繰下げ待機中はいつでもやめられます。66歳以後に年金事務所へ繰下げ申出をするか、さかのぼって本来の年金で請求するかを選びます。請求時点の増額率が一生続きます。

待機中と請求後の違い

繰下げ待機とは、65歳で受給権が発生した後に請求をせずに待っている状態です。この間はいつでも年金事務所へ請求できます。一方、一度繰下げ申出をして増額が決まると、その増額率は一生変わりません。手続きをする時期で増額率が決まるため、体調や就労、遺族年金の発生などで考えが変わったときは、請求前に2つの選び方を比べてください。2026年9月4日時点の日本年金機構と厚生労働省の公式情報で確認しています。

66歳以後の2つの選び方

66歳から69歳で請求するときは、次の2つから選びます。

66歳から69歳の選択肢
選択内容支給の始まり
繰下げ申出をする申出時点の増額率で増額した年金を受け取る申出月の翌月分から
繰下げ申出をしない(本来受給)65歳にさかのぼって本来額を一括で受け取り、以後は本来額65歳到達月の翌月分から一括、以後は本来額

70歳から74歳で請求するときも基本は同じですが、本来受給を選ぶと請求の5年前に繰下げ申出があったものとみなして増額した額が一括で支払われます。これを特例的な繰下げみなし増額制度といいます。80歳以後に請求するときは、繰下げ申出をする方が必ず有利になる点にご注意ください。請求した時点から5年以上前の分は時効で受け取れなくなります。

増額率と上限年齢

増額率は0.7パーセントかける65歳からの繰下げ月数で計算します。請求する時期が1か月遅れるごとに増えます。

増額率の目安
請求時の年齢増額率
66歳8.4パーセント
67歳16.8パーセント
68歳25.2パーセント
69歳33.6パーセント
70歳42.0パーセント
75歳84.0パーセント(上限)

66歳以後75歳までの間で繰下げできます。昭和27年4月1日以前生まれの方などは上限が70歳までで、増額率は最大42パーセントです。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げることができます。特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度がありません。65歳以後の在職で支給停止された部分は増額の対象になりません。

途中でやめる前に確認する注意点

65歳から66歳の前日までに障害や遺族の給付を受ける権利があるときは繰下げ申出ができません。66歳以後の待機中に遺族年金などの権利を得たときは、その時点で増額率が固定され、請求を遅らせても増額率は増えません。

日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金を受けられるときは、原則すべての老齢厚生年金について同時に繰下げ請求が必要です。加給年金額や振替加算額は増額の対象にならず、待機中は受け取れません。繰下げ請求は遺族が代わって行うことはできません。待機中に亡くなったときは65歳時点の額で未支給年金として支払われますが、請求時点から5年以上前の分は時効です。増額分は遺族厚生年金に反映されません。増額で医療・介護の自己負担や保険料、税金が増える場合があります。

手順1:今の状態を確認する

ねんきん定期便やねんきんネットで受給権の発生時期、特別支給の有無、共済期間の有無、障害・遺族の受給権の有無を確認します。特別支給のみの方は繰下げ対象外のため早めの請求が必要です。

手順2:2つの受取方法を比べる

繰下げ申出の増額見込と、さかのぼり本来受給の一括額を比べます。70歳以後は5年前みなし増額の有無、75歳以後は75歳時点の額で固定される点、80歳以後は申出が有利になる点を踏まえて選びます。

手順3:必要書類を用意して年金事務所へ提出する

初めて請求する方は年金請求書様式第101号、繰下げ申出書様式第103-1号、老齢年金の受取方法確認書が必要です。既に老齢年金を受給中・受給歴がある方は様式第235-1号と受取方法確認書を使います。添付書類は65歳時の手続き案内で確認します。提出先はお近くの年金事務所または街角の年金相談センターです。手続き時点で増額率が決まります。

繰下げ待機をやめるときのチェックリスト

繰下げ待機を途中でやめることはできますか

できます。待機中は66歳以後に繰下げ申出をするか、さかのぼって本来の年金で請求するかを選べます。一度繰下げ申出をして増額が決まると増額率は一生変わりません。

70歳を過ぎてからさかのぼって請求するとどうなりますか

70歳から74歳で本来受給を選ぶと、請求の5年前に繰下げ申出があったものとみなして増額した額が一括で支払われます。80歳以後は申出をする方が有利になります。請求時点から5年以上前の分は時効で受け取れません。

遺族年金があると繰下げできませんか

65歳から66歳の前日までに障害や遺族の権利があると申出ができません。待機中に遺族年金などの権利を得ると増額率が固定されます。令和7年改正で令和10年4月からの緩和が予定されていますが、施行前のため個別に年金事務所へご確認ください。

日本年金機構 66歳以後の繰下げ手続き案内日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき(更新日2026年6月15日)で提出先と請求書様式を確認しました。