派遣労働者に時間外・休日労働をさせるための36協定は、派遣元が締結し、派遣元の事業場を管轄する労働基準監督署長へ届け出ます。派遣先の36協定は使えません。

対象と前提の確認

この記事は、派遣労働者に時間外労働または休日労働を指示する予定がある派遣先の担当者向けです。全国共通の労働基準法と労働者派遣制度の原則を扱います。2026年9月20日時点の厚生労働省の派遣先事業者向け資料で確認しています。派遣元の届出内容や管轄の細部は所轄労働基準監督署の案内で変わる場合があります。

結論:使うのは派遣元の36協定だけです

派遣労働者と労働契約を結んでいるのは派遣元です。そのため、労働基準法上の責任は原則として派遣元が負います。派遣先が時間外・休日労働を行わせる場合も、派遣元の事業場で締結し届け出された36協定が必要です。派遣先が自社の36協定の範囲内で指示していても、派遣元の36協定の範囲を超えていれば認められません。

派遣元と派遣先の役割分担の表です。
区分36協定の扱い派遣先の行動
派遣元事業場ごとに締結し、所轄労働基準監督署長へ届出します届出内容を派遣先へ正確に伝えます
派遣先自社の36協定を派遣労働者に適用できません派遣元の36協定の範囲内でのみ指示します

派遣先の確認手順

派遣を受け入れる前に、次の順番で確認します。

手順1

派遣元から、有効な36協定の有無、有効期間、1日・1か月・1年の延長時間、休日労働の回数と時間、対象業務の範囲を確認します。口頭ではなく、協定書の写しや届出済みの内容で確認します。派遣先指針では、労働時間の枠組みについて情報提供を求めることが求められています。

手順2

残業を指示する前に、予定している1日の残業時間、週・月の合計、休日出勤の有無を、派遣元の36協定の上限と突き合わせます。上限に近い場合は、指示を見直すか、派遣元と事前に相談します。派遣先の36協定で判断しないことが大切です。

手順3

労働者派遣契約に従って就業させたときに労働基準関係法令の違反が生じないよう、派遣契約の労働時間や休日に関する定めを派遣元と確認します。契約に時間外労働の定めがないまま残業を指示しないようにします。

手順4

派遣先は、派遣労働者の始業・終業時刻を適正に把握し、派遣先管理台帳に記載して派遣元へ正確に通知します。自己申告だけに頼らず、客観的な記録で把握します。通知が遅れると、派遣元の時間管理がずれて範囲超えの原因になります。

労働時間の把握と通知の実務

労働時間管理の要点リストです。

  • 派遣労働者の労働時間は、派遣先が適正に把握しなければなりません
  • 把握した始業・終業時刻等は派遣先管理台帳に記載し派遣元へ通知します
  • 派遣元での36協定の内容等について、枠組みと実績の連絡体制を確立します
  • 実績が枠組みに近づいたら、早めに派遣元と指示の調整を相談します

派遣契約と管理台帳の確認ポイント

契約と記録のチェックリストです。

よくある誤解と対処

派遣先の36協定で足りると思っていました。どう直しますか。

派遣先の36協定を派遣労働者に適用することはできません。直ちに派遣元の36協定の内容を確認し、その範囲内でしか指示しない運用に切り替えます。過去の指示が範囲を超えていたおそれがある場合は、所轄労働基準監督署へ相談します。

派遣元の36協定の内容を教えてもらえません。どうしますか。

派遣先は派遣元に36協定の内容等の情報提供を求めることができます。提供がないまま時間外労働を指示すると派遣先が違反になるおそれがあります。追加の残業が必要な場合は、提供があるまで指示を見合わせ、派遣元と派遣契約の確認からやり直します。

相談先と次の行動

範囲の判断に迷う場合や、既に範囲を超えて指示したおそれがある場合は、派遣元の事業場を管轄する労働基準監督署または都道府県労働局へ早めに相談します。相談前に、派遣元の36協定の写し、派遣契約書、派遣先管理台帳の労働時間記録を用意します。個別事情によって判断が異なるため、管轄窓口へご確認ください。

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