育児時短就業給付金は、2歳未満の子を養育するために週の所定労働時間を短縮し、賃金が下がるなどの要件を満たす雇用保険の被保険者が対象です。支給額は原則として各月に支払われた賃金の10%で、初回申請は最初の支給対象月の初日から4か月以内に行います。
育児時短就業給付金の概要
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 2歳未満の子を養育するために、週の所定労働時間を短縮して働く雇用保険の一般被保険者・高年齢被保険者 |
| 支給額 | 原則として支給対象月に実際に支払われた賃金額の10%。賃金が時短開始時賃金月額の90%を超える場合は支給率を調整 |
| 支給期間 | 原則として育児時短就業を開始した月から終了した月まで。子が2歳に達する場合などは所定の月で終了 |
| 申請者 | 原則は事業主。本人が希望する場合は本人申請も可能 |
| 初回期限 | 最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内 |
| 申請先 | 事業所所在地を管轄するハローワーク。e-Govの電子申請も利用可能 |
対象になるための受給資格
受給資格は、次の2点を両方満たすことが基本です。育児休業を取らず、産後休業後などから時短勤務を始める場合でも、被保険者期間の要件を満たせば対象になる可能性があります。
育児時短就業給付金の基本的な受給資格です。
- 2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者であること
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き同じ子について育児時短就業を開始したこと、または開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上(該当しない月は賃金支払の基礎となった時間数80時間以上)の完全月が12か月あること
支給対象月ごとに確認する4つの条件
受給資格があっても、各月について次の条件を満たす必要があります。
対象になる時短勤務・ならない働き方
| 働き方 | 取扱い |
|---|---|
| 勤務先の育児短時間勤務制度を利用 | 週の所定労働時間を短縮していれば対象になり得ます。 |
| 短時間正社員・パートタイムへ転換 | 子の養育を理由に転換前より週の所定労働時間が短くなれば対象になり得ます。 |
| フレックスタイム制 | 清算期間の総労働時間を短縮していれば対象になり得ます。総労働時間を変えず、欠勤控除だけを受ける場合は対象外です。 |
| 変形労働時間制 | 対象期間の総労働時間を短縮していれば対象になり得ます。総労働時間を変更しないときの閑散期だけの短縮は対象外です。 |
| シフト制 | 開始前後の実際の労働時間から週平均を計算し、短縮を確認できる場合は対象になり得ます。 |
| 裁量労働制 | みなし労働時間を短縮していれば対象になり得ます。 |
| 早退・欠勤だけで労働時間と賃金が減った | 所定労働時間を短縮していなければ対象外です。 |
| 短縮後の週所定労働時間が20時間未満 | 原則として雇用保険の被保険者資格を失うため対象外です。子の小学校就学までに週20時間以上へ戻る前提を就業規則等で確認できる場合は例外があります。 |
支給額の計算方法
| 支給対象月の賃金 | 支給額の基本 |
|---|---|
| 時短開始時賃金月額の90%以下 | 支給対象月に支払われた賃金額の10% |
| 90%超・100%未満 | 賃金と給付の合計が時短開始時賃金月額を超えないよう、支給率を調整 |
| 100%以上 | 時短前と比べて賃金が低下していないものとして不支給 |
| 項目 | 金額(2027年7月31日までの額) |
|---|---|
| 育児時短就業開始時賃金月額の上限 | 49万6,200円(算定した額がこの額を超える場合はこの額になります) |
| 育児時短就業開始時賃金月額の下限 | 9万6,090円(算定した額がこの額を下回る場合はこの額になります) |
| 支給限度額 | 48万4,121円(賃金と給付の合計がこの額を超える場合は、この額から賃金額を引いた額が支給額になります) |
| 最低支給額 | 支給額が2,562円を超えない場合は育児時短就業給付金は支給されません |
計算に使う「支給対象月に支払われた賃金額」は、原則としてその月に実際の支払日がある賃金です。残業代も含みます。数か月分をまとめて支払う通勤手当などは、支払月以後の対象月へ所定の方法で割り振ります。
2026年8月1日から申請手続きが見直されます
厚生労働省は2026年8月1日から、育児時短就業給付の申請に関する事務取扱いを見直します。支給要件・支給率・支給期間そのものの制度改正ではなく、同じ子について提出済みの情報を再度求めない取扱いや、週所定労働時間の確認方法が変わります。
| 場面 | 見直し後の取扱い |
|---|---|
| 同一の子について育児休業給付を受給している | 母子健康手帳の写し等を改めて提出する必要はありません。 |
| 育児休業後、同じ子について初回の育児時短就業を開始 | 育児休業を開始した後、育児時短就業を開始するまでの間に賃金の支払いがないことを賃金証明書および添付書類で確認できれば、賃金証明書の⑨欄・⑩欄・⑪欄(育児休業開始前の賃金支払状況)の記載を省略できます。 |
| 週所定労働時間の計算 | フレックスタイム制・変形労働時間制・シフト制について計算方法を一部見直し(下表を参照) |
| 育児時短就業期間等に係る証明書 | 様式例が改訂され、育児時短就業開始日および週所定労働時間の確認書類として提出できます。 |
| 照合省略対象事業主等 | 時短前後の週所定労働時間の確認書類について、賃金台帳等と同様に関係書類との照合を省略できます。 |
勤務制度別の週所定労働時間の計算方法
次の労働時間制度が適用される被保険者について、週所定労働時間の計算方法が一部見直されます。いずれも分単位未満は切り捨てて計算します。
