給与と年金を両方受給している方は、給与所得者の扶養控除等申告書は勤務先へ、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書は日本年金機構や共済組合など年金支払者へ提出します。同じ配偶者や扶養親族を両方に重複して申告すると控除が二重になり、確定申告で所得税を追加で納めることになります。どちらか一方にだけ申告する分け方が必要です。確定申告が不要になるのは、公的年金等の収入金額が400万円以下かつ年金以外の所得が20万円以下の両方を満たす場合に限られます。

年金をもらいながら働くときに迷うポイント

定年後再雇用や継続雇用、パートで働きながら老齢年金や企業年金を受け取る方が増えています。この場合、所得税の手続きは「給与」と「公的年金等」で別々に源泉徴収されます。年末調整は勤務先で行われますが、年金側の源泉徴収は年金支払者が行います。それぞれで扶養控除などを受けるために申告書が必要ですが、同じ人を両方で申告すると控除が重複し、翌年の確定申告で精算が必要になることがあります。2026年8月30日時点の公式情報で、提出先と分け方、確定申告の要否を整理します。

2つの申告書の違いを整理

混同しやすい2つの申告書を、提出先と提出時期で区別します。いずれも個人住民税の申告書と統合された様式です。

給与と年金の扶養関連申告書の比較
項目給与所得者の扶養控除等申告書公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
提出先勤務先(給与の支払者)日本年金機構・共済組合など公的年金等の支払者
提出時期その年最初に給与の支払を受ける日の前日まで。中途就職は就職後最初の給与の前日までその年最初に公的年金等の支払を受ける日の前日まで。令和7年分は令和6年9月19日より順次送付
対象者給与所得者。2か所以上から給与がある場合は主たる給与の1か所にのみ提出可公的年金等の受給者。源泉徴収の対象とならない方や控除に該当しない方は提出不要
住民税との関係個人住民税の給与所得者の扶養親族申告書と統合個人住民税の公的年金等受給者の扶養親族申告書と統合
保管給与支払者が保管。税務署長等から求められた場合以外は提出不要年金支払者が保管。税務署長等から求められた場合以外は提出不要

どちらに何を書くか 分け方の手順

原則として、控除対象の配偶者や扶養親族は「どちらか一方」にだけ申告します。次の3ステップで分けます。

勤務先に提出する給与所得者の扶養控除等申告書に、控除を受けたい配偶者・扶養親族を記載します。主たる給与が1か所の方はその勤務先1か所にのみ提出できます。2か所以上ある場合は主たる給与の支払先を1か所選びます。

年金側の公的年金等の受給者の扶養親族等申告書には、給与側で申告した同一人物を重複して記載しないようにします。給与側で全員を申告している場合は、年金側に控除対象者を記載せず「該当なし」として提出するか、該当者がいない場合は提出自体が不要になることがあります(日本年金機構の案内で、該当しない方は提出不要とされています)。

前年分の扶養親族等申告書を提出済みで変更がない場合は、送付された申告書の「前年から変更なし」欄に丸をして氏名を記入して提出します。氏名・住所・生年月日などに異動があれば、異動後最初の給与・年金の支払日の前日までに訂正した申告書を再提出します。

確定申告が必要かどうかの判定

給与と年金を両方もらっている方が確定申告をしなくてもよいのは、公的年金等に係る確定申告不要制度の2つの要件を両方満たす場合に限られます。年金全額が源泉徴収対象であることが前提です。

確定申告不要の要件と注意点

  • 要件1:公的年金等の収入金額の合計が400万円以下
  • 要件2:公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下(給与所得は収入金額から給与所得控除を差し引いた金額)
  • 両方を満たさない場合は確定申告が必要です
  • 要件を満たしても、医療費控除や寄附金控除などで還付を受ける場合は確定申告ができます
  • 要件を満たして所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります。住民税は市区町村へご確認ください

給与所得がある方は、給与の収入金額から給与所得控除等を差し引いた金額が20万円を超えるかどうかで判定します。公的年金等の収入金額が400万円を超える方や、給与所得・事業所得・不動産所得などが20万円を超える方は、確定申告が必要です。給与が年末調整済みでも、年金側の控除を重複して受けていた場合は確定申告で精算します。

電子申請と紙の提出方法

日本年金機構の令和7年分案内では、扶養親族等申告書は令和6年9月19日より順次送付され、令和7年2月以降の年金から源泉徴収される所得税に反映されます。電子申請を利用した方はマイナポータルとねんきんネットを連携してスマートフォンやパソコンから提出でき、電子申請後は紙の申告書の提出は不要です。翌年からはマイナポータルのお知らせで案内され、紙の申告書は送付されません。紙で提出する場合は同封の返信用封筒(普通郵便110円)で日本年金機構の受付担当(119-0314 杉並南郵便局留 または 119-0220 東京都杉並区高井戸西3丁目5番24号)へ郵送します。給与側は勤務先へ直接提出します。いずれも押印は不要です。

よくある質問

給与と年金で同じ扶養親族を両方に書いてしまったらどうなりますか

控除が二重に適用され、源泉徴収税額が少なく計算されます。結果として確定申告で所得税を追加で納めることになる場合があります。国家公務員共済組合連合会のFAQでも同様の注意が示されています。気付いた場合は、どちらか一方の申告を訂正し、確定申告で正しい控除額で精算します。給与側と年金側の合計で1人分として計算し直します。

年金側の扶養親族等申告書が届かない・提出し忘れた場合はどうなりますか

日本年金機構の案内では、扶養親族等申告書は源泉徴収の対象となる方に送付され、該当しない方には送付されません。届いたのに提出し忘れた場合でも、なるべく早く提出すれば、その年の最初の年金支払まで遡って源泉徴収税額が再計算されます。期限に間に合わなくても提出は可能です。紛失した場合は機構のPDFを印刷して提出できます。

年金収入が400万円以下で給与が少しだけあります。確定申告は必要ですか

年金以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。給与所得は収入金額から給与所得控除を差し引いた金額で判定します。給与の収入金額が例えば80万円程度であれば給与所得控除55万円を差し引いた25万円となり、20万円を超えるため確定申告が必要になります。20万円以下でも医療費控除などで還付を受ける場合は申告できます。また住民税の申告は別途必要な場合があるため市区町村へご確認ください。

次に確認すること チェックリスト

提出前のチェックリスト

手続きに不安がある場合は、給与側は勤務先の給与担当、年金側は日本年金機構の扶養親族等申告書お問い合わせダイヤル(0570-081-240、050からは03-6837-9932)またはお近くの年金事務所へご相談ください。国税に関する一般的な相談は国税庁の電話相談窓口、住民税はお住まいの市区町村へお問い合わせください。