出産育児一時金で直接支払制度を利用し、出産費用が50万円(産科医療補償制度未加入または在胎22週未満は48.8万円)を下回った場合、差額は自動では振り込まれません。出産日の翌日から2年以内に、ご加入の保険者へ「内払金支払依頼書」または「差額申請書」で請求します。支給決定通知は出産後概ね3か月後に届き、差額申請書が同封されます。2026年8月26日確認の公式情報で手順を整理しました。

出産育児一時金の差額とは

出産育児一時金は、公的医療保険の加入者が妊娠4か月(85日)以上で出産したとき、1児につき原則50万円が支給される制度です。厚生労働省と協会けんぽによると、2023年4月1日以降の出産で、産科医療補償制度に加入する医療機関等で在胎22週以降の出産は50万円、同制度未加入の機関での出産や在胎22週未満の出産は48.8万円です。多胎児は胎児数分が支給されます。

直接支払制度は、保険者から出産施設へ一時金を直接支払い、窓口では費用総額から一時金を差し引いた残額のみを支払う仕組みです。費用総額が一時金を下回った場合、その差額は被保険者等へ支給されますが、手続きをしないと振り込まれません。

支給額の区分(2023年4月1日以降)
区分支給額
産科医療補償制度加入機関で在胎22週以降の出産1児につき50万円
産科医療補償制度未加入機関での出産1児につき48.8万円
産科医療補償制度加入機関で在胎22週未満の出産1児につき48.8万円
多胎児(双子等)胎児数分を支給

差額は自動で振り込まれません・2年で時効になります

厚生労働省のよくあるご質問では「申請期限は出産日の翌日から2年以内」と明記されています。例えば2026年5月10日に出産した場合、2028年5月10日が期限です。協会けんぽでは、出産後概ね3か月後に「支給決定通知書」とともに「差額申請書」を被保険者あてに送付します。この通知を待たずに請求する場合は「内払金支払依頼書」を使います。

申請書は2種類あります(通知前と通知後)

協会けんぽのFAQでは、差額の申請方法として次の2種類が示されています。どちらも提出先は同じですが、添付書類が異なります。

申請書の違いと添付書類
申請書使うタイミング添付書類
健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書支給決定通知が届く前に請求するとき①直接支払制度に係る代理契約に関する文書の写し ②出産費用の領収・明細書の写し ③医師・助産師または市区町村長の証明(領収書に記載がない場合)
健康保険出産育児一時金差額申請書支給決定通知とともに届いた申請書で請求するとき添付書類不要(通知に同封の申請書を使用)

証明欄に医師・助産師または市区町村長の証明が受けられない場合は、戸籍謄本、戸籍事項記載証明書、出生届受理証明書、母子健康手帳(出生届出済証明がなされているもの)などで代替できます。

手順:差額を請求する流れ

出産費用と支給額を確認する

退院時に医療機関から「領収・明細書」と「代理契約に関する文書の写し」を受け取ります。費用総額が50万円(または48.8万円)を下回っているか、明細書に出産年月日と出産児数が記載されているか確認します。

支給決定通知が届くか確認する

出産後概ね3か月後に保険者から「支給決定通知書」が届きます。通知に「差額申請書」が同封されていればそれを使用します。届く前に急いで請求する場合は「内払金支払依頼書」を保険者のホームページから入手します。

申請書を作成し保険者へ提出する

申請書に被保険者情報、振込先口座、出産日などを記入します。内払金支払依頼書の場合は必要な添付書類を同封します。提出先は協会けんぽなら都道府県支部、健康保険組合なら組合、国民健康保険なら市区町村の国民健康保険窓口です。郵送または窓口で提出します。電子申請は原則対象外です。

提出先と必要書類の詳細

提出先の目安

  • 協会けんぽ:ご加入の都道府県支部へ郵送または窓口
  • 健康保険組合:ご加入の組合へ郵送または窓口(組合により様式が異なる場合あり)
  • 国民健康保険:お住まいの市区町村の国民健康保険窓口
  • 共済組合:ご加入の共済組合

内払金支払依頼書で提出するときのチェックリスト

退職後6か月以内に出産した場合の保険者選択

退職等で被保険者資格を喪失した後でも、次の2点を同時に満たす場合は、以前加入していた保険者から出産育児一時金の支給を受けることを選択できます。①資格喪失日の前日(退職日)までに継続して1年以上被保険者期間があること(任意継続期間は除く)、②資格喪失後6か月以内に出産したこと。

同じ出産について重複して支給を受けることはできません。退職後の出産時点で夫の健康保険の被扶養者や国民健康保険に加入している場合、どちらか一方を選択します。資格喪失後の給付は被保険者本人の出産が対象で、被扶養者だった家族の出産は対象外です。直接支払制度を利用する場合は、以前の保険者が発行する「健康保険被保険者資格喪失等証明書」を医療機関へ提示します。

国民健康保険に加入している場合

国民健康保険では、支給額や2年期限、直接支払制度の仕組みは同じですが、申請書の名称や添付書類、提出先が市区町村により異なります。お住まいの市区町村の国民健康保険窓口へお問い合わせください。海外で出産した場合も申請できますが、海外の医師・助産師の証明書やパスポートの写し、翻訳文など追加書類が必要です。

よくある質問

差額はいつ振り込まれますか?

審査後に指定口座へ振り込まれます。協会けんぽでは支給決定通知が概ね3か月後に送付され、差額申請書を提出後は審査を経て支給されます。時期は保険者により異なりますので、提出先へご確認ください。

出産費用が一時金の支給額を超えた場合はどうなりますか?

超えた額は医療機関等の窓口でお支払いいただきます。例えば費用が55万円で支給額が50万円なら、窓口で5万円を支払います。帝王切開など保険診療が含まれる場合は高額療養費の対象になることがあります。

受取代理制度との違いは何ですか?

受取代理制度も医療機関が被保険者に代わって一時金を受け取る制度ですが、厚生労働省へ届出を行った一部の医療機関に限られ、出産予定日まで2か月以内の方が対象です。利用可否は出産予定の医療機関へご確認ください。

公式情報と問い合わせ先

手続きの詳細や必要書類は保険者により異なる場合があります。被用者保険の方はご加入の協会けんぽ支部や健康保険組合へ、国民健康保険の方はお住まいの市区町村窓口へお問い合わせください。制度の解釈については、協会けんぽ・健康保険組合の方は厚生労働省保険局保険課、国民健康保険の方は同局国民健康保険課が窓口です。