| 勤務制度 | 週所定労働時間の計算方法 |
|---|---|
| フレックスタイム制 | 清算期間における総労働時間の算出基礎となった1日の労働時間×週所定勤務日数。補助シートでは「清算期間の総労働時間÷清算期間の月数×12月÷52週」で算定します。 |
| 変形労働時間制 | 対象期間における1週間の平均労働時間。補助シートの算定式はフレックスタイム制と共通です。 |
| シフト制 | 該当期間の実際の労働時間÷(該当期間の暦日数÷7日)。短縮前は育児時短就業を開始した日前3か月間、短縮後は支給対象月に支払われた賃金の算定対象期間の実際の労働時間を使います。賃金が月末締め・翌月支払いの場合は、支給対象月における実際の労働時間です。 |
初回申請の必要書類
勤務先の人事記録や給与資料と照合し、次の書類を準備します。
育児時短就業給付金を申請する手順
子が2歳未満であること、雇用保険の被保険者であること、子の養育を理由に週の所定労働時間を短縮することを確認します。早退・欠勤だけでなく、勤務条件として所定労働時間が短くなっている必要があります。
勤務先へ育児短時間勤務を申し出て、開始日、短縮前後の週所定労働時間、終了予定、賃金の取扱いを書面で確認します。シフト制やフレックスタイム制では、確認資料と計算方法も整理します。
事業主が育児時短就業開始時賃金の届出と受給資格確認を行います。受給資格確認と初回の支給申請は同時に行えます。育児休業から引き続き同じ子について時短就業を始めた場合、開始時賃金の届出は不要です。
最初の支給対象月について、実際に支払われた賃金額と短縮後の週所定労働時間を申請書へ記入し、賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書などを添付します。2026年8月1日以降は、書類省略の条件に当てはまるかをあわせて確認します。
最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内に、事業所所在地を管轄するハローワークへ提出します。e-Govを利用する場合は「雇用保険育児時短就業給付」の初回申請手続きを選びます。
2回目以降は、原則として2つの支給対象月について2か月ごとに申請します。ハローワークが交付する次回支給申請日指定通知書の期間を確認し、賃金と週所定労働時間を証明する資料を添えて提出します。
短時間勤務制度は3歳未満、給付金は2歳未満
育児・介護休業法上、事業主が設ける短時間勤務制度は原則として3歳未満の子を養育する労働者が対象です。一方、雇用保険の育児時短就業給付金は2歳未満の子について支給されます。勤務先の時短制度を利用できても、子が2歳以上であればこの給付金の対象にはなりません。
申請前に確認したい注意点
対象外や申請遅れを防ぐため、次の点を確認します。
- 所定労働時間を短縮せず、早退や欠勤だけで賃金が減っていないか
- 初回期限を時短勤務の開始日から4か月と誤解していないか
- 賃金台帳は支給対象月に実際に支払われた賃金を確認できるものか
- タイムカード等は支給対象月に実際に働いた時間を確認できるものか
- 育児休業から引き続き時短勤務を始めた場合でも、受給資格確認を省略していないか
- 短縮後の週所定労働時間が20時間未満の場合、雇用保険資格と復帰条件を書面で確認したか
- 同一の子について育児休業給付を受給済みか、母子健康手帳の写し等を再提出する必要があるか
- 賃金証明書の⑨欄・⑩欄・⑪欄を省略できる条件をすべて満たすか
- 勤務制度(フレックスタイム制・変形労働時間制・シフト制)に合う週所定労働時間の計算方法を使ったか
- 支給限度額など毎年8月1日に改定される金額を古い資料で判断していないか
よくある質問
従業員本人が申請できますか?
本人申請も可能です。ただし、育児時短就業開始時賃金の届出が必要な場合、その届出は事業主が行います。まず勤務先へ申請方法と担当者を確認してください。
保育園の送迎で早退が増えた場合も対象ですか?
週の所定労働時間を短縮していることが必要です。所定労働時間を変えず、早退や欠勤だけで実労働時間と賃金が減った場合は対象外です。
パートタイムへ変更した場合も対象ですか?
対象になる可能性があります。雇用保険の被保険者であること、被保険者期間の要件、各月の支給要件なども満たす必要があります。
育児時短就業給付金に税金はかかりますか?
厚生労働省のQ&Aでは、育児休業等給付は非課税所得と案内されています。個別の所得や他制度への影響は、それぞれの担当窓口の案内も確認してください。
2026年8月1日から書類がすべて不要になりますか?
なりません。省略できるのは所定の条件を満たす場合の一部です。申請書や賃金・労働時間を確認する資料がすべて不要になるわけではありません。
次にすること
時短勤務の開始前に、勤務先の人事・総務へ、開始日、短縮前後の週所定労働時間、初回申請の担当者、必要資料を確認してください。2026年8月1日以降に申請する場合は、同一の子の育児休業給付受給歴、賃金支払いの有無、勤務制度に応じた書類省略と週所定労働時間の計算方法もあわせて確認します。開始後は最初の支給対象月を特定し、その月の初日から4か月以内の期限をカレンダーに登録します。
2026年8月1日からの申請手続き変更を確認する2026年8月1日からの賃金申告など、育児休業等給付の事務取扱い変更の全体像を確認します。育児休業中の社会保険料免除手続きを確認する育児休業等取得者申出書の提出方法|期限・14日要件・保険料免除この記事は、厚生労働省の公式情報を2026年8月4日に確認して作成しています。休業・時短勤務の日数、給与締日・支払日、勤務制度、既提出書類によって必要な対応と計算方法が異なるため、申請前に勤務先と事業所所在地を管轄するハローワークへ確認してください。給付金の内容や手続きに関する問い合わせは、厚生労働省の育児休業等給付コールセンター(0570-200-406、平日8時30分から17時15分。土日祝日を除く)でも受け付けています。