中小事業主等が労災保険に特別加入するには、労働保険関係の成立と労働保険事務組合への事務委託の二要件を満たし、事務組合を通じて所轄労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長へ特別加入申請書を提出して承認を受けます。承認の効力は申請日の翌日から十四日以内の希望日です。

手続きの概要

この記事では、従業員を雇用する中小事業主等が初めて労災保険の特別加入を申請する手順を整理します。全国共通の原則を神奈川労働局と厚生労働省の公式情報で確認しています。最終確認は二〇二六年九月十九日です。一人親方や特定作業従事者や海外派遣者やフリーランスの区分は対象外です。

対象者と規模要件

中小事業主等の規模要件
業種常時使用する労働者数
金融業と保険業と不動産業と小売業五十人以下
サービス業と卸売業百人以下
上記以外の業種三百人以下

継続して労働者を使用していない場合でも、一年間に百日以上にわたり労働者を使用している場合は常時使用として取り扱われます。中小事業主等には、表の規模以下の労働者を常時使用する事業主と、労働者以外でその事業に従事する方が含まれます。後者には家族従事者や法人における代表者以外の役員などが該当します。

二つの前提要件

前提要件と複数事業の注意点

  • 雇用する労働者について労働保険関係が成立していること
  • 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
  • 同一事業主が二つ以上の事業を行う場合は要件を満たす事業について希望の業種ごとに加入が必要です
  • 家族従事者など労働者以外で業務に従事する方全員を包括して加入させることが必要です。就業実態のない方を除外する場合は理由書を添付します

申請手順

区分と規模を確認し、労働保険関係と事務組合委託の二要件を整えます。委託先が不明な場合は所管の労働局または労働基準監督署へ照会します。

作業の具体的内容と業務歴と希望する給付基礎日額等を整理し、特別加入申請書を作成します。健康診断の要否は業務歴で判断します。

労働保険事務組合を通じて所轄労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長へ申請書を提出し承認を受けます。承認の効力は申請日の翌日から十四日以内の希望日です。

承認後は給付基礎日額と補償範囲と変更や脱退の扱いを確認します。氏名や作業内容に変更があれば変更届を同じ経路で提出します。

必要書類と提出先

申請時の書類と提出経路

  • 特別加入申請書。作業の具体的内容と業務歴と希望給付基礎日額等を記入します
  • 健康診断が必要な場合は健康診断証明書。じん肺健康診断では所見がある場合に写真の添付が必要です
  • 就業実態のない方を除外する場合は理由書
  • 提出経路は労働保険事務組合を通じて所轄労働基準監督署長を経由し都道府県労働局長へ提出します
  • 健康診断の申出が必要な場合は特別加入時健康診断申出書を所轄労働基準監督署長へ提出します

健康診断が必要な場合

加入時健康診断の対象業務
業務の種類従事した通算期間実施する健康診断
粉じん作業を行う業務三年を超える場合じん肺健康診断
振動工具使用の業務一年を超える場合振動障害健康診断
鉛業務六か月を超える場合鉛中毒健康診断
有機溶剤業務六か月を超える場合有機溶剤中毒健康診断

健康診断の受診手順と費用

  • 事務組合を通じて申出書を署長へ提出し必要と認められれば指示書と実施依頼書が交付されます
  • 局長が指定した診断実施機関で指示書の期間内に受診し依頼書を機関へ提出します
  • 機関作成の健康診断証明書を申請書に添付して署長へ提出します。申出書は申請書と同時提出もでき、その場合は受診後に速やかに証明書を提出します
  • 健康診断の費用は国が負担しますが受診のための交通費は自己負担です

診断結果により、就労が困難で療養専念が必要と認められる場合は従事内容にかかわらず加入が認められません。業務転換が必要と認められる場合は当該業務以外についてのみ加入が認められます。

給付基礎日額と保険料の考え方

給付基礎日額は労災給付額の算定基礎です。所得水準に見合った適正な額を申請し局長の承認を受けた額が給付基礎日額となります。決定後の変更は前年度の三月二日から三月三十一日に変更申請書で、年度更新期間中は保険料申告書内訳で行います。保険料は給付基礎日額に三百六十五を乗じた算定基礎額に事業ごとの保険料率を乗じて算定します。年度途中の加入や脱退は当該年度の特別加入月数で算定し、一か月未満は一か月とします。

補償の対象と支給制限

業務遂行性が認められる主な範囲

  • 申請書別紙の業務内容欄に記載された労働者の所定労働時間内の業務と直接附帯する行為
  • 労働者の時間外や休日労働に応じた就業
  • 労働者の就業時間に接続した準備や後始末を中小事業主等のみで行う場合
  • 就業時間内の事業場施設の利用中や施設内行動中
  • 事業運営に直接必要な業務のための出張
  • 労働者のための通勤用車両の利用や突発事故等の予定外緊急出勤の途上など通勤途上の一定の場合
  • 事業運営に直接必要な行事へ労働者を伴って出席する場合

特別加入者は労働者と同様に業務災害と通勤災害で給付を受けられます。通勤災害は一般労働者と同様に取り扱われます。同一事業主が二つ以上の事業を行う場合、加入していない他の事業の業務被災は給付を受けられません。故意や重大な過失による災害や保険料滞納期間中の災害は支給制限の対象となることがあります。

変更と脱退と消滅の扱い

承認後の変更と地位の消滅

  • 氏名や作業内容等の変更は変更届を事務組合を通じて署長経由で局長へ提出します。効力は届出の翌日から十四日以内の希望日です
  • 既加入事業で新たに事業主や従事者となった方も成立済み保険関係を基に変更届で手続きします。一部が要件外となった場合も変更届が必要です
  • 脱退は中小事業主と従事者全員を包括して脱退申請書を同じ経路で提出し承認を受けます。承認は申請日から十四日以内の希望日です
  • 保険関係の消滅日や事業廃止や終了の翌日や事務組合委託の解除日に地位が自動的に消滅します
  • 関係法令違反では承認が取り消される場合があります

よくある質問

一人親方との違いは何ですか

従業員を一人でも雇用していれば中小事業主等の区分になり、誰も雇用せず一人で事業を行う場合は一人親方等の区分です。本記事は中小事業主等の初回申請に特化しています。一人親方の手続きは別区分として確認します。

家族だけを外して加入できますか

家族従事者など労働者以外で業務に従事する方全員を包括して加入させることが必要です。就業実態のない方を除外する場合のみ理由書を添付して申請します。

承認前に被災したらどうなりますか

承認の効力は申請日の翌日から十四日以内の希望日です。申請前に被災した期間は特別加入の対象になりません。加入を検討したら事務組合への委託と申請準備を早めに進めます。

厚生労働省の特別加入案内厚生労働省による労災保険の特別加入制度の全体案内です。しおりや手続きの入口として利用します。神奈川労働局の中小事業主等の案内神奈川労働局による中小事業主等の要件や申請経路や承認効力や健康診断や日額や補償範囲の詳細案内です。