確定申告で医療費控除の明細書を出し忘れた、または医療費控除自体を入れ忘れたときは、申告期限内であれば訂正申告として正しい申告書を再提出、期限後で納める税金が多すぎる・還付が少なすぎる場合は更正の請求(原則として法定申告期限から5年以内)で医療費控除を追加できます。明細書は領収書に基づいて作成して添付し、領収書自体は確定申告期限等から5年間自宅で保存します。e-Taxの更正の請求書・修正申告書作成コーナーから手続きできます。
対象者と手続きの全体像
令和7年中に支払った医療費について、確定申告書に「医療費控除の明細書」を添付し忘れた方、医療費通知を添付し忘れた方、そもそも医療費控除の記載を入れ忘れた方が対象です。申告義務がない方で医療費控除により還付を受けるだけの場合も、還付申告として翌年1月1日から5年以内に提出できます。いずれも所轄税務署が提出先で、e-Tax、郵送、窓口のいずれかが利用できます。
まず確認|明細書と領収書・医療費通知の違い
医療費控除の添付と保存の原則(国税庁 No.1119)
- 提出時に添付するのは「医療費控除の明細書」です。医療費の領収書自体は添付せず、確定申告期限等から5年間自宅等で保存します。
- 医療保険者が発行する「医療費通知」(6項目の記載があるもの)を添付する場合は、明細書の記載を簡略化でき、該当分の領収書保存も不要になる場合があります。
- e-Taxで医療費通知データを添付して送信した場合や、医療費通知情報(XML)をマイナポータル連携で自動入力した場合は、データ自体が原本として扱われます。
期限と手続きの選び方
| 状況 | 手続き | 期限の起算点 |
|---|---|---|
| 申告期限内に明細書の添付漏れに気づいた | 訂正申告(正しい申告書を再提出) | 法定申告期限(令和7年分は令和8年3月16日)まで |
| 期限後に税額が多すぎ・還付が少ない(医療費控除を追加したい) | 更正の請求 | 原則として法定申告期限から5年以内 |
| 申告義務がなく医療費控除だけで還付を受ける(還付申告) | 還付申告 | その年の翌年1月1日から5年以内 |
更正の請求と還付申告はどちらも5年ですが、起算日が異なります。確定申告を既に提出済みの方が医療費控除を追加する場合は「更正の請求」、そもそも確定申告をしていなかった方が医療費控除で還付を受ける場合は「還付申告」になります。既に更正の請求をした後にさらに医療費を追加する場合も、更正の請求の期限内であれば再度の更正の請求が可能です。
手順|更正の請求で医療費控除を追加する
支払った医療費を集計し、医療費控除の明細書を作成します。領収書ごとに、支払先、支払額、補填された保険金等の金額を整理します。医療費通知がある分は、通知の金額を明細書に転記し、通知を添付することで記載を簡略化できます。
更正の請求書を作成します。確定申告書等作成コーナーの「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で、正しい所得金額、所得控除(医療費控除を含む)、税額を入力します。請求の理由欄に「医療費控除の明細書添付漏れのため追加」など具体的に記載します。
更正の請求書に医療費控除の明細書と必要に応じて医療費通知を添付して、所轄税務署へe-Tax送信または郵送・持参します。e-Taxで医療費通知データを添付する場合は、XML形式のデータに電子署名が付されたものを送信します。
税務署の審査を経て更正が認められると、納め過ぎた税金が還付されます。還付までに通常より時間を要する場合があります。還付金振込先口座は本人名義で登録します。
用意するものチェックリスト
更正の請求前の準備
よくある失敗と注意点
医療費控除追加時の注意
- 補填された金額(保険金や高額療養費)を差し引かずに医療費控除を計算すると、更正の請求が認められない場合があります。必ず差し引きます。
- 医療費通知に記載のない医療費(自由診療、特定の介護費用など)は、領収書に基づき明細書へ別途記載が必要です。
- セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は選択適用です。両方を同時に適用することはできません。
- 更正の請求は税額または純損失の金額に異動がない場合はできません。医療費控除を追加しても税額が変わらない場合は対象外です。
領収書をなくした場合でも更正の請求はできますか?
領収書がないと明細書の作成根拠が確認できず、税務署の審査で認められない場合があります。医療費通知がある分は通知で代替できる場合がありますが、通知のない分は領収書の再発行を医療機関へ依頼するか、支払記録(領収書の写し、支払証明)を保管して税務署へ相談してください。5年保存の義務があるため、再発行後は大切に保管します。
過去5年分の医療費をまとめて更正の請求できますか?
年分ごとに更正の請求書を作成します。例えば令和3年分から令和7年分の医療費をそれぞれ入れ忘れた場合は、各年分について法定申告期限から5年以内に年分ごとの更正の請求書と明細書を提出します。還付申告の場合は各年の翌年1月1日から5年以内に年分ごとの還付申告書を提出します。
関連手続きと次の確認
医療費控除の追加と同時に、第一表の収入金額の誤りや生命保険料控除の入れ忘れにも気づいた場合は、同じ更正の請求で合わせて訂正できます。年末調整で保険料控除を入れ忘れた場合の還付申告の手続きも合わせて確認しておくと、翌年以降の申告漏れを防げます。