住民税を給与から特別徴収中に退職した場合、1月1日から4月30日までに退職した方は残りの住民税を給与または退職手当から一括徴収することが法律で義務付けられています。6月1日から12月31日までに退職した方は、本人の申出があれば一括徴収、申出がなければ普通徴収(市区町村から納税通知書が届き本人が納付)に切替わります。いずれの場合も給与支払者は退職した月の翌月10日までに給与所得者異動届出書を提出します。

対象者と前提を確認します

この記事は、毎月の給与から住民税(市民税・府民税・森林環境税)を特別徴収されている方が、年度の途中で退職・休職・転勤などで給与の支払いを受けなくなったときの一括徴収の分岐と、事業主が行う異動届の手続きを整理します。特別徴収は6月から翌年5月の12回で、市区町村が5月31日までに通知する税額を翌月10日までに納入する仕組みです(大阪市)。

対象者と前提のポイント

  • 特別徴収されている給与所得者が退職・休職・死亡などで給与の支払いを受けなくなった場合が対象です
  • 退職月が6月1日〜12月31日か、1月1日〜4月30日かで一括徴収の義務が異なります
  • 異動届は非課税の方でも提出が必要です(坂東市)
  • 給与支払者(特別徴収義務者)が手続きを行い、従業員本人が直接市区町村へ届け出るものではありません

退職月で分かる一括徴収の分岐

地方税法第321条の5第2項および第3項と、それに基づく各市の案内で分岐が明確に示されています。

退職月による一括徴収の分岐
退職時期一括徴収の扱い従業員の選択未徴収税額の納付方法
6月1日〜12月31日任意(一括徴収できる)本人が希望すれば一括徴収申出あれば給与・退職手当から一括徴収、なければ市区町村から納税通知書で普通徴収(坂東市・名古屋市)
1月1日〜4月30日義務(原則必ず一括徴収)本人の申出の有無にかかわらず義務給与または退職手当から必ず一括徴収し、徴収月の翌月10日までに納入(生駒市・坂東市・名古屋市)
5月31日までの退職予定者特別徴収の対象外とする理由に該当する場合あり事業主が給与支払報告書で普通徴収として扱う場合あり大阪市の「特別徴収の対象外とする理由 a」に該当するときは年度当初から普通徴収

手続きの期限と提出先

給与所得者異動届出書は、異動(退職等)があった月の翌月10日までに、1月1日現在の住所地の市区町村へ提出します(大阪市・生駒市・坂東市・名古屋市共通)。大阪市は船場法人市税事務所 個人市民税(特別徴収)グループ、生駒市は市役所1階 課税課、名古屋市は個人市民税特別徴収センター、坂東市は市役所 課税課が窓口です。提出がないと特別徴収税額が事業主のもとに残り、未納扱いで督促状が発送されることがあります(生駒市)。

提出方法の分岐

  • eLTAXによる電子申告:給与支払報告書と同時に一括提出でき、利便性が高いと各市が推奨しています
  • 郵送:提出用と控え+返信用封筒(切手貼付)を同封すると受付印を押した控えが返送されます(生駒市・名古屋市)
  • 窓口:各市税事務所または区役所・支所の税務窓口でも提出できます(大阪市・名古屋市)
  • 電話・FAX・電子メールによる提出は受け付けていません(大阪市・名古屋市)

異動届の書き方と一括徴収欄の記入

異動届は1人につき1枚作成します。個人番号(マイナンバー)の記載が必要です(大阪市)。記載欄で迷いやすい一括徴収欄は、坂東市と名古屋市の記入例で次のように整理できます。

給与所得者欄に氏名・フリガナ・生年月日・マイナンバー・1月1日現在の住所と異動後の住所を記入します。

指定番号・宛名番号・特別徴収税額(年税額)・徴収済額を、市区町村から送付された特別徴収税額決定通知書で確認して記入します(名古屋市)。

異動の事由「退職」にチェックし、異動年月日を記入します。

一括徴収する場合:「2.一括徴収の場合」欄に徴収予定額(一括徴収する未徴収税額)と徴収予定月を記入します。坂東市の記入例2、名古屋市の書き方7に該当します。

普通徴収へ切替える場合:「3.普通徴収の場合」欄にチェックし、理由を記載します。坂東市の記入例1、名古屋市の書き方8に該当します。6月〜12月退職で本人の申出がないときはこの欄です。

特別徴収を転勤先で継続する場合:「1.特別徴収継続の場合」欄に新勤務先の名称・所在地・特別徴収開始月を記入し、必ず新勤務先へ月割額を連絡します(坂東市・名古屋市)。

普通徴収に切替わった後の流れと注意点

6月〜12月退職で一括徴収しなかった場合、市区町村が納税義務者へ納税通知書を送付し、本人が年4回(通常6月・8月・10月・1月)の納期限までに納付します。5月に送付される税額決定通知書は、4月14日(生駒市の例)など一定時点までに受理された異動届の内容が反映されます。提出が遅れると、当初の月割額が通知に残るため、後日送られる税額変更通知書で訂正し、退職者の月割額を除いて納入書を訂正して納入する必要があります。

よくある質問

5月31日に退職する場合は一括徴収になりますか?

5月31日までの退職予定者は、大阪市の「特別徴収の対象外とする理由 a」に該当し、給与支払報告書を普通徴収として提出している場合は一括徴収の対象外となることがあります。ただし、既に特別徴収税額決定通知書が送付されている年度途中の退職は、1月1日〜4月30日と同様に一括徴収の手続きが必要です。給与支払報告書の提出区分と退職日で判断が分かれるため、1月1日住所地の市区町村へ確認してください。

退職金が少なくて未徴収税額を一括徴収しきれないときはどうなりますか?

名古屋市の案内では、5月31日までに支払われる給与または退職手当等の額が未徴収税額より少ない場合は、一括徴収する必要がありません。この場合は普通徴収に切替え、市区町村から送付される納税通知書で本人が納付します。異動届の「普通徴収」欄に理由を記載して提出します。

給与所得者異動届を出し忘れるとどうなりますか?

異動届の提出がないと、退職者の未徴収税額が事業主のもとに残ったままになり、本来納入義務のない税額が未納扱いとなり督促状が発送されることがあります(生駒市)。翌月10日までに必ず提出し、eLTAXを利用すると提出漏れを防ぎやすくなります。

次の手続きと関連情報

退職後の住民税の手続きが一段落したら、健康保険の切替え(任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民健康保険は14日以内)や年金の種別変更、離職票の受取と雇用保険の手続きも期限内に進めてください。住民税の納付方法が普通徴収に切替わった方は、納税通知書の納期限(年4回)をカレンダーに登録し、口座振替の手続きも検討すると納め忘れを防げます。

手続きに迷ったときは、1月1日時点の住所地の市区町村の市民税担当課・特別徴収センター(大阪市・名古屋市など)またはeLTAXのヘルプデスクへ、退職年月日と未徴収税額、異動届の提出状況を手元に用意して問い合わせてください。