出し忘れに気づいたら、速やかに事業場所在地を管轄する所轄労働基準監督署長へ高度プロフェッショナル制度に関する決議届を提出します。対象労働者を対象業務に就かせる前に届け出る仕組みです。

症状と前提を確認します

この記事は、高度プロフェッショナル制度を導入するために労使委員会で決議をしたのに、所轄労働基準監督署長への決議届を出し忘れた事業場向けです。すでに決議は済み、対象業務や対象労働者の範囲も定めたが、届出だけが漏れていた状態が対象です。定期報告の遅れや労働者本人の同意書の不備とは区別して確認します。

対象の切り分け

  • 労使委員会を設置し、委員の5分の4以上の多数で決議をした
  • 決議すべき事項(対象業務、対象労働者の範囲、健康管理時間の把握、休日の確保、選択的措置、健康・福祉確保措置、同意の撤回手続、苦情処理、不利益取扱の禁止など)を定めた
  • 所轄労働基準監督署長への決議届だけが出ていない
  • 対象労働者をすでに対象業務に就かせているか、これから就かせる予定か

まず確認します:決議・届出・同意・報告の違い

混同しやすい手続きを整理します。今回立て直すのは決議届であり、6か月ごとの定期報告や個別の同意書とは別です。

手続きの種類と役割
手続き内容提出先・保管
決議届労使委員会で決議した内容を届け出ます。適用前に必要です。所轄労働基準監督署長へ提出します
労働者本人の同意適用除外となること、対象期間、見込賃金額を書面で明示し署名を受けます。事業場で書面を保管し、記録保存の対象です
定期報告決議の有効期間の始期から6か月以内ごとに、休日確保などの実施状況を報告します。所轄労働基準監督署長へ報告します

高度プロフェッショナル制度は、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象に、労使委員会の決議と労働者本人の同意を前提として、年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日および深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度です。年収は少なくとも1075万円以上が確実に見込まれることが必要です。2026年6月時点の厚生労働省の公式資料で確認しています。

遅れ後の回復手順

気づいた時点から次の順番で立て直します。

決議の有効性を確認します。労働者代表委員が半数を占めているか、議事録を作成・保存し労働者へ周知したか、決議事項がそろっているか、5分の4以上の多数による決議かを点検します。不備があれば決議のやり直しが必要になるため、先に整えます。

決議届を作成します。対象業務を具体的に記載し、対象労働者の範囲、確実に見込まれる賃金額、健康管理時間の把握方法、休日確保、選択的措置、健康・福祉確保措置、同意の撤回手続、苦情処理などを決議内容と一致させます。届出書の記載を省略する場合は労使委員会の決議書を添付します。

速やかに所轄労働基準監督署長へ提出します。届出先は事業場の所在地を管轄する所轄の労働基準監督署長です。窓口持参のほか、郵送やe-Gov電子申請を利用できます。提出分と事業場控えを用意し、受付の記録を残します。

提出前の適用期間を見直し、必要なら相談します。決議届は対象労働者を対象業務に就かせる前に届け出る流れです。届出をせずに制度を適用していた期間がある場合は、要件を満たさない可能性があります。その期間の労働時間管理を見直し、事業場所在地を管轄する都道府県労働局の高度プロフェッショナル制度に関する専用相談窓口へ相談します。

6か月ごとの定期報告と記録保存へつなげます。決議の有効期間の始期から6か月以内ごとに、休日確保や選択的措置などの実施状況を所轄署長へ報告します。同意や撤回、職務内容、賃金額、健康管理時間、各種措置の実施状況などの記録は、決議の有効期間の始期から有効期間満了後3年を経過する時まで保存します。

提出先と相談先

届出と相談の窓口を使い分けます。

  • 届出先:事業場所在地を管轄する所轄労働基準監督署長(決議届・定期報告)
  • 相談先:事業場所在地を管轄する都道府県労働局の高度プロフェッショナル制度に関する専用相談窓口
  • 電子申請:e-Gov電子申請の高度プロフェッショナル制度に関する決議届の手続情報から申請できます

よくある誤解と注意点

実務で多い誤解を整理します。

  • 決議をしただけで制度を適用できるわけではありません。所轄署長への届出と労働者本人の書面同意が必要です。
  • 決議届と6か月ごとの定期報告は別の手続きです。決議届を出しても定期報告は別に必要です。
  • 決議の有効期間は1年とすることが望ましいとされています。再度決議しない限り更新されません。
  • 管理監督者は労働者代表になれません。労使を代表する委員それぞれ1名計2名の構成は認められません。

よくある質問

電子申請はできますか。

できます。e-Gov電子申請に高度プロフェッショナル制度に関する決議届の手続情報があります。窓口や郵送と同様に、事業場所在地を管轄する所轄署への届出として利用できます。操作が不明なときは都道府県労働局の専用相談窓口へ確認します。

決議の有効期間はどうなりますか。

決議の有効期間は1年とすることが望ましいとされています。期間が終わるごとに必要に応じて評価制度や賃金制度を見直した上で、改めて本人同意を得る必要があります。決議は再度決議しない限り更新されません。

定期報告と決議届は同じですか。

別です。決議届は導入時の届出であり、定期報告は決議の有効期間の始期から6か月以内ごとに実施状況を報告する手続きです。決議届の遅れを直しても、時期が来れば定期報告が必要です。

公式情報と確認日

この記事は2026年9月18日時点の厚生労働省の公式資料で確認しています。制度の導入にあたっては最新の指針やパンフレットも参照し、個別事情は所轄署または専用相談窓口へ確認します。

e-Gov電子申請 高度プロフェッショナル制度に関する決議届e-Gov電子申請の高度プロフェッショナル制度に関する決議届の手続情報です。電子申請の窓口として利用できます。