結論:源泉徴収票が交付期限(中途退職は退職後1か月、通常は翌年1月31日)を過ぎても会社が発行・再発行してくれないときは、納税地を所轄する税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。既に一度交付を受けた分の再発行はこの手続の対象外のため、まずは会社へ直接再発行を依頼し、届出後は税務署の行政指導を待ちつつ給与明細などの代替資料で確定申告を進められます。

源泉徴収票の交付義務と期限はいつまで

給与所得の源泉徴収票は、所得税法第226条により、給与等の支払者はすべての受給者へ交付する義務があります。税務署へ提出する範囲(500万円超など)とは別に、受給者への交付は金額に関わらず全員が対象です。受給者へ交付する源泉徴収票にはマイナンバーを記載しません。

交付期限の目安

  • 中途退職した方:退職の日以後1か月以内
  • 年末調整をした方・しなかった方を含む通常分:翌年1月31日まで
  • 市区町村への給与支払報告書も同期限(翌年1月31日)までに受給者の住所地の市区町村へ提出

不交付の届出書を出す前に確認する4つのチェック

国税庁が公開する「提出される前に、ご確認ください」では、次の順で自己チェックします。1つでも「いいえ」なら届出ではなく会社への確認や再発行依頼が先です。

4つのチェック(すべて「はい」なら届出へ)

  1. 勤務先から支給されたのは雇用契約に基づく給与ですか(請負報酬などは対象外)
  2. 給与所得の源泉徴収票の交付期限を経過していますか(中途退職1か月・通常翌年1月31日)
  3. 一度交付を受けた源泉徴収票の再発行を求める手続ではありませんか(再発行は会社へ直接依頼)
  4. これまでに勤務先へ源泉徴収票の交付を求めていますか

交付を求めた記録は、後の添付書類として重要です。面接・電話・文書いずれでも構いませんが、次の5点をメモに残します。いつ(日時)、どこで(場所)、誰に(応対者)、どのような方法(面接・電話等)、どのようなやり取り(相手の回答)を記録しておきます。

源泉徴収票不交付の届出書の書き方と提出方法

提出先は納税地等を所轄する税務署長です。住所地の税務署が分からないときは国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」で確認します。提出時期は交付期限経過後、随時可能です。

最新様式を入手します。国税庁F5-4ページの「源泉徴収票不交付の届出書(PDF)」と記載例を使用します。令和8年8月に税務署提出用の書面様式が変わっているため、必ず最新版を使います。

届出書を作成します。支払者(会社)の名称・所在地、受給者の氏名・住所・生年月日、在職期間、交付を求めた経緯、源泉徴収票の不交付を国税当局に申し入れたことについて事業主に氏名を告知して差し支えないかの欄にレ印を付けます。

添付書類を準備します。給与支払明細書が保存されていれば写しを添付し、勤務先へ交付を求めたことが分かる書類(上記5点を記録したメモ、メールの写しなど)を添えます。

提出します。e-Taxソフトで作成してe-Taxで送信するか、書面で作成して税務署へ持参・郵送・時間外収受箱へ投函します。e-Taxの利用可能時間はe-Taxホームページで、税務署の開庁時間は8時30分から17時(土日祝は閉庁、送付・投函は可)です。

提出を受けた税務署は、支払者へ源泉徴収票を交付するよう行政指導します。ただし行政指導に法律上の拘束力はなく、相手の自主的協力を前提とするため、必ず交付される保証はありません。届出後もご自身で会社へ継続して交付を求めてください。

源泉徴収票がないまま確定申告や転職先へ提出する方法

平成31年4月以降、確定申告書への源泉徴収票の添付は不要になりましたが、支払金額・源泉徴収税額・控除額を正しく申告する義務は変わりません。源泉徴収票が手元になくても、代替資料から集計して申告書を作成できます。

代替資料の例

  • 給与支払明細書(毎月の明細の年間集計)
  • 賃金台帳の写し(会社に開示を求められる場合)
  • 銀行口座への振込履歴・通帳

マイナポータル連携で源泉徴収票情報を自動入力できる場合もあります。令和6年2月から、会社がe-Taxまたは認定クラウド等で税務署へ源泉徴収票を提出し、氏名(カナ含む)・住所・生年月日・マイナンバーが正しく入力されていると、確定申告書等作成コーナーでマイナンバーカードを使って情報を取得できます。

マイナポータル連携の対象外となる主な場合

  • 会社が税務署へ源泉徴収票を提出していない(30万円以下などで提出基準外のまま任意提出もしていない)
  • 会社が書面や光ディスク等で提出しており、e-Tax等で提出していない
  • 提出された源泉徴収票の氏名・住所・生年月日・マイナンバーに漏れや誤りがある

転職先の年末調整で前職分の源泉徴収票が必要なときは、新勤務先へ「前職が交付してくれず税務署へ不交付届を提出済み」である旨を説明し、交付され次第提出する旨を相談します。

よくある質問

既に一度もらった源泉徴収票を紛失した場合も不交付の届出書を出せますか?

出せません。F5-4の手続は一度も交付されていない場合が対象で、既交付分の紛失・再発行は対象外です。会社へ直接再発行を依頼してください。会社が倒産等で連絡が取れないときは、税務署の相談窓口へ個別にご相談ください。

税務署に届出書を出せば必ず源泉徴収票をもらえますか?

必ずもらえる保証はありません。税務署は支払者へ交付するよう行政指導しますが、法的強制力はなく相手の自主的協力を前提としています。届出後もご自身で会社へ交付を求め続けることが大切です。

源泉徴収票がなくても確定申告はできますか?マイナポータル連携は使えますか?

できます。給与明細などを基に年間の支払金額と源泉徴収税額を集計して申告書を作成します。マイナポータル連携は、会社がe-Tax等で源泉徴収票を税務署へ提出し、氏名等が正確に入力されている場合に自動入力できます。書面提出や記載不備では連携対象外となるため、会社へ提出方法を確認してください。

まとめ:次の行動チェックリスト

今日から進める手順

交付期限を過ぎても源泉徴収票が届かないときは、泣き寝入りせず記録を残して税務署へ届け出ることで行政指導につなげられます。まずは会社への請求と記録、次に税務署への届出、そして確定申告の代替準備の順に進めます。手続や記載で迷うときは、国税庁「国税に関するご相談について」や所轄税務署の電話相談センターへご相談ください。