出産手当金支給申請書を書き間違えたら、その箇所を二重線で丁寧に抹消し、直近に正しい内容を黒ボールペンで書き直して提出します。修正液や修正テープは使えません。誰の記入欄を直すかで訂正の責任者が変わり、加入先が協会けんぽか健康保険組合かで訂正印・サインの要否が異なります。

手続きの概要

出産手当金は健康保険の被保険者が出産のため労務に服さなかった期間に支給される給付です。支給申請書は被保険者・医師・助産師・事業主の3者で分担して記入します。記入ミスは訂正して提出できますが、訂正方法を誤ると返戻(差し戻し)になり支給が遅れます。協会けんぽでは電子申請も可能で、紙で出す場合は支部へ郵送します。健康保険組合では組合の案内に従い郵送または窓口で提出します。

対象者

このページの対象者

  • 健康保険の被保険者で出産手当金支給申請書を作成中の方
  • 申請書の記入を誤り、訂正して再提出したい方
  • 事業主の労務担当者(事業主証明欄を訂正する場合)
  • 産科医療機関の担当者(医師・助産師証明欄を訂正する場合)

訂正の基本ルール(全国共通)

全国共通の訂正ルール

  • 黒ボールペンなど消えない筆記具で記入します。鉛筆や消せるボールペンは不可です。
  • 誤った箇所に二重線を引き、その近くに正しい内容を記入します。二重線は定規で丁寧に引きます。
  • 修正液・修正テープ、砂消しゴム、上から貼るシールなどは使えません。
  • 訂正は誤記1か所ごとに二重線で行い、欄外に大きく書き直す場合も同様に二重線が原則です。
  • 提出前にコピーを取り、訂正箇所が読み取れるか確認します。

誰の欄を誰が訂正するか:記入者別の責任

出産手当金支給申請書は1枚の中で記入責任者が分かれています。訂正は「その欄を本来記入すべき人」が行うのが原則です。

記入者別 訂正責任表
記入欄本来の記入者訂正する人訂正方法の目安
被保険者記入欄(1〜2ページ目の本人欄)被保険者本人被保険者本人二重線+正しい内容(協会けんぽは原則これのみ/組合けんぽはサインまたは押印を併記する場合あり)
医師・助産師証明欄医師または助産師証明した医師・助産師本人二重線+正しい内容+医師・助産師のサインまたは押印
事業主証明欄事業主(事業所)事業主または事業所の証明責任者二重線+正しい内容+事業主のサインまたは押印
振込先口座欄被保険者本人被保険者本人二重線+正しい口座情報

他人が記入した欄を被保険者が勝手に直すことはできません。医師欄を誤った場合は必ず医療機関に、事業主欄を誤った場合は事業所に訂正を依頼します。

保険者で違う「訂正印・サイン」の要否

訂正印・サインが必要かは加入先で異なります。お手元の申請書の注意書きを最優先に確認します。

保険者別 訂正印・サインの扱い
加入先訂正印・サインの要否根拠となる公式記載の例
全国健康保険協会(協会けんぽ)被保険者欄の訂正は二重線のみで足りる運用。押印欄自体が令和2年9月から原則廃止のため、二重線+正記入が基本。宮城・山梨支部の記入の注意点PDF:『ご記入事項を訂正される場合、訂正箇所を二重線で抹消し、正しい内容をご記入ください』と記載し、訂正印への言及なし
健康保険組合(組合けんぽ)例:東京都電機健康保険組合など被保険者欄も含め、訂正箇所に訂正者のサインまたは押印を求める組合がある。事業主欄・医師欄も同様。東京都電機健保の申請書PDF:『記載内容を訂正した場合は訂正箇所に被保険者(申請者)のサインまたは押印をお願いします。事業主・医師欄も各々のサインまたは押印』と明記

手順:書き間違いを直して提出するまで

訂正箇所と記入者を特定する

どのページのどの欄を誰が書いたかを資料と照合します。被保険者欄・医師欄・事業主欄を取り違えると再返戻の原因になります。

二重線で抹消し正しく書き直す

黒ボールペンで誤記にきれいな二重線を引き、余白または正しい欄に正しい内容を記入します。文字が重ならないように間隔を空けます。修正液は使わず、訂正が多い場合は新しい用紙に清書します。

