初めて相続時精算課税を選ぶ方は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書と贈与税の申告書・戸籍謄本等を受贈者の納税地を所轄する税務署長へ同時提出します。期限を過ぎると選択できません。

手続きの概要

相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などへの贈与で選べる贈与税の制度です。贈与者ごとに選択でき、一度選択するとその贈与者からの贈与は選んだ年分以降すべて相続時精算課税になり、暦年課税へ戻せません。令和6年1月1日以後の贈与は相続時精算課税に係る基礎控除額110万円があり、特別控除額2,500万円を控除した残額に一律20パーセントで贈与税を計算し、相続時に贈与時価額を加算して相続税を精算します。全国共通の原則です。2026年9月15日時点の国税庁情報で確認しています。

対象者と対象財産

適用対象者の条件を確認します。

  • 贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母などです。
  • 受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上で、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫です。
  • 個人の事業用資産や非上場株式等の納税猶予特例を受ける場合は、60歳以上の贈与者から18歳以上の者への贈与で対象が広がる場合があります。
  • 贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

贈与者ごとに選択できるため、父からの贈与で相続時精算課税を選んでも、母や祖父からの贈与は暦年課税のままにできます。推定相続人であるかは贈与の日で判定します。養子縁組をしていない義父母からの贈与は原則として対象になりません。

期限・提出先・提出方法

提出時期は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までで、期限日が土日祝日等に当たるときは翌平日が期限になります。提出先は受贈者の納税地を所轄する税務署長です。確定申告書等作成コーナーで作成しe-Taxで提出するか、書面を作成し持参または送付で提出します。税務署の開庁時間は8時30分から17時までで、閉庁日は時間外収受箱への投函または送付で提出できます。e-Taxの利用可能時間は事前に確認します。マイナンバーを記載した申告書や届出書は本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。

e-Tax・郵送・持参の提出方法を比較します。
方法内容注意点
e-Tax確定申告書等作成コーナーで作成し自宅から送信します。事前の利用開始手続と利用可能時間の確認が必要です。
郵送受贈者の納税地を所轄する税務署または業務センターへ郵便・信書便で送付します。送付先が業務センターになる場合があるため案内で確認します。
持参受贈者の納税地を所轄する税務署の受付へ持参し、閉庁日は時間外収受箱へ投函できます。開庁時間は8時30分から17時までで、閉庁日は受付していません。

必要書類と添付書類

初めて選ぶ年にそろえる書類を確認します。

  • 相続時精算課税選択届出書は必ず提出します。贈与税の申告書を提出する場合は申告書に添付して提出します。
  • 受贈者の戸籍謄本等で、受贈者の氏名・生年月日と、推定相続人または孫であることを証する書類を用意します。贈与を受けた日以後に作成されたものを提出します。
  • 個人の事業用資産や非上場株式等の特例を受ける場合は、氏名・生年月日を証する書類と特例資産の取得を証する書類を用意します。
  • 申告書や届出書へマイナンバーを記載し、本人確認書類を提示または添付します。

戸籍謄本等は贈与日以後に作成されたものが必要です。古い戸籍謄本を使い回すことはできません。重複する添付書類は国税庁の取組で省略できる場合がありますが、初めての選択年は戸籍謄本等の準備を優先します。

手順1:贈与者ごとに暦年課税か相続時精算課税かを切り分ける

1月1日から12月31日までの贈与を贈与者ごとに集計します。初めて相続時精算課税を選ぶ贈与者がある場合は、その贈与者分を相続時精算課税として区分し、他の贈与者分は暦年課税のまま計算します。60歳・18歳の年齢判定は贈与年等の1月1日現在で行います。

手順2:選択届出書と申告書・戸籍謄本等をそろえる

国税庁の贈与税申告手続案内と様式一覧で該当年分の様式を使います。選択届出書、贈与税の申告書、贈与日以後に作成された戸籍謄本等、マイナンバーと本人確認書類をそろえます。令和6年以後は相続時精算課税に係る基礎控除110万円があるため、特定贈与者からの合計が110万円以下でも初回選択年は届出が必要です。2人以上の特定贈与者から受けた場合は110万円を課税価格であん分します。

手順3:2月1日から3月15日までに同時提出する

e-Tax・郵送・持参のいずれかで、2月1日から3月15日までに受贈者の納税地を所轄する税務署長へ提出します。贈与税の申告書を出す場合は選択届出書と添付書類を申告書に添付します。申告書を出さない場合でも選択届出書と添付書類の提出が必要です。提出後は納付が必要な贈与税の納付方法も確認します。

注意点・よくある失敗

申告前後のつまずきを確認します。

  • 110万円以下なら不要と判断し、初回選択年の届出を忘れる。令和6年以後も初回は届出が必要です。
  • 贈与税の申告書だけを出し、選択届出書と戸籍謄本等の添付を忘れる。申告書に添付が原則です。
  • 古い戸籍謄本を使い、贈与日以後に作成されたものという条件を満たさない。
  • 贈与者の住所地や贈与財産の所在地の税務署へ出し、受贈者の納税地の所轄を間違える。
  • 所得税の確定申告期間だけを意識し、2月1日開始と3月15日期限の贈与税期間を見落とす。

よくある質問

110万円以下でも選択届出書は必要ですか。

初めて選ぶ年は必要です。令和6年以後は110万円の基礎控除があるため税額が出なくても、初回選択年は2月1日から3月15日までに選択届出書と添付書類を提出します。2年目以降で特定贈与者からの合計が110万円以下なら申告不要になる場合があります。

2年目以降も毎年選択届出書が必要ですか。

不要です。一度選択した贈与者分はその年分以降すべて相続時精算課税が適用され、改めて届出書を出す必要はありません。年ごとの合計から110万円を控除し、2,500万円の残額の範囲で特別控除します。

期限を過ぎたら相続時精算課税を選べますか。

選べません。選択届出書を提出期限を過ぎてから出しても適用は受けられません。翌年2月1日から3月15日までに必ず提出し、期限日が土日祝日等の場合は翌平日を確認します。

国税庁の相続時精算課税の選択、添付書類、贈与税の申告手続、選択Q&Aの4点を2026年9月15日に確認しました。年齢や続柄、事業用資産・非上場株式の特例、相続時の加算や税額控除は個別事情で判断が異なるため、国税庁の案内または所轄税務署へ確認します。当サイトの内容は参考情報です。

関連情報国税庁の選択手続案内で届出書と申告書の様式を確認する関連情報国税庁の相続時精算課税の選択で要件と期限を確認する