脱退一時金は、日本国籍のない方が日本を出国し、日本に住所がなくなった日から2年以内に請求します。国民年金または厚生年金の加入が通算6か月以上あり、老齢年金の受給資格がなく、年金を受ける権利がないことが条件です。請求書とパスポートの写しなど5点前後を揃え、日本年金機構本部または最後の共済組合等へ郵送または電子申請で提出します。

対象者と支給要件の確認

まず、次の支給要件をすべて満たすか確認します。全国共通の原則です。

国民年金と厚生年金に共通する主な支給要件は次のとおりです。

  • 日本国籍を有していない
  • 公的年金制度の被保険者でない
  • 国民年金は保険料納付済期間等の合計が6か月以上、厚生年金は加入期間の合計が6か月以上ある
  • 老齢年金の受給資格期間10年を満たしていない
  • 障害基礎年金や障害厚生年金などの年金を受ける権利を有したことがない
  • 日本国内に住所を有していない
  • 最後に被保険者資格を喪失した日から2年を経過していない

必要書類のチェック

請求に必要な書類等
書類確認内容注意点
脱退一時金請求書14言語の日英併記様式から選択日本年金機構の手続きページから入手、ねんきんダイヤルで郵送請求も可
パスポートの写し氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格の確認本人請求の確認に用います
住所を有しないことの確認書類住民票の除票の写しや出国日が分かる旅券の写し等帰国前に転出届を出した場合は原則不要です
受取口座の確認書類金融機関名・支店名・所在地・口座番号・本人名義の確認ゆうちょ銀行と一部ネット専業銀行では受け取れません
基礎年金番号の確認書類基礎年金番号通知書や年金手帳等の写し加入期間の確認に用います

提出先の分岐を確認する

加入していた制度により提出先が異なります。

  • 国民年金または厚生年金の期間のみの方は日本年金機構本部へ提出します
  • 共済組合等の期間があり、国民年金の納付済期間等が6か月未満で国民年金の脱退一時金が出ない方は、最後に加入した実施機関へ提出します
  • 国民年金の納付済期間等が6か月以上あり国民年金の脱退一時金が出る方は日本年金機構へ提出します

手順1:転出届と出国を確認する

帰国前に市区町村へ転出届を提出し、住民票を消除します。転出届済みであれば住所なし確認書類の提出が原則不要になります。出国日が分かる旅券の写しは保管します。

手順2:請求書と添付書類を揃える

脱退一時金請求書にパスポート表記どおりアルファベット大文字で記入し、上表の添付書類を揃えます。口座確認書類は本人名義か、金融機関の証明書等で確認できるものを用意します。

手順3:提出先へ郵送または電子申請する

本人または代理人が日本年金機構本部または該当の共済組合等へ提出します。提出方法は郵送または電子申請です。電子申請はe-Govの手続検索で電子申請用送付書と検索し、届書名称で脱退一時金請求書を選び、PDFまたはJPEGを添付します。

手順4:支給と税の手続きを確認する

支給決定後に指定口座へ振り込まれます。厚生年金の脱退一時金には所得税と復興特別所得税20.42パーセントが源泉徴収され、原則は源泉分離で完結します。還付を受けたい場合は退職所得の選択課税の申告書を翌年1月1日以後に税務署へ提出します。

電子申請と窓口の注意点

電子申請では請求書の電子添付が必要です。旅行など就労以外の目的で来日した場合に限り、年金事務所または街角の年金相談センターの窓口提出が案内されています。通常の就労後の帰国は郵送または電子申請で対応します。

支給額の目安

国民年金の令和8年度の支給額は、最後に保険料を納付した月が令和8年4月から令和9年3月の場合、次のとおりです。2021年4月以降に納付済期間がある方は60月が上限です。

国民年金の支給額の例
納付済期間等の合計計算に用いる数支給額
6月以上12月未満653760円
12月以上18月未満12107520円
18月以上24月未満18161280円
24月以上30月未満24215040円
30月以上36月未満30268800円
36月以上42月未満36322560円
42月以上48月未満42376320円
48月以上54月未満48430080円
54月以上60月未満54483840円
60月以上60537600円

厚生年金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を掛けて計算します。最終月が2021年4月以降の支給率は期間区分で定められています。最終月が2021年3月以前は36月が上限です。

税金は20.42パーセント源泉徴収と選択課税

非居住者が国内源泉の退職手当等として脱退一時金の支払を受ける場合、その金額の20.42パーセントの所得税と復興特別所得税が源泉徴収され、原則は源泉分離で課税が完結します。居住者として受けたものとみなした税額で課税される選択をしたい場合は、退職所得の選択課税の申告書を納税地の税務署へ提出します。

税の手続きで押さえる点は次のとおりです。

  • 対象は厚生年金の脱退一時金の源泉分が中心です
  • 選択課税の申告書はその年の翌年1月1日以後に提出します
  • 納税管理人を定めて税務署へ届ける扱いが案内されています

請求できない主な場合

次のいずれかに当てはまる場合は支給されません。

  • 日本国籍がある
  • 6か月以上の加入期間がない
  • 老齢年金の受給資格期間10年を満たしている
  • 障害年金などの受給権がある
  • 日本に住所があるままである
  • 住所がなくなった日から2年を過ぎている

問合せ先

請求書の入手や提出先の確認は、日本年金機構本部、年金事務所または街角の年金相談センター、市区町村、自治体の国際化協会、ねんきんダイヤルへの電話相談が案内されています。共済期間がある方は最後の実施機関の案内も確認します。個別事情によって判断が異なるため、管轄窓口へご確認ください。

よくある質問

2年はいつから数えますか

住所がなくなった日から2年以内です。資格喪失日に住所があった場合は、その後に初めて住所がなくなった日から数えます。転出日の翌日が起算になる案内です。

ゆうちょ銀行で受け取れますか

受け取れません。日本年金機構の手続き案内で、ゆうちょ銀行と一部インターネット専業銀行では受け取れないとされています。国内の本人名義口座でカタカナ登録が必要な金融機関を選びます。

共済組合の期間がある場合はどこへ出しますか

共済組合等の期間がある場合は合算して一つの実施機関が取りまとめて支給します。国民年金の納付済期間等が6か月未満か以上かと、最後の加入先で提出先が分かれます。請求前に加入履歴を確認します。

まとめ

出国前に転出届を出し、出国後は住所喪失日から2年以内に請求書と5点前後の添付書類を日本年金機構等へ提出します。提出先は共済期間の有無で分岐し、受取口座はゆうちょ不可に注意します。厚生年金分は20.42パーセント源泉後の選択課税も確認します。当サイトの内容は参考情報です。具体的な手続き・条件は、管轄する行政機関などの最新案内をご確認ください。