必要なら訂正印・サインを添える

組合けんぽ等で求められる場合は、二重線の近くに訂正者本人のサイン(フルネーム)または押印をします。被保険者欄は被保険者、事業主欄は事業主、医師欄は医師・助産師がそれぞれ行います。協会けんぽで求められていない場合でも署名を添えても差し支えありません。

提出前に最終チェックする

記号・番号(またはマイナンバー)、氏名カナ、住所、振込先口座、出産予定日・出産日、申請期間、事業主証明日・医師証明日が未来日になっていないかを確認します。申請期間は出産日以前42日(多胎98日)から出産翌日以後56日目の範囲内かも併せて確認します。

加入先へ提出する

協会けんぽは電子申請(おすすめ)または支部への郵送、健康保険組合は組合の案内する提出方法で出します。事業主経由の場合は事業所の取りまとめを経て提出します。控えのコピーを必ず保管します。

チェックリスト

提出前チェックリスト

注意点・よくある失敗

よくある失敗と対処

  • 修正液や修正テープで消してしまった:新しい用紙に書き直します。消した跡は無効扱いになります。
  • 被保険者が医師欄・事業主欄を勝手に直した:必ず証明者本人に訂正してもらいます。代理訂正は認められません。
  • 訂正印を押し忘れて返戻された:組合けんぽでは返戻理由になります。指示通りサインまたは押印を添えて再提出します。協会けんぽでも署名を添えると安心です。
  • 出産予定日と出産日を取り違えた:1ページ目の申請内容と2ページ目の医師証明の出産日は一致させます。出産前申請は予定日で、産後の申請は出産日で再取得します。
  • 事業主証明日が申請期間より前になっている:事業主証明日は申請期間の末日以降かつ提出日以前の日付にします。未来日も不可です。

提出先と期限

提出先は健康保険の加入先です。協会けんぽはご加入の都道府県支部(電子申請なら支部選択は自動)、健康保険組合は各組合です。申請期限は健康保険給付の消滅時効により、出産のため労務に服さなかった日ごとにその翌日から2年です。ただし支給は申請期間ごとに審査されるため、産休が終わり次第すみやかに提出するのが実務上の目安です。審査の結果支給可能であれば協会けんぽでは受付から10営業日以内に支払われます。

よくある質問

訂正は二重線だけでよいですか。訂正印は必要ですか。

協会けんぽの申請書では基本的に二重線で抹消し正しい内容を記入すれば足りると案内されています。一方、組合けんぽの一部では被保険者欄も含め訂正箇所にサインまたは押印を求めています。事業主証明欄と医師・助産師証明欄はどちらの保険者でも訂正者のサインまたは押印が必要です。お手元の申請書の注意書きを優先し、迷う場合は二重線に加えて訂正者のフルネーム署名を添えてください。

修正液や修正テープを使ってもよいですか。

使えません。修正液・修正テープ・砂消し・シール等での修正は不可です。必ず二重線で訂正します。大きく汚した場合は新しい用紙に書き直します。

医師の証明欄を間違えました。自分で直せますか。

直せません。医師・助産師証明欄は証明した医師または助産師本人が訂正し、サインまたは押印する必要があります。医療機関に訂正を依頼してください。事業主証明欄も同様に事業主側での訂正が必要です。

何度も訂正して読みにくくなりました。どうすればよいですか。

読みにくい場合は新しい申請書に清書します。協会けんぽは入力用PDFや電子申請も用意しており、電子申請ならシステムチェックで記載漏れを防げます。

関連する手続き

出産手当金と併せて、出産育児一時金、育児休業給付金、健康保険の被扶養者異動なども確認しておくと手続きがスムーズです。申請後は支給決定通知や入金で結果を確認し、支給額に差がある場合は給与との調整(二重給付調整)がないかも確認します。