2025年分の年末調整後に行う2026年分の給与計算は、処理する年分と適用時期を分けて確認する必要があります。会社は、①2025年分の年末調整、②2026年1月から11月までの月次源泉徴収、③2026年12月の年末調整、④2027年1月以降の源泉徴収税額表の切替、の4段階に分けて管理すると混乱しにくくなります。2025年4月から通勤手当の非課税限度額が引き上げられ、2025年分の年末調整で精算が必要になる場合があります。

4つの期間で使う資料を分ける

時期ごとに適用する処理を分けると、2026年12月の年末調整の変更と、毎月の源泉徴収税額表の変更を取り違えにくくなります。
期間主な処理確認する資料・考え方
2025年分の年末調整2025年分の年間税額を精算(通勤手当の遡及適用を含む)国税庁「令和7年分 年末調整のしかた」および「通勤手当の非課税限度額の改正について」
2026年1月〜11月の給与毎月の源泉徴収税額を計算国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」。2026年度改正はこの期間の月次処理に反映しません
2026年12月の年末調整2026年分の年間税額を計算し、月次徴収分と精算引上げ後の基礎控除、給与所得控除の最低保障額、扶養親族等の所得要件などを確認
2027年1月以降の給与2027年分の月次源泉徴収へ切替国税庁が公表する令和9年分以後の源泉徴収税額表と給与計算ソフトの更新を確認

1. 2025年分の年末調整は「令和7年分」として確認する

2025年中に支払う給与に対する年末調整は、令和7年分の資料で処理します。国税庁の「令和7年分 年末調整のしかた」には、年末調整の手順、各種申告書の確認、年税額の計算、過不足額の精算に加えて、2026年分の給与の源泉徴収事務に関する項目も掲載されています。

2025年分の年末調整を2026年分の月次給与計算と混同しないための確認事項です。

  • 2025年分として処理した年末調整の計算結果と従業員から受けた申告内容を確認します。
  • 年末調整後に給与の追加払いや扶養親族等の異動があった案件は、令和7年分資料の再調整の案内を確認します。
  • 2026年分の月次給与に同じ計算条件をそのまま流用せず、令和8年分の税額表を別に設定します。
  • 2025年4月1日以後に支給した通勤手当について、改正後の非課税限度額で再計算し、課税・非課税の判定に誤りがないか確認します。

追加確認:2025年4月からの通勤手当 非課税限度額の引上げ

令和7年11月19日に所得税法施行令の一部改正が公布され、マイカー・自転車などの交通用具を使用する給与所得者の通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。施行は令和7年11月20日ですが、適用は令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から遡及します。国税庁は、改正前に改正前の限度額を超えて課税扱いした通勤手当がある場合は、令和7年分の年末調整で対応が必要になることがあると案内しています。

自動車・自転車等の交通用具の1か月当たり非課税限度額(国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」より)
片道通勤距離改正後(2025年4月1日以後)改正前
55km以上38,700円31,600円
45km以上55km未満32,300円28,000円
35km以上45km未満25,900円24,400円
25km以上35km未満19,700円18,700円
15km以上25km未満13,500円12,900円
10km以上15km未満7,300円7,100円
2km以上10km未満4,200円4,200円(変更なし)
2km未満全額課税同左
交通機関・有料道路利用等の限度150,000円(変更なし)150,000円

2. 2026年1月から11月は、令和8年分の税額表で月次処理する

2026年分の給与等から毎月の所得税を源泉徴収するときは、国税庁の「令和8年分 源泉徴収税額表」を使います。この税額表は2026年分の給与等を対象としており、月額表、日額表、賞与に対する算出率の表などが掲載されています。

一方、2026年度の税制改正による基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正は、原則として2026年12月1日に施行されます。国税庁は、2026年11月までの源泉徴収事務に変更はないと案内しています。したがって、1月から11月の月次給与に12月の年末調整用の改正後の控除額を先に入れないことが重要です。

3. 2026年12月の年末調整で、改正後の年間税額と精算する

2026年分の年末調整では、引上げ後の基礎控除額と、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算します。そのうえで、1月から11月までの給与で使った源泉徴収税額表による徴収額など、すでに徴収した税額と精算します。

改正により新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族について扶養控除等の適用を受ける場合は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要となる場合があります。従業員への案内では、従来の申告内容から変更がある人を先に確認し、国税庁が公表する改正後の申告書や記載要領を使ってください。

なお、国税庁の申告案内では、令和8年分の基礎控除申告書等の様式は2026年12月1日以後に行う年末調整で使用し、2026年11月30日以前に年末調整を行う場合は令和7年分の様式を補正して使用する等と案内されています。年末調整の実施日と使用する様式の年分を確認してください。

年末調整の対象者について、2026年分の給与・賞与と、従業員から提出された各種申告内容を集計します。

基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件など、2026年12月の年末調整で適用する改正項目を給与計算ソフトや計算手順に反映します。

改正後の年間税額と、1月から11月までに源泉徴収した税額を精算します。対象者の申告内容に変更がある場合は、必要な申告書の提出状況も確認します。

4. 2027年1月以降は、令和9年分以後の税額表へ切り替える

2026年度改正の資料では、基礎控除の引上げと給与所得控除の最低保障額の引上げに伴い、令和9年分以後の源泉徴収税額表が改正されると案内されています。2026年12月の年末調整で行う年間税額の精算と、2027年1月以降の毎月の源泉徴収税額表の切替は別の作業です。国税庁の令和9年分の税額表が公表されたら、適用開始となる給与の支払月、給与計算ソフトの更新状況、テスト計算の結果を確認してから切り替えます。なお、国税庁の資料では令和9年分の源泉徴収税額表は2026年8月末頃に掲載予定とされています。

給与担当者が残しておく確認項目

2025年分の年末調整から2027年1月の月次処理までを一続きで確認するためのチェック項目です。

よくある確認

2026年度の税制改正を2026年1月の給与から反映してよいですか?

国税庁の案内では、改正は原則として2026年12月1日に施行され、2026年11月までの源泉徴収事務に変更はありません。1月から11月の月次給与には先行適用せず、2026年12月の年末調整で年間税額を計算・精算します。

2026年12月の年末調整では、1月から11月までの源泉徴収をやり直しますか?

月ごとの給与を遡って再計算するのではなく、改正後の年間税額を計算し、すでに源泉徴収した税額と精算する扱いです。個別の計算は、国税庁の年末調整資料と利用中の給与計算ソフトの対応内容を確認してください。

改正で扶養親族等の所得要件を満たす人が増えた場合はどうしますか?

新たに要件を満たす親族について扶養控除等の適用を受ける場合、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要となる場合があります。従業員からの申告内容を確認し、国税庁の最新の様式・記載要領に沿って案内します。

令和8年分の基礎控除申告書等はいつの年末調整で使いますか?

国税庁の案内では、令和8年分の様式は2026年12月1日以後に行う年末調整で使用します。2026年11月30日以前に年末調整を行う場合は、令和7年分の様式を補正して使用する等とされています。実施日と使用様式の年分を確認してください。

2025年4月からの通勤手当の引上げは、いつの年末調整で精算しますか?

令和7年分の年末調整で精算します。改正は令和7年11月20日施行ですが、令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当に遡及適用されます。改正前の限度額を超えて課税していた分がある場合は、令和7年分の年末調整で非課税額を修正し、課税支給額を再計算してください。詳細は国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」をご確認ください。

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