞納処分:納付がないまま放置すると税務署から督促状が送付され、なお納付されないときは財産の差押え等の滞納処分を受ける場合があります。
すぐにやることチェックリスト(期限後1〜3日以内)
直ちに確認する項目
手順1:金額と期限を確定する
支払月の区分と本税額を確定します。納期特例の承認を受けているか、1〜6月分か7〜12月分か、対象税目かを切り分け、源泉徴収簿や給与台帳から本税額を集計します。休日順延で翌平日が期限だった場合は、その日が法定納期限です。
手順2:納付方法を選ぶ
最も早い方法で納付します。e-Taxのダイレクト納付やインターネットバンキングなら即時納付が可能です。金融機関窓口では納付書が必要です。税務署の開庁時間は8時30分〜17時ですが、閉庁日でも郵送または時間外収受箱への投函で提出扱いになります。e-Taxの利用可能時間はe-Taxホームページでご確認ください。
手順3:徴収高計算書を作成して納付する
徴収高計算書(納期の特例分)に支払年月、人員、支給額、税額を記入して納付します。e-Taxなら作成と納付を同時にできます。7月10日分と1月20日分は、納期特例用の計算書を使用します。誤って一般分(毎月納付用)で納めると集計がずれるため注意します。
手順4:不納付加算税と延滞税を確認する
本税を納付した後に、税務署から不納付加算税と延滞税の納税告知(決定通知)が届きます。自主的に早く納めた場合は不納付加算税が5%に軽減される場合がありますが、自己判断で差し引かず告知どおりに納付します。正当な理由がある場合は、事実を証明する資料とともに所轄税務署へご相談ください。
よくある失敗と対処
失敗例と正しい対処
- 7月10日が日曜だったので7月11日に納めた→ その年は翌平日が法定納期限のため延滞税の対象外です。カレンダーで毎年確認します。
- 原稿料の源泉分も7月10日にまとめていた→ 原稿料は対象外のため支払月の翌月10日が期限でした。区分を分けて翌月10日に納付し直します。
- 承認申請を出した翌月にすぐ特例を使った→ 申請月の翌月末日までに却下通知がなければ翌月末日に承認とみなされ、翌々月分から適用です。2月申請なら3月支給分は翌月10日、4月以降が特例対象です。
- 常時10人以上になったのに届出を忘れた→ 要件に該当しなくなった旨の届出書を所轄税務署へ提出し、提出日の属する期間から毎月納付へ戻ります。届出を放置すると期限を誤ります。
提出先と相談窓口
提出先は給与支払事務所等の所在地を所轄する税務署です。e-Taxでも申請・届出・納付ができます。国税に関する一般的な相談は電話相談センターをご利用ください。納期限までに納付できない事情があるときは、換価の猶予や納税の猶予が認められる場合がありますので、早めに所轄税務署の徴収担当へご相談ください。
1日過ぎただけでも不納付加算税は必ず10%かかりますか?
原則は10%ですが、税務調査等の通知を受ける前に自主的に納付したときは5%に軽減される場合があります。また、災害や金融機関の事務処理誤りなど、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由がない正当な理由があると認められるときは、不納付加算税が課されないことがあります。事務運営指針をご確認のうえ、事実関係を証明できる資料を添えてご相談ください。
7月10日が土日祝のとき、翌平日まで待っても延滞税はかかりませんか?
はい、納付期限が土曜日、日曜日、祝日に当たる場合は翌平日が法定納期限となるため、その日までに納付すれば期限内扱いです。ただし、対象外の税目を誤ってまとめていると、翌月10日が期限のため遅れになります。区分を再確認してください。
対象外の報酬(例:原稿料)もまとめて7月10日に納めてしまいました。どうすればよいですか?
対象外は支払月の翌月10日が本来の期限です。不足や遅れがあれば、直ちに正しい法定納期限で納付し直し、延滞税等の計算対象になるかをご確認ください。今後は給与・退職・税理士等報酬とそれ以外を分けて集計します。
納付書が手元にありません。e-Taxで納められますか?
はい、e-Taxのダイレクト納付やインターネットバンキングで納付できます。e-Taxソフト(WEB版)またはe-Taxソフトで徴収高計算書を作成し、納付まで行えます。初めてe-Taxを利用する場合は利用者識別番号の取得が必要です。